• 訪日インドネシア人のハイシーズンは12月、4月も人気
    • ムスリム対応がカギ
    • 技能実習生の多さはインバウンドにも好影響

インバウンドにおけるインドネシア市場の特徴とは

訪日インドネシア人数は2019年には約41万人でしたが、2023年には約43万人でした。2023年、訪日インドネシア人は一人あたり19万4,622円を訪日旅行時に使っています。訪日インドネシア人のインバウンド市場で特筆すべき点は「ハイシーズンは12月、4月も人気」「ムスリム対応の重要性」「VFR需要の高さ」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。

訪日インドネシア人インバウンド市場、3つの特徴を解説

1. 訪日インドネシア人のハイシーズンは12月、4月も人気

コロナ前の訪日インドネシア人数の推移を月別に見てみると、12月に最も多くのインドネシア人が訪日していたことがわかります。赤道付近に位置しているインドネシアは年間を通して温暖なため、雪や温泉といった日本の冬に魅力を感じるようです。

またコロナ後の2023年は、12月に次いで4月が2番目に多くなっていました。インドネシア人向けのインバウンド対策はまず12月、次に4月に重点を置いて実施することも効果的であるといえます。

2. ムスリム対応がカギ

インドネシアは国民のほとんどがイスラム教徒であり、東南アジアでは随一のイスラム教徒の多さを誇ります。そのため、訪日インドネシア人の受入環境整備においては、ムスリム対応が重要になります。食事のハラル対応や、礼拝できる場所の案内など、ムスリムの観光客の受け入れに特化した取り組みが必要です。

3. 技能実習生の多さはインバウンドにも好影響

法務省の2023年6月末時点のデータによると、技能実習生として暮らす在留インドネシア人は約6万人であり、これは国籍別にみるとベトナムに次ぐ2番目の多さです。

観光庁が発表している訪日外国人消費動向調査においては、技能実習生として在留している外国人は「観光・レジャー目的」の訪日客にカウントされないため、インドネシアは「全目的」と「観光・レジャー目的」で滞在期間の差が大きくなっています。

また在留インドネシア人数が多いということは、それだけ彼らの親族や友人が日本を訪れる需要、いわゆるVFR(Visit Friends and Relatives)の需要もありそうです。訪日インドネシア人に向けてプロモーションを行う際には、技能実習生として暮らす在留インドネシア人の存在を意識するのも効果的といえそうです。

インドネシア人の特徴

インドネシア人の性格・国民性

インドネシア人の性格・国民性には、一般的に以下のような特徴があるといわれています。

  • 話好きである
    • インドネシア人は基本的に話好きです。コミュニケーションは挨拶から始めましょう。
  • 楽天的
    • インドネシア人は基本的にものごとを深くまで考えません。ユーモアがあり、元気な人が多いです。
  • 「大丈夫」が口癖
    • 「大丈夫」「たいしたことないよ」を表す「Tidak apa apa」という言葉はインドネシア人の間でよく使われる言葉です。インドネシア人には、問題があってもそこまで考え込まない傾向があります。
  • 時間にルーズである
    • インドネシア人は基本的にマイペースであり、時間をあまり守らない傾向にあります。

インドネシア人と接するうえで気を付けておきたいマナー

インドネシアには敬虔なイスラム教徒が多いため、インドネシア人と接するときにはイスラム教の慣習に沿った行動を心がけましょう。その他には、以下のようなことに気を付けましょう。

  • モスクなどイスラム系の寺院を訪れる際には、靴を脱ぎ露出の多い服装は控える
  • プライドを傷つける行為であるため、人前で怒らない
  • 不機嫌な様子を意味するため、両手を腰に当てるポーズは控える
  • 野蛮な行為と受け取られるため、食事の際には器を持ち上げない
  • 豚肉は宗教上基本的にNG
  • 食事の際はハラルフードを提供する

インドネシア人の親日度・日本語学習者数

電通「ジャパンブランド調査」によると、インドネシアは2019年時点で「親日度ランキング」全20か国のうち8位となっており、高い親日度を持っていることが分かります。(*1)

国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、インドネシアには2018年時点で2,842校の日本語教育機関と5,668人の日本語講師が存在し、706,603人が日本語を学習しています。(*2)

<参照>

(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2019」 (*2)国際交流基金 2018年度海外日本語教育機関調査結果(速報値)

インドネシア人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?

インドネシアはAndroidがiOSより人気で、約93%のシェアを持っています。AndroidスマートフォンのシェアがiPhoneを大幅に上回っている国のひとつです。

インドネシアの平均月収は296.86米ドルとなっており、100米ドル程度から購入できる手頃なAndroidスマートフォンが人気のようです。

スマートフォン使用率は60%となっており、他の東南アジア諸国と比較するとスマートフォンは普及していないようです。

人気のSNSアプリはiOS・Android共にWhatsAppとFacebook Messengerがランクインしています。また、Androidで第3位にランクインしているUC Browserは、中国企業アリババ傘下のUC Web社が提供するスマホ向けブラウザです。

2023年・2024年 インドネシアの祝日カレンダー

▲インドネシアの祝日・休日カレンダー(2023年):訪日ラボ作成
▲インドネシアの祝日・休日カレンダー(2024年):訪日ラボ作成
2023年 2024年
元日 1月1日 1月1日
イムレック(旧正月) 1月22日 2月10日
ムハマッド昇天祭 2月18日 2月8日
ニュピ(サカ暦新年) 3月22日 3月11日
聖金曜日(グッド・フライデー) 4月7日 3月29日
復活祭 4月7日 3月31日
イドゥル · フィトリ(断食明け大祭) 4月22日~4月23日 4月10日〜4月11日
メーデー 5月1日 5月1日
ワイサック(仏教大祭) 5月6日 5月23日
キリスト昇天祭 5月18日 5月9日
パンチャシラの日(インドネシア建国5原則の日) 6月1日 6月1日
イドゥル · アドハ(メッカ巡礼最終日) 6月29日 6月17日
イスラム暦新年 7月19日 7月7日
インドネシア共和国独立記念日 8月17日 8月17日
ムハンマド生誕祭 9月27日 9月16日
クリスマス 12月25日 12月25日
政令指定休日 1月23日、3月23日、4月21日、4月24日〜 4月26日、6月2日、12月26日 2月9日、3月12日、4月8日〜4月9日、4月12日、4月15日、5月10日、5月24日、6月18日、12月26日

インドネシアの歴史

7世紀ごろ、ヒンドゥー教や仏教を信仰する王国が栄え、ボロブドゥールや、ムンドットなど現在でも高い評価を受ける遺跡がこの時代に建造されました。

同時期には、東南アジアでもっとも強大な王国であるスリウィジャヤ王国が栄え、以降600年にあたって隆盛を極めました。

その後、13世紀にはヒンドゥー王国であるマジャパイトが東ジャワで台頭。200年にわたってインドネシア全域とマレー半島の一部の統合し繁栄を極めました。また、13世紀にはイスラム教が流入しインドネシア各地にイスラム王国が乱立する状態になりました。

同時期には、ムスリム商人や中国商人がインドネシアにて交易を行っていましたが、次第にヨーロッパ諸国とのかかわりが強まっていきます。17世紀にはオランダがジャワ島のバタヴィアに本拠地を設け、植民地化に乗り出します。

ジャワ戦争やパドリ戦争、アチェ戦争などオランダの植民地化に対して現地では反乱がおきますが、19世紀前半には強制栽培制度が開始されます。

その後、数十年にあたってオランダの植民地支配は続きましたが、独立運動が活発化し始めます。インドネシア独立運動はスカルノを中心として進められ、第二次世界大戦後にインドネシア共和国が誕生しました。

インドネシア宗教観

インドネシア政府では、5つの宗教の信仰を認めています。イスラム教、プロテスタント、カトリック、ヒンドゥー教、仏教、儒教がそれにあたります。全てのインドネシア人は、パスポートやIDカードを発行する際に、いずれかの宗教の信仰を申告しなくてはなりません。

無宗教であることはインドネシア人の間では、あまり良い印象を持たれません。そのため、インドネシアでは宗教は比較的生活に身近なものであるということが言えるでしょう。

インドネシアにおいて最も多くの信者を抱える宗教は、イスラム教です。人口の87.2%がイスラム教を信仰しています。プロテスタントは6.9%、カトリックは2.9%、ヒンドゥー教は1.7%を占めます。


<参照>

- Indonesia Investments:Religion in Indonesia
- Statistics Indonesia (Badan Pusat Statistik):Population Census 2010

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