着手の早さが圧倒的なブランディングに繋がる。人力車えびす屋に聞くインバウンドへの心構え【2】

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前編では、外国人観光客の受け入れ体制を整えるため、社外との連携についてお話いただきました。
(▼前編はこちら)

着手の早さが圧倒的なブランディングに繋がる。人力車えびす屋に聞くインバウンドへの心構え【1】

全国に10店もの人力車の店舗を展開する「えびす屋」。人力車が巡る観光地は店舗も同然という考えから、地域との連携を深め、観光地からもお客様からも愛されるサービスを展開しています。そんなえびす屋もここまでインバウンドが伸びるとは想像もしていなかったと言います。想像もつかないマーケットにおいて、どのように観光地=人力車というブランドを確立してきたのか。具体的には、6つの取り組みを実施していると言います。そこで、今回はえびす屋嵐山總本店、営業企画部の笹井さんと社員兼俥夫の金谷さんにお話を伺いしまし...

そこで後編は、俥夫の方にどのようなサポートをしているのかという社内での取組みや、集客の上で大切な○○とは何なのか、お話をお伺いしました。


【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】

会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。

ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。

「笑顔」は世界共通 自分の言葉で伝える大切さ

―外国人観光客と接する上で、大切なことは何だと思いますか。

笹井さん(以下笹井):やはり「笑顔」ではないでしょうか。 以前お客様から「こんなに過酷な仕事なのに、笑って楽しみながら僕たちを楽しませてくれた。お客様に喜んでいただくことが私の誇りですと言ったことに驚いたよ。」というコメントをいただいたことがあります。その経験からも、世界共通の「笑顔」は大切だと思います。

―笑顔で仕事を続けられる秘訣は何ですか。

笹井:秘訣はえびす屋にあるのではなく、全てはお客様のおかげだと思います。お客様からの「ありがとう」「楽しかった」は、働く上で一番の原動力になります。それがえびす屋では毎回違うお客様から、1日に何度も聞くことができるので、自然と笑顔になれるのだと思います。

そういった体験をしているからこそ失敗した時や、自分の納得できるおもてなしができなかった時、次はもっと頑張ってお客様を笑顔にしようという気持ちになります。

―俥夫をされている金谷さんにお聞きします。ひとりで案内するという状況で、外国人観光客とコミュニケーションで苦労したことはありますか。

金谷さん(以下金谷):仕事を始めた当初はよくありました。ですが、そこでおどおどすると「この俥夫は頼りない」という印象を与えてしまい、お客様との間に壁ができてしまいます。それを避けるために、できる限り自分の知っている英語を使い、食い下がってでも説明していました。

お客様が「もしかしてこういうこと?」と理解してくれた時は、その場で必ず覚えて、次は絶対できるようにしておくようにしました。また時には手に絵を描いたり、コース用に説明カードを作ったりもしました。

―現在もそのカードは活用していますか。

金谷:いえ、なるべく自分の言葉で伝えたいので、現在は使っていません。 少しでも会話を盛り上げたいという思いから、この前も同僚の外国籍スタッフに、英語のフレーズを教えてもらいました。早速使ってみたところ、お客様の反応がとても良かったので、今では常套句となっています。

「沈黙を恐れない」 講習やツアーを通して気づいたこと

―俥夫の方に何かサポートをされていますか。

笹井:以下の3つを行っています。

  1. 英語、中国語、韓国語の講習
  2. インバウンド対応のグループ指導
  3. 多言語対応が可能なスタッフの採用

基本的な歴史や文化面の指導は京都検定1級保持者の研修教官が指導しています。また、キャリアのある通訳案内士を定期的に招いて英語のレクチャーを受けたり、実際にツアーに客の立場で参加してヒントを得たりと日々工夫しています。

―言語教育はどれぐらいの頻度で行われていますか。

金谷:現在は2週間に1回、多い時には週1回のペースで外部講師の方に来ていただいています。

―実際に講習を受けてよかったことは何ですか。

金谷:通訳案内士の方が、英語のフレーズをレクチャーするだけではなく、案内士としての失敗談も教えてくださいました。「沈黙を恐れない」 といった考え方は、人力車の仕事や考え方と一緒だったので、とても実践的で興味深い講習でした。

笹井:講師の方は定期的に変えています。キャリアがある俥夫は語学力を、一方で若手の俥夫は歴史や文化の知識を身につけたいというニーズの違いがあるので、それぞれの用途にあった講習を選ぶことができるという点は、俥夫から好評です。

最近ではキャリアを積んだ俥夫が、若手に向けて講習をする機会も設けています。金谷もその一人です。言葉が通じるだけでは「おもてなし」には繋がらない ので、こういった自分たちの経験を共有する場も大切にしています。

―お客様目線でツアーに参加して、何か新しい気づきはありますか。

金谷:流暢に話せるかよりも、話の的を射ることができているか、お客様を楽しませることができているかが大切 だということです。例えば歴史の説明では、学校の授業のような細かい説明までしてしまうと、お客様が飽きてしまうので、ポイントに絞ることが大切だと気づきました。

また、そのツアーは通訳案内士の方が、外国人観光客に向けに開催しているウォーキングツアーだったので、私たち以外は全員外国人で、全て英語での説明でした。実際の英語のガイドを聞きながら京都を観光したことで、表現方法や見せ方だけでなく、どういった話が外国人観光客に興味を持ってもらえるのか、ということを知るいい機会にもなりました。

安心、安全の観光を提供 心の距離が近い国・日本

―今後の会社全体のビジョンを教えてください。

笹井: 国内外のお客様に関係なく、えびす屋の人力車に乗って誰でも安心して安全に観光を楽しんでいただけることが我々の目指すところです。インバウンドへの取組みとしては、2020年が到達点ではなく、日本を訪れた外国人観光客に対して、今までに経験した事がないサービス、おもてなしを引き続き提供していきたいです。

その結果として、日本を物理的な距離は遠いですが、心の距離は近い国として認知していただきたい、また訪日リピーターとして何度も訪れていただける場所にしたいと願っております。 15年前は現在のインバウンドの状況を誰一人想像すらしていませんでした。10年前、比較的早い段階でインバウンドを意識し着手した結果、今のえびす屋の姿があると思っています。

まとめ

えびす屋は、地域や社外との連携だけでなく、俥夫の方への言語教育にも力を入れていました。またツアーに参加し、表現方法や見せ方を学ぶといった努力は、お客様の視点に立つという接客をする上で、基本ですがとても大切なことです。

当たり前のことを当たり前に行うということは、意外と難しいことですが、そういったおもてなしの基本を忘れず、えびす屋のように笑顔でお客様をお出迎えすることが大切なのかもしれません。是非みなさんも人力車に乗って、えびす屋の魅力を体感してみてください。

えびす屋HP:http://www.ebisuya.com/

【7/9開催】消費額1.7兆円超!最新中国インバウンド市場の攻略ポイント

2024年、訪日外国人による旅行消費額は過去最高の約8兆1,257億円を記録。 そのうち中国は1.7兆円超(全体の約21%)と圧倒的な1位を占めており、宿泊日数や訪問者数でもトップクラスの存在感を示しています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
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  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

株式会社インデン

株式会社インデン

株式会社インデン マーケティング事業部。インバウンド領域において、BtoB企業を総合支援し、日本経済の更なる活性化を目指す。2012年からインバウンドに取り組んでいる知見を交えながら、海外の方々の目線を通して見えてくる日本の「良さ」について発信していきます。

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