世界でQRコードは使われているのか?Googleトレンドから見る海外の二次元コード普及推移

日本ではQRコードが普及しており、街中やチラシ、テレビやWEBメディアなどで様々な活用がされています。訪日外国人観光客向けに、多言語化された拡張情報を提供するために、近年その利用価値が更に高まりつつあるQRコード。実は日本生まれだということを知らない方も意外と多いのではないでしょうか。

そこで気になるのが「海外ではどれだけQRコードが普及しているのか?」という疑問です。せっかくインバウンド対策としてQRコードを活用しても、対象となる訪日外国人観光客がQRコードを認知していなければ意味がありません。

今回は、Googleが提供する検索ボリューム調査ツール「Googleトレンド」を利用して、世界各国でのQRコードの普及の推移を紹介します。

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QRコードとは?:日本産まれの画期的な2次元コード

デンソーの商標登録「QRコード」(リンク先はhonichi.com)

デンソーの商標登録「QRコード」(リンク先はhonichi.com)

QRコードとは、1994年に日本の世界最大手自動車部品メーカー「株式会社デンソー」が開発した2次元コードです。

従来のバーコードが縦方向のみの情報だったのに対し、縦横の2次元の情報をもたせることを可能にしたことにより、格納できる情報量が多くなった画期的なコードシステムです。

「QRコード」という名称はデンソーウェーブ(株式会社デンソーの子会社)の商標登録となっており、また特許権も同社が持っているものの、QRコードの利用については特許権の行使をしないとしています。これはQRコードを普及させ、その読取機機でマネタイズをするというデンソーの経営戦略によるものです。

2000年のISO規格化で世界へ進出、2002年には携帯電話で広く普及

1994年のリリース以降、デンソーはQRコードの普及のためにインフラ整備をし、規格化を進めていきます。

1997年に自動車認識業界の規格であるAIM規格に制定され、1999年には日本工業規格(JIS規格)、そして2000年に国際規格であるISO規格に制定されました。

それと同時期の2002年、シャープが開発、J-PHONE(現・ソフトバンク)が販売する「J-SH09」が発売されました。

同機種はフィーチャーフォン(ガラケー)において、初のQRコード読み取りに対応した機種。この機種を機に、日本のフィーチャーフォンでQRコードリーダーが標準化していき、それと同時に日本でのQRコードが浸透していきます。

主要訪日国でのQRコードの知名度・普及率は?

2002年のフィーチャーフォンでのQRコードリーダー対応から、日本国内で爆発的な普及を見せたQRコード。2000年に国際規格であるISO規格に制定されたものの、その認知度が海外で一般に広まったのはいつごろなのでしょうか?

知名度や普及率のひとつの指標として、キーワードのトレンドや趨勢を調べることができるツール「Googleトレンド」を利用し、各国での検索知名度の推移を追ってみます。

主要訪日国では2012年までに検索知名度が向上

各主要訪日国の「QRコード」検索推移一覧

各主要訪日国の「QRコード」検索推移一覧

主要訪日国全体では検索数上昇開始がおよそ2009年から2011年中頃までにはじまり、2010年後半〜2012年頃には検索ボリュームのピークを迎えます。

この時期は、ちょうどスマートフォンの世界的売上台数が急増した時期と重なります。発売後3日間で400万台の売上を記録したAppleのiPhone4sが発売されたり、Android搭載スマートフォンの総数が1億台を超えたのも2011年のことです。

総務省 情報通信白書平成24年度版「スマートフォン世界市場における地域別シェア変化(台数ベース」より引用

総務省 情報通信白書 平成24年度版「スマートフォン世界市場における地域別シェア変化(台数ベース)」より引用

2011年のスマートフォン販売台数は、アジア太平洋地域で対2009年比で4.2倍、その他の地域でもおよそ2〜3倍程度に成長した年でもあります。

いままで日本のいわゆるガラケー(フィーチャーフォン)特有の機能であったQRコードリーダーが、スマホの普及&アプリ化により、その利用価値が向上、普及が進んだものと見られます。

それでは、各主要訪日国における「QRコード」の検索トレンドを見ていきましょう。

中国でのQRコードの検索推移:2012年から検索数が急上昇

中国本土においては、中国政府の政策によりGoogle関連サービス、YoutubeやTwitter、Facebookと言った海外製のWEBサービスへのアクセスが制限されています。

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昨年(2015年)以来、中国経済を語るうえで重要なキーワードとなっているものに「互聯網(フーリエンワン)+」(インターネットプラス)があります。これは中国国務院(日本の内閣に相当)総理の李克強氏が唱えたコンセプトです。

その規制は世界最大手検索のGoogleに対しても適用されており、中国本土からGoogle検索をする場合にはVPNやプロクシサービスを利用して、その規制を飛び越える必要があります。そのため、大多数の中国人は中国製検索サービス「百度(バイドゥ、Baidu)」を使っているので、今回指標として取り上げるGoogleトレンドでは正しい計測ができません。

百度においても、Googleトレンド同様、「百度指数」という検索ボリュームの統計サービスがあります。しかしながら、現在では基本的に中国本土でしか使用できません。

少々古い情報になりますが、日経トレンディーネットの2013年の記事「QRコードが普及し始めた中国! その使い道とは?」(※2020年11月末時点、公開終了記事)で百度での検索ボリュームの推移が紹介されていました。

同記事によれば2012年から検索数が急激に上昇しており、このころからQRコード(中国語では「二維碼/二维码(アーウェイマ)」)が普及し始めたことが推測できます。

台湾でのQRコードの検索推移:2011年6月頃から検索数上昇

Google Trend より引用

台湾でのQRコードの検索推移:Google Trend より引用

台湾と後述の香港においては中国政府のネット規制は適用されていないため、Googleトレンドにおいて検索数の推移を把握することができます。「QRコード」の中国語名(繁体字)の表記は、先述の通り「二維碼」ですが、異常な推移を見せています。

これは、Googleトレンドの指標の表示方法によるものです。Googleトレンドで表示される値は、期間内の相対的な数値となります。

特定の地域と期間について、グラフ上の最高値を基準として検索インタレストを相対的に表したものです。100 の場合はそのキーワードの人気度が最も高いことを示し、50 の場合はそのキーワードの人気度が半分であることを示します。ー「人気度の動向」の注釈:Googleトレンドより引用

平均値からもわかるように、そもそも絶対的な検索数が少ないことが前提にあり、何かしらのタイミングで検索数が増えた際にこのような推移を見せます。少々わかりづらいので、「二維碼」を省いた表を見てみましょう。

Google Trend より引用

台湾でのQRコードの検索推移:Google Trend より引用

こちらのほうが台湾におけるQRコードの検索数推移を正しく表しているといえるでしょう。

台湾では2011年6月を機にして、2011年末ごろには現在と同水準の検索がされています。よって、2012年ごろから現在と同様の普及率になったものと思われます。

香港でのQRコードの検索推移:2011年6月頃から検索数上昇

Google Trend より引用

香港でのQRコードの検索推移:Google Trend より引用

香港においても、台湾同様に2011年6月から検索数が増え、2011年11月には検索数のピークを迎えます。

また「二維碼」での検索はほぼ無いため、中国本土以外の中華系の国や地域においては「QR code」と表記したほうが通りが良いことも、ここから伺うことができます。

韓国でのQRコードの検索推移:2010年末頃にもっとも検索される

Google Trend より引用

韓国でのQRコードの検索推移:Google Trend より引用

韓国では他の東アジア勢よりも早く、2010年2月を機に2011年2月にかけて検索数が急上昇していきます。

また、「QRコード」について英語で「QR code」ではなく、韓国語で「QR 코드」で検索されることも特徴です。

タイでのQRコードの検索推移:タイでは更に早く、2009年末から

Google Trend より引用

タイでのQRコードの検索推移:Google Trend より引用

タイでは2009年12月ごろから検索数が急上昇。およそ1年かけて2010年10月にもっとも検索されています。

なおQRコードのタイ語訳「รหัสคิวอาร์」では全く検索されていないことがわかりますので、訪日タイ人観光客向けに「QRコードを読み取って下さい」といった案内をする際は、素直に「QR code」と案内すると良いでしょう。

アメリカでのQRコードの検索推移:2010年末から2011年にかけて穏やかに普及か

Google Trend より引用

アメリカでのQRコードの検索推移:Google Trend より引用

アメリカでは、今まで紹介した東アジア・東南アジアの地域と違い、急激な変化はありません。

2010年1月から2011年8月にかけて、およそ2年間でじわりじわりと検索数が伸びていっています。

カナダでのQRコードの検索推移:アメリカ同様に2011年にかけて緩やかに検索数増

Google Trend より引用

カナダでのQRコードの検索推移:Google Trend より引用

カナダはアメリカと同様で、2010年1月から2011年10月にかけてゆるやかに検索数が伸びている傾向があります。

イギリスでのQRコードの検索推移:イギリスでも2011年に検索数ピークを迎える

Google Trend より引用

イギリスでのQRコードの検索推移:Google Trend より引用

やはりアメリカやカナダと同じく、2010年初頭から2011年末にかけてゆるやかに検索数が上昇していき、2011年11月にピークを迎えます。

オーストラリアでのQRコードの検索推移:他の欧米圏とは違う傾向に見えるが…

Google Trend より引用

オーストラリアでのQRコードの検索推移:Google Trend より引用

オーストラリアにおいても2010年初頭から2012年にかけて普及していった模様です。

オーストラリアで「QR」の検索数が初めからあったのは、クイーンズランド州に「Queensland Rail(現 QR Limited)」という鉄道会社があり、その略称が「QR」であることが影響しています。2010年10月に「QR」の検索数が急上昇しているのも、この頃に民営化が行われたためです。

QRコードは2012年ごろには海外で普及か

検索のトレンドは「普及率」とイコールではありませんが、「気になることは検索する」という文化が浸透しつつある現状においては、「検索キーワード」や、その「検索ボリューム」「検索ボリュームの推移」は世相を表しているといっても過言ではないでしょう。

今回の調査では、2012年ごろまでには各主要訪日国において「QRコード」の検索ボリュームがピークを迎えていたことがわかりました。

その背景にはスマートフォンの普及の後押しがあったと考えるのが自然でしょう。そのため、検索ボリュームのピークから4年経過した現在、「訪日外国人観光客のQRコードの認知率は高い」といえるはずです。

次回は各国のQRコードの利用例から、その普及率に迫りたいと思います。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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