- 高い新規客の割合、リピーター化できるかがカギ
- ハイシーズンは8月
- 観光目的では長期滞在する訪日スペイン人が多数
インバウンドにおけるスペイン市場の特徴とは
訪日スペイン人数は2019年には約13万人で、2023年には約11万6,000人でした。2023年、訪日スペイン人は一人あたり34万1,562円を訪日旅行時に使っています。2023年第3四半期(7〜9月期)に訪日したスペイン人を年齢・性別ごとに見てみると、男女ともに20代が大きな割合を占めています。
また、訪日スペイン人のインバウンド市場で特筆すべき点は「新規客の割合の高さ」「ハイシーズンは8月」「観光目的では長期滞在が多数」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。
訪日スペイン人インバウンド市場、3つの特徴を解説
1. 高い新規客の割合、リピーター化できるかがカギ
2023年第3四半期のデータでは、訪日スペイン人全体のうち、78.6%が初めての来日でした。これは主要20か国の中でイタリアに次いで2番目に高い数値となっています。今後訪日スペイン人市場の規模を底上げしていくためには、この新規客をいかにリピーター化していけるかがカギとなります。旅マエ、旅ナカだけではなく、日本を離れ自宅に戻った「旅アト」の段階でも、アフターフォローやさらなるプロモーションを実施できると有効でしょう。
2. ハイシーズンは8月
コロナ前の2019年までの傾向では、訪日スペイン人に最も人気があるのは8月でした。1~2月以外は年間通して一定の需要があるという見方もできますが、その中でも8月の人気は突出していました。2023年は、8月の訪日数が最も多いことに変わりはなかったものの、10月もそれに近い水準となっています。依然として偏りはありますが、少しずつ""分散""が進んできているのかもしれません。
3. 観光目的では長期滞在する訪日スペイン人が多数
2023年第3四半期のデータでは、観光・レジャー目的で訪日したスペイン人のうち、滞在日数が1週間未満であった人の割合はわずか2.5%でした。最も多いのが「14~20日間」で6割以上を占めていることから、滞在期間は平均的に長いといえます。長い滞在期間の中で、宿泊費や飲食費だけでなく、娯楽・サービス費にも大きく出費してもらうために、高付加価値・高単価なコンテンツを用意できるかがカギとなりそうです。
スペイン人の特徴
スペイン人の性格・国民性
スペイン人の性格・国民性には、一般的に以下のような特徴があるといわれています。
- 華やかで情熱的
- 闘牛とフラメンコで有名なスペインに暮らす人たちも、同じように情熱的な性格・国民性を兼ね備えています。
- 関西人に近い?
- スペイン人の性格・国民性は、関東人が関西人に描くイメージに類似している点がいくつかあります。「陽気」「自由」「マイペース」「おせっかい」「大げさ」などがその例にあたります。また、スペイン独特の文化である「シエスタ(お昼寝)」もマイペースなスペイン人を象徴しているものです。
- 喜怒哀楽がはっきりしている
- スペイン人は喜怒哀楽といった感情を表現することに長けています。自分の感情を包み隠さずに、相手に表現できます。また、スペイン人は一般的に親切だといわれており、相手に気を遣うことに長けています。例えば、スペイン人は会話の途中で相手の気持ちを幾度となく確認します。相手が何を言おうとしているのかを、どうしたら自分の気持ちが相手に適切に伝わるのかを常に考えて行動しています。
<参照>
- 草思社出版:片野優須貝典子著「こんなに違うヨーロッパ各国気質 32か国・国民性診断」
スペイン人と接するうえで気を付けておきたいマナー
スペイン人と接する場合には、以下のポイントに注意しましょう。
- ドアを開けて先に女性を入れるなど、レディーファーストを心がける
- 初対面の人には家族や仕事の話など個人的なことを聞かない
- 食事の際は、食器を持ち上げない
- 食事の際は、音をたてないようにする
- 食事の際は、両腕は常にテーブルの上に出しておく
- 女性にお酌をさせるのは避ける
<参照>
- 明石書店出版:坂東省次「スペインを知るための60章」
スペイン人の親日度・日本語学習者数
スペインは電通「ジャパンブランド調査」の調査対象外のため、親日度について不明です。(*1) 国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、スペインには2015年時点で80校の日本語教育機関と192人の日本語講師が存在し、5,122人が日本語を学習しています。(*2)
<参照>
(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2019」 (*2)国際交流基金 2015年度 海外日本語教育機関調査
スペイン人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?
スペインはAndroidがiOSより人気で、約78%のシェアを持っています。スペインの平均月収は1,457.63米ドルと中水準であり、多くの人はAndroidスマートフォンを選んでいるようです。人気のSNSアプリはiOS・Android共にWhatsAppとTelegramrがランクインしています。WhatsAppはアメリカ企業のSNSアプリで、Telegramはロシア製のアプリです。また、アメリカのFacebookがiOSの第2位に、フランスの大学の学生によって開発されたオープンソースで作られているビデオ会議アプリ「Jitsi Meet」がAndroidの第2位にランクインしており、それぞれ人気のようです。
2023年・2024年 スペインの祝日カレンダー
2023年 | 2024年 | |
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元日 | 1月1日 | 1月1日 |
公現祭(主顕節) | 1月6日 | 1月6日 |
聖ホセの日(または聖サンティアゴの日) | 3月19日または7月25日(州独自でどちらか選択) | 3月19日または7月25日(州独自でどちらか選択) |
聖木曜日 | 4月6日 | 3月28日 |
聖金曜日 | 4月7日 | 3月29日 |
メーデー | 5月1日 | 5月1日 |
聖母被昇天の日 | 8月15日 | 8月15日 |
国祭日(イスパニア・デー) | 10月12日 | 10月12日 |
諸聖人の日 | 11月1日 | 11月1日 |
憲法記念日 | 12月6日 | 12月6日 |
無原罪聖母の日 | 12月8日 | 12月8日 |
クリスマス | 12月25日 | 12月25日 |
スペインの歴史
イベリア半島に位置するスペインは、もともとイスラム世界の一部でした。8世紀から15世紀まで約800年ほどイベリア半島は、中東・アフリカを中心に最盛期を迎えていたイスラム勢力の領土でした。そのため、今でもスペイン・イベリア半島には、そのときのイスラム文化の影響が色濃く残っています。例えば、首都のマドリードはアラビア語で「湧き水の場所、水に恵まれた場所」を表します。8世紀に侵攻したアラブ人が、拠点とすべきにふさわしい場所を探し出した背景が思い浮かびます。
当時隆盛を誇っていたイスラム勢力をイベリア半島、西ヨーロッパから追い出し、キリスト教の土地を守るという名目で行われたレコンキスタ運動(国土回復運動)の結果、15世紀にカスティリア王国とアラゴン王国が統合し、スペインが誕生します。
その後の大航海時代の主役となったスペインは、300年にわたる黄金時代を迎えます。徐々に覇権を失い、衰退化していくと19世紀にはナポレオンが侵攻すると国土はさらい衰退します。その後は、基本的に国内情勢は安定せず、1939年から1975年まではフランコによる独裁政治が続きます。彼の死後、スペインはようやく近代化の道を歩み始め、1982年には北大西洋条約機構(NATO)に,1986年にはヨーロッパ共同体(EC)に加盟。1992年のEU発足とともに加盟国となり、1999年にはヨーロッパ単一通貨ユーロの導入を始めました。
世界的に有名な観光地の多くが位置するスペインでは、現在、観光産業が好調であり、2016年には7,556万人の外国人観光客が訪れています。
<参照>
- 明石書店出版:坂東省次「スペインを知るための60章」
スペイン宗教観
キリスト教、なかでもカトリックと結びつきが強いスペインでも移民の増加ともに、宗教観は変わりつつあります。国立統計局発表の「数値におけるスペイン2012」によると、近年スペイン語圏ではなくそれ以外の地域からの移民が増えているとのこと。例えば、以前多かったエクアドル人やコロンビア人の移民は減少傾向にあり、その代わりにルーマニアやモロッコ、イギリスなどからの移民が増加しています。彼らが信仰する宗教は一般的にイスラム教や正教、イギリス国教など元来スペインにおいて根付いていた宗教とは違うものです。移民の増加とともに、新たな宗教がスペインに入ってきているという点は明らかです。
2010年時点でスペインに暮らすイスラム教徒は130万人となっており、年々その人数は多くなってきています。ただ、国民の多くは未だにカトリックを信仰しているという点には留意するべきでしょう。
<参照>
- 明石書店出版:坂東省次「スペインを知るための60章」
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