8月17日の下野新聞によると、栃木県佐野市は、イスラム教徒の訪日外国人観光客誘致を目指し、イスラム教徒向けのツアーの開催など、インバウンド対策を行うことを発表しました。「ジャパンハラルツアーセンター」と「両毛ムスリムインバウンド推進協議会」との3社で、これらのインバウンド事業は行われるとのことです。
同市では、今年7月18日に「ムスリムソン」も行いました。これは、イスラム教徒を意味する「ムスリム」と「マラソン」を組み合わせた造語。イスラム教徒の訪日外国人観光客に佐野市内をマラソンしてもらい、観光も楽しんでもらおうという試みの模様です。このように、佐野市では、ムスリムの訪日外国人観光客誘致を積極的に進めています。
また、訪日外国人観光客に人気のスポットである富士山周辺でも、ムスリムの訪日外国人観光客誘致が進んでいます。河口湖に開業したイスラム教徒向けのホテル「シャリアホテル富士山」について、その詳細と背景についてご紹介します。
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河口湖に「シャリアホテル富士山」がオープン:イスラム教徒の訪日外国人観光客誘致へ
山梨県富士河口湖町に、「シャリアホテル富士山」がオープンしました。これは、イスラム教徒専用の宿泊施設です。
イスラム教徒の多いインドネシアやマレーシアからの訪日外国人観光客の増加を背景に、7月21日から営業を開始しました。
全8室で、基本料金は1泊素泊まり1名5,400円~。夕食、朝食をつけることもでき、食事は全てハラール食(イスラム教義として”許された”食事)が提供されます。
「シャリアホテル」とは、イスラム教の戒律に従ったホテル:ムスリムにとっては安心した宿泊が可能に
今回ご紹介する「シャリアホテル富士山」の名前に冠されている『シャリアホテル』とは、『イスラム教のきまりにのっとった運営を行うホテル』という意味です。具体的には
- 豚肉使用食品やアルコール飲料を一切提供しない。
- イスラムの教義に沿った食べ物のみを提供する。
- 男女が同室を利用する際には結婚した証明書を必要とする。
- 女性従業員はヒジャブやスカーフを着用する。
- 室内装飾やパンフレットに注意する。
が、その規定として定められています。施設内にはウドゥー(*)用の水場、礼拝室が設置されます。室内には、メッカの方向を示すシールも貼られ、イスラム教徒にとって安心な旅行が可能になります。
*ウドゥー:イスラム教で礼拝の前に体の一部を水で洗う清めの行為のこと。
背景にはイスラム教徒の訪日外国人観光客の増加:主にインドネシア、マレーシアから
観光庁による「ムスリムおもてなし ガイドブック」によれば、近年、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムなど東南アジアからの訪日外国人観光客の数が増加しています。
そこで重要な点は、マレーシアでは、人口の約61%にあたる1700万人、インドネシアでは約88%にあたる2億人が、イスラム教徒だということです。
よって、より多くの東南アジアからの訪日外国人観光客誘致を実現するには、イスラム教徒の訪日外国人観光客への受け入れ対応が、求められます。
それでは、東南アジアからのイスラム教徒の訪日外国人観光客数が増加している理由は何なのでしょうか?
「ビザの緩和」「LCCの就航増加」が理由に:観光庁では「訪日ムスリム外国人旅行者受入環境整備等促進事業の実施地域」を選定
イスラム教徒の訪日外国人観光客数が増加している主な理由として、
- ビザ要件の緩和
- LCC(格安航空会社)の就航増加
が、挙げられます。この2つの要因によって、東南アジアの人にとって日本旅行が、手軽なものになったと言えます。
また、2015年12月16日の観光庁の報道発表によると、観光庁では、マレーシアやインドネシアなど、イスラム圏からの訪日外国人観光客が、増加することを見込み、「訪日ムスリム外国人旅行者受入環境整備等促進事業の実施地域」を選定しました。
これは、全国からイスラム教徒の訪日外国人観光客誘致に意欲的な地域を選定し、選定された地域を、国が支援するというもの。ムスリム向け宿泊施設の増設や、食や礼拝への対応、イスラム教徒の訪日外国人観光客への情報発信が支援対象にあたります。
- 富山県朝日町・新潟県糸魚川市・上越市・長野県小谷村・白馬村・大町市
- 岐阜県高山市・白川村
- 三重県鳥羽市
これらの地域がこの支援対象にあたり、イスラム教徒の訪日外国人観光客に対するインバウンド対策が進められています。
イスラム教徒の訪日外国人観光客に対するインバウンド対策として、集客する際の注意点を、以下の記事でも解説しています。
訪日外国人観光客としてイスラム教徒を集客する際の注意点:親日国は多いが、旅行しにくいとの印象
イスラム教徒(ムスリム)は世界に約16億人おり、世界人口の約4分の1を占めています。パキスタン、イラク、アラブ首長国連邦といった中東諸国に多いイメージがありますが、イスラム教徒の約6割はアジア諸国で生活しています。特に注目されるのはインドネシア、マレーシア、シンガポール、インドなど著しく経済発展している地域に、イスラム教徒が数多く住んでいること。今後、富裕層、中間層の人口が増加すれば、インバウンドビジネスにおいて大きな市場になることが見込まれています。今回は、今後増加すると思われるイスラム...
まとめ:ムスリム訪日外国人観光客数増加から、専用ホテルは注目を集めるか:国からの補助もあり全国的にもムスリム受け入れは加速へ
「ビザ要件の緩和」「LCC(格安航空会社)の就航増加」から、イスラム教徒の訪日外国人観光客数が増加しています。ここから「シャリアホテル 富士」のようなムスリム向け宿泊施設は増えることが予測できます。イスラム教徒の訪日外国人観光客集客を検討している自治体は、政府の主催する事業に応募するというのも一つの手です。
また、宿泊業界や自治体に限らず、今まで主に英語圏、中国語圏からの訪日外国人観光客に対しての、インバウンド対策のみを行っていた行っていた企業は、「イスラム圏」という新たなターゲットへ向けてインバウンド対策を開始しても良いかもしれません。
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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
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【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか
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