インバウンド・越境EC攻略企画 STEP2「ターゲットのカスタマージャーニー作り」〜どのように訪日客の行動心理を読み解くのかを徹底解説〜

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マーケティング方針の策定と大前提について整理できたところで、『インバウンド越境EC攻略企画』STEP2では 、「ターゲットのカスタマージャーニー作り」を通じて、訪日外国人がどのようなタイミングでどのような情報に触れて、どのような態度変容を起こしていくのかについて可視化していきたいと思います。

<前回記事>

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ターゲットの明確化

まずは、これまでの購買層や来訪者の層の「ターゲットペルソナ(※1)」 を作っていきます。

(※1)ペルソナとは・・・商品やサービスを提供する相手として、もっとも重要視すべき象徴的なユーザーモデル

たとえば、台湾人に人気がある観光地の場合、以下のようなペルソナを作るのですが、ここでのポイントはより具体的なイメージを持てるよう細かい設定を行うことです。


  • 普段は台北市内の企業で事務職をする社会人2年目のOL二人組、ヤーティンとイーチュン。
  • 月の給料は台湾では平均的な水準で、日本円にして10万円弱程度。
  • 二人とも実家暮らしで、旅行やファッション、音楽の趣味も合う。
  • 特にイーチュンは海外旅行が好きでこれまで日本に2回、アメリカ、イタリアに1回ずつ行ったことがある。ヤーティンは今回が始めての日本旅になる。
  • 旅行中の観光や食事、ふとした風景などをInstagramにアップしたいと考えている。

このように、ターゲットのペルソナを書き出したら、いよいよ カスタマージャーニー(※2)を作成していきましょう。

(※2) カスタマージャーニー/カスタマージャーニーマップとは、顧客(カスタマー)がどのように商品やサービスと接点を持って認知し、興味関心を持ち、調査し、購買や行動の意欲を喚起されて実際の行動に至るのかという道筋を旅行(ジャーニー)に例え、その行動や心理を時系列的に可視化したもの

カスタマージャーニーの作成手順

まず始めに、旅行者の行動フェーズ・ステージ(段階)ごとにどのような 【接点】【行動】【心理】と【課題】があるのかを整理 していきます。

旅行者の行動フェーズ・ステージ(段階)は、ある程度パターン化できるので、

①旅前(自国):認知・興味関心→情報収集→比較・検討・リストアップ
②旅中(旅先):購入・行動→SNSでシェア
③旅後(自国):SNSでシェア→リピート

といった具合にエクセルなどで表組みを作成します。

①旅前

私たちが旅行に行く前と同じだと考えるとわかりやすいのですが、友人がSNSに投稿した旅先の美しい写真や楽しそうなコメントを目にして、TVや雑誌などの特集を見て、「自分もその国に旅行したい」 と思うことが少なからずあると思います。同じように この二人がどのような接点で、どのような行動をし、どのような心理になるのかをこの二人の視点になって分解し記述していく 作業を行っていきます。

具体的には、自宅・カフェ・会社・通勤中など日常のシーンで触れているTV・スマホ・PCといったデバイスを通じ、SNS・検索エンジン・雑誌といったメディアからの情報に接触するのではないかと推察できるわけですが、その際の彼女達の行動としては、

  • Twitter/Instagramで友人の投稿を見る
  • 日本に旅行した友達からお土産話を聞く
  • たまたま流れてきたTVCM/ネット広告を観る
  • 雑誌での特集を読む

心理としては、

  • 日本に行ってみたくなった。
  • 自分のほしいものが手に入ることにワクワクが止まらない

といったことがイメージできるわけです。付箋を使って列挙するのもよいでしょう。

作表すると以下のようになります。

同様に、次のステージではより詳しい情報を手に入れようとWeb検索したりガイドブックを購入したりして、自分が欲しいもの・やりたいことがたくさん浮かんできたりします。情報収集をして、”旅行気分”がより高まった後は、比較・検討・リストアップのステージ です。

二人で気になるお店を上げて取捨選択したり、効率よく滞在するための計画を立てたりしていき、どのくらいお金が必要で、どうやって行けばよいのかを考えるはずです。

このように、旅前の顧客行動と顧客心理を書き出したら、何を用意すべきか何が課題かを書き出します。

②旅中

同様に、日本に滞在中の行動や心理、またその課題についてもまとめていきます。ターゲットが女性の二人旅ということで買い物中心の行動ですが、これがファミリーだとテーマパークなどが行動に入ってくるでしょうし、ご年配の夫婦だと温泉や神社仏閣などが入ってきます。

③旅後

そして、旅行から帰ったあともイメージしておきます。観光地の方々とお話しすると、ここを忘れている方が多いのですが、リピートや口コミは売上の安定化に繋がりますし、ファンの醸成によるブランド向上にも大変重要となります。

このように、時系列で整理することで、ターゲットの行動、心理を可視化することができ、それを関係者で共有することが容易になります。より視覚的に伝えるために、グラフや概念図などを挿入するのも効果的です。

まとめ

私たちは、つい自分自身の経験からくる思い込みで、施策を決定してしまいがち です。顧客にまつわるデータを基にした、よりリアルなカスタマージャーニーマップを使うことで、最適なタイミングで最適なコミュニケーションシナリオを顧客視点で作り上げていくことが可能になります。結果として、顧客満足度を高め、ブランド価値向上に繋がることが期待できます。

ぜひ、カスタマージャーニーマップを作成してみてください。

次回は、どのようなコミュニケーションを図ればよいのか、その対策を洗い出していきます

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この記事の筆者

GMO TECH(GMO テック)

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GMO TECH株式会社 経営企画室 部長 猪野 佑一。主に日本企業や外資企業の日本法人の国内外向けのマーケティングのプランニングからディレクションまでを手がけてきている。インバウンドに有効なウェブマーケティングのノウハウについて発信してゆきます。

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