事例で読み解く訪日外国人観光客への言語対応:まずは英語?それとも中国語?

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日本人ではないユーザーの獲得を目指すインバウンドビジネスを行ううえで、絶対に欠かせないのは外国語の対応です。英語中国語、韓国語などを使って情報発信、コミュニケーションを行わなければ、訪日外国人観光客には情報が入らず、仮に足を運んできてくれたとしても、居心地が悪いと思われてしまうでしょう。

とはいえ、複数の外国語に対応するにはスキルのある人材が必要ですし、コストもかかります。いったいどのように行っていけばよいのでしょうか。今回は、その方法と事例をご紹介します。


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インバウンドビジネスにおいて優先的に対応すべき言語は?

訪日外国人観光客向けのインバウンドビジネスを行う際、世界中の人々に顧客となる可能性があります。たとえば、今まで日本語のみで行っていた情報発信をその他の言語でも行う場合、そのためにできることとしては、新たに看板やパンフレットを制作し、日本語の文章の下に他の言語で同じ内容の文章を書くことなどが挙げられます。しかし、この際の問題は、いったい何語で書けば良いのかということ。世界中のすべての言語に対応することは現実的に不可能です。実際には網羅的にではなく、特に力を入れるべきいくつかの国の言語に対し、優先的に対応していくことになるはずです。

2016年現在、訪日外国人観光客の大部分は中国台湾香港韓国といった東アジアから来ています。このように考えると、まずは中国語、韓国語から対応するのが得策のように思えます。しかし、アメリカイギリスフランスといった欧米諸国、タイベトナムなどの東南アジア諸国からの訪日外国人観光客もおり、これらの存在も無視することはできません。

たとえ母国語でないとしても、より多くの人が理解できる言語から対応すべきだろうと考え、まずは英語から優先的に対応すべきだと言えるでしょう。母国語のほうが読みやすいのは間違いないはずですので、まずは英語に対応し、その次に中国韓国語のような特に力を入れたい国の言語に対応していくべきだと思われます。

インバウンドビジネス向けに翻訳、通訳サービスの提供を行っている事業者はかなり多い

外国語を正しく理解し、それを書いたり話したりするのは専門的なスキルです。一朝一夕で身に付くものではありませんし、そのような人材が存在しない会社も少なくないでしょう。現在、訪日外国人観光客の増加に伴い、翻訳サービスを行う事業者が数多く現れています。多言語対応に強みを持っている企業でないならば、パンフレットやWebサイトを制作する際にはこれらの事業者に依頼するのが無難でしょう。

また、通訳サービスを対応している事業者も少なくありません。これらを利用すれば、店頭で起こったトラブルにも対応できますし、より訪日外国人観光客のニーズに合った接客が可能になります。とはいえ、気になるのは、やはり価格でしょう。通訳はその場の会話を訳していくものなので、パンフレットやWebサイトのような一度作れば、使いまわせるわけではありません。

たとえば、低価格に利用できるものとしては、たとえば、スマートフォンやタブレットを使って通訳者と接続できるサービスが存在します。必要なときだけ通訳者を呼び出して、外国人との会話を逐一訳してもらうことができます。料金は事業者によりますが、月に数万円程度で利用できます。

正社員やアルバイトとして通訳できる人材を雇うと高い人件費がかかりますし、英語以外の言語にも対応するならば、複数人雇う必要があります。業種によってはほとんどの顧客が日本人で、外国人は比較的少ないというケースもあるでしょう。このような事情を考慮していくと、自社で人材を獲得するよりは、うまく他社のサービスを利用するのが賢いやり方であるように思えます。

外国語対応の事例

海外に行くのならば、母国語が通じないのは当たり前。ですが、言葉がまったく分からないのは不便ですし、旅行がつまらないものになってしまいます。言葉が通じるか否かは旅行先、旅行プランを決めるうえで非常に重要だと言えるでしょう。

では、実際にはどのように外国語対応すればよいのでしょうか。いくつかの事例を紹介します。

通訳案内士が、丁寧にツアーをガイド

株式会社トラベリエンスは、通訳案内士(有償での外国人の案内ができる国家資格)による訪日外国人ガイドツアー、訪日外国人観光客通訳案内士をつなぐプラットフォームサービス「travelience/TripleLights(トラベリエンス/トリプルライツ)」を行っています。2013年3月にサービス開始し、その約1年半後にはすでに2000名以上の訪日外国人観光客の集客に成功したそう。

ツアーに通訳案内士が同行して、訪日外国人観光客の質問に対して答えたり、日本の歴史などについて解説したりと丁寧に対応します。日本の魅力を満喫できることで人気を集めているようです。それぞれの案内士の個性や趣味を活かした、変わったツアープランも存在するのも特徴です。特に欧米で注目されており、対応言語は英語スペイン語、ドイツ語など多数。

スマートフォンアプリを利用した多言語対応

富山県の県立山博物館は、「みんなのミュージアムガイド」という無料アプリをダウンロードすると、英語中国語の音声で館内を案内するサービスを開始しました。通訳なしで、展示を楽しむことができるようになっています。

これまで博物館全体を紹介するチラシは用意していたものの、内容が不十分で詳細な解説をしてほしい、という声が挙がっていたことを受け、導入されました。さらに、多言語で展示物などの説明文を表示する映像モニターも設置しています。

外国語への対応が遅れてしまったケース

これは多言語対応が遅れてしまった場合の事例です。沖縄県では、訪日外国人観光客の消費額が他県に比べて低いという調査結果が出ています。2015年に沖縄を訪れた訪日外国人観光客の消費総額は1300億円前後となる見込みですが、全国と同水準だったならば約2300億円になる計算で、約1000億円もの開きがあります。

訪日外国人観光客へのアンケートでは無料で利用できるWi-Fi(ワイファイ)の利便性、外国語対応能力の低さに対する不満の声があがっており、消費額が少なくなってしまった原因だと考えられます。ここから、観光資源があったとしても、それを活かすための準備をしなければインバウンドビジネスはうまくいかないという教訓が得られるのではないでしょうか。

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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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