先日、6月12日(日)に行われた「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」。同大会は富士スバルラインの料金所手前から五合目までの距離25km、1,270mを駆け登る自転車のヒルクライム(坂登り)レースです。
同日6月12日に「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」公式HPに発表されたリザルトをみると、意外と外国人名がチラホラ目につきます。訪日ラボで訪日豪州人観光客のサイクリングの人気についてお伝えしたように、スポーツツーリズムの波がじわじわと広まっています。
今回は、「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」の参加者を、インバウンド目線で分析して見ようと思います。
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そもそも「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」とは?
「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」とは、毎年6月上旬に行われる、日本でも有数のヒルクライムレース(主にロードバイクで山を登りタイムを競う競技)です。
富士登山道の吉田ルートの玄関口となる富士スバルライン(富士山有料道路)をコースとしており、富士スバルラインの料金所手前から五合目までの距離25km、1,270mを、約8,500名のサイクリストが駆け上ります。
受付が行われる大会前日は「サイクルエキスポ」や「トークショー」などのイベントが盛りだくさんで、大会当日だけでなく2日間たっぷりと自転車を楽しむことができる人気イベントです。
リザルトを分析してみると、外国人参加者は158名
「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」公式HPには開催日同日にリザルトが発表されました。大会に出走したサイクリストの登録No.・氏名・所属クラブ・記録・順位が一覧となっており、名前を見てみると、ちらほらと外国人名が見受けられます。
このリザルトから登録名が日本人名でない方を抽出する方法で、外国人参加者を推定してみました。その結果、今回の「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」では158名の外国人サイクリストが参加していたことが分かりました。
全出走者が8000名弱ですから、およそ参加者の2%が外国人サイクリストということになります。もちろん、その全てが訪日外国人観光客では無いことが想定されるものの、
- わざわざ自転車でヒルクライムレースをしに日本に来る訪日外国人がそんなにいるのか
- スポーツツーリズムは想像以上に集客力があるかもしれない
- 富士山という観光ブランド力が訪日外国人の参加を後押ししているのかもしれない
などと、様々な推測や感想を抱く、面白い数字となりました。
また、登録名及び所属クラブから国籍を割り出すと
- 台湾:76名
- 香港:17名
- その他:65名
と、訪日台湾人観光客と訪日香港人観光客で過半数を占める結果となりました。
台湾の旅行代理店「Lion Travel」が「富士山サイクリングチャレンジレース_東京ツアー5日間」を企画していた
先述のリザルトの外国人サイクリストを見てみると、「Lion Travel」という所属クラブ登録が40名もいることに気づきます。調べてみると、「Lion Travel」とは「雄獅旅遊」という台湾の旅行代理店であり、「富士山サイクリングチャレンジレース_東京ツアー5日間」というツアープランを用意しており、「Lion Travel」としてのクラブ登録者は、このツアープラン参加者であることがわかります。
ツアープランは
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1日目
- 桃園国際空港で集合、成田空港に到着後、ホテル湖龍にチェックイン
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2日目
- 河口湖湖畔で明日のレースに向けウォーミングアップと前日受付を済ませる
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3日目
- 「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」にチャレンジ
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4日目
- 鎌倉に移動し、鶴岡八幡宮や大仏などを観光し、新宿へ
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5日目
- 早朝から築地市場に行き新鮮な海鮮料理を堪能、その後アメ横でショッピングをし、成田に移動後成田山観光の後帰国
という短縮版ゴールデンルートと言っても良い旅程です。
次に多い所属クラブは台湾の大手自転車メーカーチーム「Giant Liv」
他の外国人サイクリストの所属クラブで目立つのは「Giant Liv」です。今回はこのクラブから26名の参加でした。
「Giant」とは、台湾にある世界最大手のスポーツ自転車メーカーです。大手ヨーロッパメーカーのOEM専門から独自ブランド化した経緯があり、OEMで習得した技術と人件費の安さから、非常にコストパフォーマンスに優れた製品をリリースしています。廉価モデルからハイエンドモデルまで幅広いラインナップがあり、あらゆる購買層をカバーしており、昨今のスポーツ自転車ブームの後押しもあって街中で見かけることも多いのではないでしょうか?
その「Giant」のラインナップの内、レディースモデルを取り扱うのが「Giant Liv」というラインです。今回の「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」にもブース出展していることや、「Giant Liv」でサイクリングチームを所有していることから、そのチームやGiantの社員、関係者からの出場枠だと推測されます。
「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」のインバウンド消費は推定1,300万
さて、インバウンド消費にフォーカスを当てて「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」を見てみましょう。
今回の「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」では、前述のとおり外国人サイクリストの参加人数は158名でした。
本レースの参加費用は1万円。そして、過半数を占める台湾、香港の1訪日あたりの消費額は14〜15万のため、その内半分程度をレース関連グッズ、自転車用品、宿泊代、飲食代に使ったと推定し、参加費以外の消費額は7万とします。そこから導き出される「富士の国やまなし 第13回Mt.富士ヒルクライム」のインバウンド経済効果は、少なく見積もって1,300万円にもなります。これは地方が1イベントで叩き出すインバウンド消費としては、なかなか侮れない額だといえるでしょう。
まとめ:スポーツツーリズムはまだ発掘の余地あり
最近、国内で弱虫ペダルブームの後押しもあり人気が高まるスポーツ自転車ですが、世界的に見たらまだまだ注目度は低いといえます。
次回はスポーツツーリズムと自転車の関係、そこから広がりうるサイクルツーリズムによるインバウンド効果について迫っていきたいと思います。
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