国立国際医療研究センター、NECは平成29年(2017年)1月17日、多言語対応した再来受付システムを開発したことを発表しました。外国人患者が受信しやすい環境づくりを目指したもので、病院情報システムと連動しており、音声案内から行先案内票の発行まで多言語で行うことが可能。このような再来受付システムは全国初だといいます。
国外旅行時の病気は、医療機関などの利用が非常に難しくなるため、訪日外国人観光客にとって気がかりなポイントのひとつでしょう。せっかくの観光が体調を理由に台無しになったり、言葉が通じず、誰に頼ればいいかも分からない不安を経験したりすることを望む人はいません。
また、インバウンド需要の高まりにより、国内を移動する訪日外国人観光客が増加すると感染症などが急速に広まっていく可能性もあります。たとえば、2015年に韓国で流行した中東呼吸器症候群(MERS)は、中東から同国内の空港経由で入国した男性が、感染源になったと見られています。この際には感染者らの行動をたどって感染ルートを特定され、対策が行なわれました。
しかし、「訪日外国人観光客が言葉が分からないばかりに病院で診断を受けることを避け、体調不良を我慢しながら移動を繰り返した」といった状況が発生すれば、このような感染拡大防止策を取ることが難しくなります。インバウンド市場を安定的に発展させていくためには、医療面での外国人対応も欠かせないのではないでしょうか。
さて、それでは全国初となる国立国際医療研究センター、NECが開発した再来受付システムとは、どのようなものなのでしょうか。
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国立国際医療研究センターとは
国立国際医療研究センターとは、平成27年(2015年)に国立研究開発法人になった医療機関で、研究所、センター病院、国府台病院、臨床研究センター、国際医療協力局、国立看護大学校といったさまざまな組織から構成されています。
明治元年(1868年)に設置された兵隊假病院にルーツがあり、その後、組織合併、再編などが行われたため、このような多様性のある機関になったのだそう。現在は基礎研究から臨床、それから若手医師、看護師の教育機能までトータルに行っています。
また、同センターは長年にわたって、発展途上国などへの援助活動を行っており、国際的な活動にも力を入れています。2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、平成27(2015)年に国際診療部を設置。翌平成28年度(2016年度)には国際保健政策研究を行う「グローバルヘルス政策研究センター」をを開設して、日本の国際保健に関するシンクタンク機能を強化しています。
再診患者が診察を受けるまでの過程をすべて多言語対応
国立国際医療研究センターが、NECとともに開発した再来受付システムの特徴は、なんといっても病院にやってきたときから診察を受けるまでのステップをすべて多言語対応している点でしょう。
まず、すでにデータが登録されている再診の外来患者が「再来受付機」に診察券を通すと、その人物の母国語で音声案内などが自動で行なわれます。対応言語は、日本語・英語・中国語・韓国語・スペイン語の5ヶ国語。その患者が受診予定の診療科を選択すると、「行先案内票」が発行されます。ここでも多言語対応が行なわれており、日本語が分からなくても診察を受けることができる仕組みになっています。
このシステムは電子カルテ、会計といった院内の情報システムを刷新するにあたって開発されたもので、すでに運用されています。
国立国際医療研究センターは、訪日外国人観光客が一気に増加することが想定されている2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、JMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)を取得しており、今後、JCI(国際的医療機能評価)も取得する予定。このようなシステムを導入した背景には外国人患者の受け入れ体制を強化することで、より国際的な医療機関を目指す同センターの方針があるようです。
まとめ:東京オリンピック・パラリンピックに向け、医療機関もインバウンド対策
国立国際医療研究センター、NECは平成29年(2017年)1月17日、多言語対応した再来受付システムを開発したことを発表しました。国立国際医療研究センターは2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、外国人患者が受信しやすい環境づくりを目指しており、その一環として導入されたもの。診察を受けるまでの一連の過程をすべて多言語対応しているのが特徴です。
言葉の分からない国での旅行時にかかる病気は強い不安を感じさせるだけでなく、感染症などを考えると日本国内にも大きな影響が出る可能性があります。もし中東呼吸器症候群(MERS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)のような病気が発生すれば、日本旅行を避ける流れが発生し、インバウンド業界にも大きな影響が出ることでしょう。
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