2020年には500億以上の市場に!? 世界と比較する日本のインバウンド・ゴルフツーリズム

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近年、日本各地で「スポーツツーリズム」が盛り上がりを見せています。この背景には インバウンド市場の急激な成長、インバウンドトレンドの「コト消費」化、さらには地方創生のためのインバウンド地方誘致 などがあると考えられるでしょう。例えば、日本でも最近ブームになったサイクリング。レンタサイクルの普及や日本ならではの風景・自然を楽しめるとして、瀬戸内・しまなみ海道や、先日第一弾の取り組みについてご紹介した中国地方のサクラプロジェクトを始めとして各地でモデルルートを作成、PRを進めています。

スポーツ文化ツーリズムアワード2016大賞受賞

インバウンド振興の成功例として、よく例に挙げられる「瀬戸内しまなみ海道(もしくは、しまなみ海道)」をご存知でしょうか。これは愛称として付けられた名前で、正式には「西瀬戸自動車道」といいます。瀬戸内しまなみ海道は、広島県尾道市と愛媛県今治市を海をまたいでつなぐルートで、近年は美しい風景が楽しめるサイクリングコースとして有名。2014年にはCNNが「 世界で最もすばらしい7大サイクリングコース 」のひとつに選定しています。瀬戸内しまなみ海道はインバウンド市場で、なぜここまでの人気を獲得している...

“サイクリングで地方誘客を” 中国経産局の「Cycling×Life

中国経済産業局では、サイクリングをツールとした新たな観光関連産業の創出を目指し、「Cycling × Life Project(サクラプロジェクト)」(以下、サクラプロジェクト)を立ち上げました。先日7月29日、サクラプロジェクトの第一弾の取り組みとして、山口県でアイデアソンを開催されました。近年のインバウンド市場の拡大とともに注目を集めるスポーツツーリズム。その中でもサイクリング(サイクルツーリズム)に注目した本プロジェクトはどのようなものなのでしょうか?サクラプロジェクトの全容とともに...

スポーツツーリズムとしてにわかに注目を集めているのが「ゴルフツーリズム」です。日本にはおよそ2,450のゴルフコースがあり、これは世界でも2番目のコース数で、日本は世界有数のゴルフ大国 だと言えます。この豊富な観光資源インバウンドに活用できる可能性はあるのでしょうか?

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世界のゴルフツーリズムによるインバウンド誘客効果は?

まず日本のゴルフツーリズムを考える上で、世界のゴルフツーリズム先進国がどれくらいの、インバウンドゴルフ来訪者(滞在期間中に1回以上ゴルフをプレーした人)を受け入れているのかを見てみましょう。

世界のゴルフツーリズムによるインバウンド誘客効果

世界のゴルフツーリズムによるインバウンド誘客効果

これによれば、世界各国のインバウンド・ゴルフ来訪者数は、少なくて年間4万人程度、最高で年間40万人程度、平均しておおよそ年間12~17万人程度 となります。インバウンド(その国への外国人来訪者)総数に対する割合は、おおよそ0.3~1.5%程度 となっています。

ゴルフツーリズムの日本インバウンドへのインパクト:500億円以上の市場規模の可能性

前項で解説したゴルフツーリズム先進国の数値から考えれば、日本も 訪日外国人観光客総数のおよそ1%程度ゴルフツーリズムで呼び込める可能性があります。

リサーチ会社・旅行会社など各社のインバウンド市場予測値一覧

リサーチ会社・旅行会社など各社のインバウンド市場予測値一覧

政府の観光立国推進基本計画では、2020年までに訪日外客数4,000万人を目標としており、また、矢野経済研究所やニッセイ基礎研究所らによれば、2020年には、およそ3,600万人程度になると予想されています。

インバウンド担当者なら知らなきゃマズイ!観光立国推進基本計画が閣議決定 その改定内容を解説

先日3月28日、日本の「観光立国」の実現に関する基本的な計画 「観光立国推進基本計画」の改定案が閣議決定 されました。「観光立国推進基本計画」とは、 「観光立国推進基本法」にもとづき、インバウンドを含めた日本の観光に関する基本的な方針・目標を定めたもの で、日本のインバウンドに関わる政策や取り組みの方向性を左右する重要なものとなります。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談し...

東京五輪まであと3年 今後インバウンド市場はどうなる?各社の訪日外国人数予測レポート比較&まとめ

先日公開した記事「今年はどんな1年に? 観光庁長官が年頭所感で明らかにした「2017年のインバウンド業界で起こること」では2016年のインバウンドの振り返りを踏まえて、2017年のインバウンド市場について観光庁長官 田村明比古氏の会見について解説しました。昨年2016年は、2015年の日本のインバウンド市場最高の盛り上がりをうけてか、各社から今後のインバウンド市場の予測値が発表されました。今回は、これら各社の訪日外客数予測値についてピックアップし解説していきます。インバウンド市場や各国の訪...

以上の数値から考えれば、日本でも2020年には、およそ36万〜40万人のゴルフツーリズムでのインバウンド誘客 が考えられます。40万人程度といえばインパクトが少なそうですが、その経済効果は意外と大きなものとなります。

まず、英国の実績によれば、ゴルフ目的のインバウンド外国人観光客の平均宿泊数は13泊程度になります。この内、7割程度をゴルフのプレーに費やすとすれば、インバウンドによるゴルフ利用者数(述べ)は、「36万〜40万人(ゴルフツーリズムでのインバウンド誘客)×13泊(英国基準平均泊数)×7割(ゴルフプレーに費やす日程の想定)=327万〜364万人」 となります。

ゴルフ場1プレーあたりの平均消費額を1万5千円程度とすれば、全体で490億〜546億円程度の市場 となり、無視できないレベルの規模感となります。日本全国の2,450コースに平均したとして、1コース当たりおよそ年間2,000万円の売上となります。実際の所、訪日外国人観光客に需要のあるゴルフコースが全体の10%程度だと仮定すると、訪日外国人観光客に人気のゴルフコースは、年間2億円以上のインバウンド売上 になりうるのです。

日本のゴルフコースのインバウンド受け入れ環境は?

世界のゴルフコース数ランキング

世界のゴルフコース数ランキング

冒頭でも触れたとおり、日本は世界でも有数のゴルフ大国です。コース数にして2,450コース、世界中のゴルフコースの中で構成率7.3%を占めており、ゴルフコース数ランキングではアメリカに次ぐ第2位となっています。 前々項でも触れた、ゴルフインバウンド40万人を誇る世界有数のゴルフツーリズム先進国であるタイは、このコース数ランキングでは20位選外になっていることからも、受け入れのインフラキャパシティーは十二分にあるといえるでしょう。

Golf Digest「THE WORLD'S 100 GREATEST GOLF COURSES(世界のゴルフコースベスト100)」

Golf Digest「THE WORLD'S 100 GREATEST GOLF COURSES(世界のゴルフコースベスト100)」

それでは世界に対する日本のゴルフ場の認知度・人気はどうなのでしょうか?世界大手ゴルフメディアである「Golf Digest」の「THE WORLD’S 100 GREATEST GOLF COURSES(世界のゴルフコースベスト100)」の2016-2017年版では、ランクインしている日本のコースはわずか4コース で、

  • 21位 廣野ゴルフ倶楽部(兵庫県三木市)
  • 64位 川奈ホテルゴルフコース(静岡県伊東市)
  • 85位 東京ゴルフ倶楽部(埼玉県狭山市)
  • 96位 鳴尾ゴルフ倶楽部(兵庫県川西市)

となっています。しかしながら、TOP100の殆どがアメリカやイギリスで構成されており、また、再度比較対象としますが、40万人のゴルフインバウンドを誇るタイからは選出されていません。このことから考えると、比較的日本のゴルフコースは、世界でも認知はされている とも考えられるでしょう。

まとめ:インバウンドによる地方創生にも期待のかかるインバウンド・ゴルフツーリズム

日本は世界有数のゴルフ大国であり、またそのゴルフコースはインバウンドで一般的な観光地である首都圏ではなく、地方に分散しています。2020年には500億以上の市場規模になる見込みのあるインバウンドゴルフツーリズムは、地方創生・地方誘致の観点からも、期待が大きいものと言えます。 とは言え、日本国内で取り組みが盛んなサイクルツリーズムと比較して、ゴルフツーリズムは現状目立った取り組みがあまり見られませんでした。

しかしながら、最近になってゴルフダイジェスト・オンラインとJTBがゴルフツーリズム振興のための提携を発表したり、伊勢志摩サミットで注目を集めた三重県で、来年10月に国内初の「日本ゴルフツーリズムコンベンション」の開催が決定したりするなど、ゴルフツーリズムにおいてもインバウンドに対する積極的な取り組みが見られ始めてきました。

縮小傾向にあるゴルフ業界、インバウンド誘致は起爆剤となるか:JTB、ゴルフダイジェスト・オンラインと提携「スポーツツーリズム」推進

年々増え続ける訪日外国人観光客の増加を受け、日本国内の各企業、自治体は訪日外国人観光客誘致の取り組みを行っています。訪日外国人観光客の訪日目的として、「日本食を食べること」「ショッピング」「日本の歴史・伝統文化体験」などが多い傾向にありますが、最近ではスキーや、登山、海水浴などを楽しむために訪日する訪日外国人観光客も増え、スポーツを観光資源とした旅行形態である「スポーツツーリズム」が脚光を浴び始めています。大手旅行会社である株式会社ジェイティービー(以下、JTB)では、スポーツツーリズム関...

インバウンド宿泊38,000人泊を目指す 伊勢志摩サミットで注目を集めた三重県・鳥羽市の今後のインバウンド対策を探る

三重県では三重県誕生から140年の節目である平成28年に伊勢志摩サミットが開催。県内でジュニアサミット、プレスツアーなどが行われ、世界中から注目を浴びました。これを受けて三重県を訪れる訪日外国人観光客の数が増加、鳥羽では海女文化、真珠などがインバウンド注目を集めたようです。一般的にはサミット開催前後で国内外の観光客が増加すると言われていますが、三重県・鳥羽市の場合はどうだったのでしょうか?また、国内外の観光客誘致に対する鳥羽市の今後の方針とはどのようなものなのか見ていきましょう。 目次三重...

インバウンドにおける『レッドオーシャン』となっていないゴルフツーリズムだからこそ、今からの積極的なインバウンド対策に取り組むことで、後の500億市場の大きなシェアを獲得することができる可能性があります。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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