観光庁、内閣官房および内閣府は2017年3月31日より「DMOネット」の提供を開始しました。
DMOネットとは、日本版DMOの形成・確立に向けた地域の取り組みを情報面から支援するもので、「誰でも、簡単に、効率的に」観光地域のマネジメント・マーケティングを実施できるよう支援するシステム・ツールです。
今回の記事では、DMOの意味やDMOネットの機能、登録方法について紹介します。
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観光庁の「DMOネット」とは?
DMOネットとは、観光地域のマーケティングやマネジメントに対して、業務の効率化などといった様々な課題の解決を支援するツール・仕組みを提供するサービスです。
観光庁事業「地域が稼ぐためのクラウド等を活用した知的観光基盤整備事業」の委託を受けた(公社)日本観光振興協会と(公財)日本交通公社が本事業の一環として開発・運営するものです。
このDMOネットを介することで、マーケティング・マネジメント業務の効率化を図ったり、専門業者・専門人材の検索・活用、そして、他DMOなどとの情報共有などといった交流を実現し、DMO全体の底上げを狙うものです。
そもそもDMOとは?
DMOとは「Destination Marketing Organization/Destination Management Organization」の略称です。
直訳すれば「目的地に関するマーケティングやマネジメントを行う組織」となります。
DMOの目的は
- 観光事業者や観光地自体がマーケティング機能を有し
- プロモーションを国内外に対して行い
- 自ら稼ぐ力を付けて
- 運営コスト負担を自ら賄う
ことにあり、現在の日本のインバウンドにおいて、インバウンドを地方誘致するための観光地域づくりが抱える課題を解決すべく、日本版DMOの形成・確立が必要だとされています。
最近インバウンドで良く耳にするDMOって何?そもそもDMOとは何なのか、なぜ日本のインバウンドにもDMOが必要なのかを解説
インバウンドビジネスに関わる皆さんも、最近DMOという言葉を耳にする機会が多いのではないでしょうか?でも「そもそもDMOが何なのかわからない。」という方もいるかと思います。そんな方に向けてDMOとは何なのか?日本でのDMOについて解説していきます。目次DMOとは何か?DMOの目的インバウンドにおけるDMO:日本版DMOがなぜ必要なのか?インバウンドで日本版DMOが必要な理由その1:関係者の巻き込みが不十分インバウンドで日本版DMOが必要な理由その2:データの収集・分析が不十分インバウンドで...
DMOネットの機能は3つに分類される
このDMOネットの主な機能は
- マーケティング・マネジメント業務の効率化
- 専門業者・専門人材の検索・活用
- 他DMO等の情報取得・活用
の3点があります。それぞれ見ていきましょう。
1. 観光業界のマーケティング・マネジメント業務の効率化
そもそも日本版DMOの重要性が叫ばれている理由の一つとして、データの収集・分析が不十分であるという課題があげられます。
つまり、観光客に関するデータの収集・分析が不十分なために、観光客を十把一絡げに扱っている地域が少なくなく、観光戦略が整っていない地域が数多くあるということです。
これを解決すべく、DMOネットにはグループウェア機能があります。掲示板やカレンダーなどで、DMOの組織内や地域の多様な関係者と情報を共有することで、業務の効率化や合意形成を促進します。
その他、データ分析機能としてRESASとの機能連携をしたり、旅行客の消費動向などのデータをオンラインで調査・分析できるツールなどを提供。また、既存のWEBサイトやSNSの分析機能なども提供していきます。
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2. 専門業者・専門人材の検索と起用
また、日本版DMOの形成の必要性として語られる要素として、観光地域づくりにおいて、民間的な手法の取り入れが不十分である点があげられます。
つまり、効果的なブランディングやプロモーションといった民間的な手法の導入が不十分なため、観光客に対して魅力的な、競争力を持つ観光地ブランディングができていないということです。
これを解決すべく、DMOネットでは、観光地域づくりに必要な専門的ノウハウや、有用なサービスを提供可能な民間事業者、専門人材を検索できるシステムを導入しています。
それぞれのDMOのニーズにあわせて、検索・コンタクトをとることができる、いわば”マッチング機能”が提供されています。
また、専門事業者・専門人材にDMOネットの掲示板機能を通じて相談することも可能で、直接コンタクトをとって連携するもよし、一旦、掲示板上で相談するもよし、といった格好になっています。
3. 他DMO等の情報取得
民間事業においてもある課題に対して他社の成功事例を参考にして解決を図ることは定石ですが、これはDMOにおいても同じです。
ただし、DMOは比較的新しい取り組みであり、参考にすべき事例や情報が入手しづらくなっています。これらの情報をいかに取得できるかはDMOにとっての課題です。
DMOネットでは、他地域の優れた取組事例や、国の各種支援メニューなど、観光地域づくりに役立つ多様な情報を一元的に集約・発信しています。
DMOはネット上にばらばらになった情報ソースそれぞれを自力で探し出す必要がなくなり、効率的に情報収集することができます。
この情報発信とともに、DMO間の連携・交流を促進する仕組みとして、各DMOが自由に書き込める掲示板を提供します。
これにより各DMOに共通の課題や関心事などについて情報や知見の交換をすることができます。
観光庁によるDMOに対する本格的な支援がスタート
先日閣議決定された「観光立国基本計画」においても、2020年までに世界水準DMOを100組織形成することが盛り込まれており、これからの日本のインバウンドにおいて、また観光立国をはたすためにも、今後DMOの役割は重要味を増していくものと思われます。
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インバウンドにおいて今後も成長するためには、リピーターを獲得が必要不可欠であり、そのためには都市部や主要観光地だけでなく、地方部の魅力を発信していくことが重要だと考えられます。そのため、DMOの形成や、その支援に関する取り組みには今後注視していく必要があるでしょう。
なお、今回ご紹介したDMOネットの各種機能を利用するには、事前に日本版DMO候補法人として観光庁に登録すか、事業者としてDMOネットから登録することが必要となっています。
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