インバウンド集客・誘致を行うにあたって、どの国籍の訪日外国人観光客をターゲットにしていくのか を決めることは、重要なことです。
中国や韓国、台湾など、訪日旅行をする人が多く、旅行支出額も多い国が頻繁にターゲットになっていますが、少し視点を変えて他の国出身の外国人観光客を新たなターゲットにしてみても良いかもしれません。
今回は、近年の経済発展により注目を集めている ベトナム人観光客のインバウンド市場 の特徴をJNTO(日本政府観光局)の平成28年における訪日外国人の消費動向をもとにご紹介します。
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- ベトナムのインバウンド観光市場でキーワードになる数字
- 『233,763人』…2016年に日本の訪日ベトナム人観光客数
- 『186,138円』…1人の訪日ベトナム人観光客が一回の訪日旅行で支出する金額の平均
- 『435億円』…2016年に訪日ベトナム人観光客が日本で使ったお金
- 『55.9%』…訪日ベトナム人観光客のうち男性が占める割合
- 『55.8%』…訪日ベトナム人観光客のうち初めて日本に訪れた人の割合
- 『33.7%』…訪日ベトナム人観光客のうち観光・レジャー目的で訪日した人の割合
- 『75.3%』…訪日ベトナム人観光客のうちFITとして訪日した人の割合
- 『31.6%』…訪日ベトナム人の旅行支出のうちショッピングに使われた額の割合
- 他国のインバウンド観光市場と比べてベトナム人のインバウンド観光市場はどう違うのか?
- まとめ
目次
ベトナムのインバウンド観光市場でキーワードになる数字
『233,763人』…2016年に日本の訪日ベトナム人観光客数
2016年に日本を訪れたベトナム観光客の数は、233,763人 でした。
この数は、2015年と比較すると +26.1% の数となっており、グラフでもご紹介しているように順調に訪日ベトナム人観光客が増加していることがわかります。
『186,138円』…1人の訪日ベトナム人観光客が一回の訪日旅行で支出する金額の平均
2016年に日本を訪れたベトナム人観光客は、一度の訪日旅行中に平均で186,138円使いました。
『435億円』…2016年に訪日ベトナム人観光客が日本で使ったお金
2016年に日本を旅行した 訪日ベトナム人観光客が訪日旅行中に使った金額を全て合わせると435億円になります。
390億円という額は、2016年全体のインバウンド消費額(3兆7,476億円)の1.2% にあたります。
『55.9%』…訪日ベトナム人観光客のうち男性が占める割合
2016年に日本を訪れたベトナム人観光客のうち 55.9%は男性 でした。年代別に見ると、男女あわせてもっとも大きな割合を占めたのが、「30歳~39歳の男性」でした。(全体の20.7%)
その後は、「20歳~29歳の男性」(19.9%)、「30歳~39歳の女性」(15.2%)、「20歳~29歳の女性」(13.8%)と続きます。
『55.8%』…訪日ベトナム人観光客のうち初めて日本に訪れた人の割合
JNTOの調査によると、2016年に日本を訪れたベトナム人観光客のうち、55.8%は、初めての訪日旅行 だと答えました。2回から5回と答えた人は、全体の32.7% でした。
『33.7%』…訪日ベトナム人観光客のうち観光・レジャー目的で訪日した人の割合
2016年に日本を訪れたベトナム人のうち、「観光・レジャー」目的で訪れた人は、33.7% にあたります。
その他着目すべき点としては、「その他ビジネス(14.1%)」「研修(13.9%)」「企業ミーティング(6.6%)」 など、仕事関連での訪日が多い点。 厚生労働省による「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると、ベトナム人は、2016年10月末の時点で、中国人に次ぎ2番目に日本で働いている人口が多い国となっており、こういった背景もこの数値には絡んでいるでしょう。
『75.3%』…訪日ベトナム人観光客のうちFITとして訪日した人の割合
2016年に日本を訪れたベトナム人のうち、75.3%が個別手配にて日本に訪日しています。 団体ツアーや旅行パッケージは、 24.7%を占めるのみ となっています。
しかし、観光レジャー目的に限れば、団体ツアーや旅行パッケージの2つが占める割合は49.5%まであがります。 ビジネス関連で訪日するベトナム人の間では90.6%が個別手配にて訪日していることから、全体で見た場合、多くのベトナム人が個別手配にて訪日しているとの結果がでたと思われます。
『31.6%』…訪日ベトナム人の旅行支出のうちショッピングに使われた額の割合
2016年に訪日したベトナム人は、一人当たり旅行支出額のうち 31.6%をショッピングに費やしています。
これは、宿泊料金(26.5%)、飲食費(29.1%)より若干も多い 金額となっています。
ここまで、ベトナム人のインバウンド観光市場のおおまかな概要をご紹介してきました。これらのデータを他国出身の訪日外国人観光客のインバウンド観光市場のデータと比較すると、どのようなことが言えるのでしょうか?
他国のインバウンド観光市場と比べてベトナム人のインバウンド観光市場はどう違うのか?
滞在日数が非常に長い:平均で約一カ月
訪日ベトナム人観光客は、一度の訪日旅行で 平均35.4泊、日本に滞在しています。
上記のグラフで他国出身の訪日外国人の滞在日数と比べてみても、訪日ベトナム人観光客の滞在日数の長さは、訪日フィリピン人観光客とともにとても長い結果になっています
また、一人当たりの旅行支出額も186,138円と、他の東南アジア諸国(タイでは127,583円、インドネシアでは136,619円、フィリピンでは112,228円など)と比べると多くなっています。
これは先述の通り、ベトナム人は、中国人に次いで日本で働いている人口が多い国となっていることが影響しているものと考えられます。
訪日中国人の次にショッピングにお金を使っている!ひとりあたり70,727円
JNTO(日本政府観光局)の平成28年における訪日外国人の消費動向によると、観光・レジャーを目的に訪日したベトナム人は、一回あたりの 訪日旅行時に70,727円使っています。
この金額は、「爆買い」で名高い中国(122,845円)に次ぐ数字 となっており、やや差は大きいですが、JNTOの調査対象国の中で2番目に大きい数字となっています。
これからベトナムの経済発展がさらに進めば、インバウンド業界を席巻していた訪日中国人観光客の「爆買い」に変わる大きなターゲットになっていくかもしれません。 とはいえ、就労目的の長期滞在者の支出額が含まれていることについては留意が必要です。
まとめ
今回は、JNTO(日本政府観光局)の平成 28年における訪日外国人の消費動向から、ベトナム人のインバウンド観光市場に関してご紹介してきました。
平均滞在日数が30日以上 であること、観光客のうち ショッピングに費やす金額が訪日中国人観光客に次いで多い ことから、就労目的の訪日ベトナム人による口コミ効果・SNS拡散や、彼らを訪問する友人らのなどの要因によって、ひょっとしたら第二の爆買いブームを引き起こす存在になるかもしれません。
<参照>
- JNTO(日本政府観光局):平成 28年における訪日外国人の消費動向
- 厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ
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