現在、多くのインバウンド向け動画は、英語・中国語(北京語/簡体字)・日本語の3ヶ国語で展開されることが多くなっています。しかし、世界には多数の言語があり、英語・中国語(北京語/簡体字)をおさえたとしても、言語が伝わらない国々が多くあります。
日本政府観光局(JNTO)による訪日外国人観光客数は、上位10カ国までの国が、それぞれ異なる言語を使用しており、それら一つ一つの国に言語展開することは様々な理由から難しく、インバウンド動画プロモーションの言語展開対象言語を限定せざるを得ない状況となっています。
そのような条件において 「映像文法」つまり映像における”お作法” は言語によらず視聴者に意図を伝えることができるソリューションとなります。この「映像文法」について、今回はご紹介したいと思います。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
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インバウンドの約88%がアジア系 その上位10位まで9つの母国語で構成されている
インバウンドにおける主要顧客はどのような言語を使っているのでしょうか?JNTOより発表されている訪日外客数の最新版、2月の集計を見てみましょう。
インバウンド市場における訪日外客数 上位4カ国をとっても、公用言語は全て異なる言語を使用しています。
- 1位:韓国=韓国語
- 2位:中国=(各地域・民族ごとに方言がたくさんありますが、)基本的に北京語/文字は簡体字。
- 3位:台湾=北京語/文字は繁体字。南方や年配者は台湾語
- 4位:香港=広東語/文字は繁体字
続くインバウンド市場 訪日外客数ランキング5位以下の国々もそれぞれ言語が異なっています。
- 5位:タイ=タイ語
- 6位:マレーシア=マレー語
- 7位:フィリピン=タガログ語
- 8位:ベトナム=ベトナム語
- 9位:インドネシア=インドネシア語
- 10位:シンガポール=英語・マレー語・北京語・タミル語
インバウンド向け動画の言語展開を最小限に留める「映像文法」とは
今後、インバウンド動画プロモーションを活用し、より多くの国から外国人訪日観光客を増やすためには、映像表現の整備が必要であると考えられ始めています。すなわち「 映像文法」の整備 です。
映像文法とは、読んで字のごとく映像における文法を意味しています。文法とは、文章を構成するきまりや規範です。つまり映像における 映像文法とは「映像を構成するきまりや規範」といった意味 になります。
映像文法を整備することによって「 伝えたい内容をストレートに表現することができ、また言語に頼らずとも正しく伝えることができる 」というメリットがあり、必要最低限の言語展開であっても”伝わる”動画にすることができるのです。
基本的な映像文法の例
映像文法の理解のために一例を出すと、
- 1カット目:人物が驚く顔+2カット目:(美しい)景色=驚くほど美しい景色
といった、分かりすいカット編集構成にすることで、 視聴者が深く考えることなく、感覚的に内容を伝えることができる ものです。映像文法がしっかりと構成されたインバウンド向け動画は、 言語展開を行っていない国の視聴者に対しても、内容や意図を正確に伝えることが出来ます 。
言語を超えた理解が必要とされる動画プロモーションの有名な場として、世界最大のスポーツイベント・オリンピックのプロモーションがあります。この「映像文法が整った、伝えたい内容がストレートに表現されている」事例として、記憶にも新しいリオ五輪閉会式で流された次期開催都市TOKYO紹介の動画を見てみましょう。
映像文法から見るリオ五輪閉会式 次回開催都市TOKYO紹介動画
リオ五輪閉会式で展開された東京五輪の紹介映像は、クールでスピード感を感じながらも、 映像文法の整った分かりやすいカット構成で展開 されています。
スポーツ、日本を表現した本映像は前後のカットとの繋がりは全て共通点があり、まるで連想ゲームのように見れるストーリーになっています。それでは、冒頭カットから見ていきましょう。
「2020年に向けてウォーミングアップしている東京は、スポーツを愛している」というメッセージからスタートします。
CUT1〜3:各種目にあるポーズ・動きつなぎ。
CUT4:中休み(ゴール/的を狙う視線)
CUT5~7:ゴールに向かって一斉にスタートする種目
CUT8:水を切って伸びある姿勢で進んでいく水泳→低い姿勢で突き進む新幹線
CUT9:伸びのある動きで、一点を突くフェンシング
CUT10:中休み(東京の街)
CUT11:上空へ向かって駆け上がっていくカメラワーク(次カット選手目線とシンクロ)
CUT12:スカイツリーを飛び越える棒高跳び選手
CUT13:高飛びの選手と同じ目線のカメラワークからの東京
全てのカットで被写体の動き・カメラワーク・メッセージなど、前後のカットと繋がりのあるカットが展開されていきます。
本映像は冒頭箇所以外の部分では言語テロップを使用していないにも関わらず、カットとカットの繋がりを丁寧に描くことで、言語・文化・国境を超えた全ての視聴者に、無意識のうちに理解でき、魅力的に感じてもらえるような構成になっています。
まとめ:言語・国境を超えたインバウンド動画プロモーションでは、映像文法を重視
日本に興味を持ち、訪日を検討している外国人観光客の使用言語(母国語)は非常に多くあります。
機会損失を防ぐためにも、インバウンド動画プロモーションは、正しい映像文法で分かりやすいストレートな表現を心がけて制作してはいかがでしょうか。
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国内外で注目を集めるインバウンドムービー:Ad Archインバウンド向け動画企画・制作サービスを開始
訪日外国人観光客数が初めて2,000万人を突破し、2016年はインバウンド業界にとって記念すべき年になりました。矢野経済研究所の調査では、来年2017年の訪日外国人観光客数を2,822万人、再来年を3,086万人と予測しており、これからも安定して訪日外国人観光客数は増加していくのではないかということが期待されています。このような背景から、日本国内の企業・自治体は、訪日外国人観光客の誘致を進めており、そのような企業に向けたサービスも日本国内で続々とリリースされています。映像・動画広告の企画、...
<参考>
- 日本政府観光局(2017/3/15発表)訪日外客数2017年2月推計値
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
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- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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