株式会社日本政策投資銀行と公益財団法人日本交通公社は、2017年6月29日から2017年7月12日の期間で、訪日外国人旅行者の意向調査を行ないました。これは欧米豪でも高まる日本旅行人気を受けて、訪日外国人が日本旅行をどのように捉えているのか という内容を理解するには最適な調査と言えるでしょう。調査対象となっているのは韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、アメリカ、 オーストラリア、イギリス、フランスの12地域で、インターネット調査によって様々な内容を調査を実施しています。
インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
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過半数となる51%の回答者が「日本旅行をしたい」と回答、他のアジア諸国を大きく引き離す
「今後、旅行したい国・地域はどこですか?」 という質問で、調査地域全体では 過半数となる51%の回答者が日本旅行を希望 しており、昨年に引き続き、日本旅行を希望するという回答がトップとなっています。
2位となるオーストラリアは41%で、日本との差は10ポイントと、日本が大きく引き離す結果になりました。アジア全体では日本の人気は調査開始以来6年連続トップとなっています。アジア地域では台湾(75%)、香港(71%)の回答が多くなっていますが、同じくアジア地域の韓国は32%と低く、親日感情の差が反映されているとも言えます。またタイにおける日本人気(55%)が非常に高い事が伺え、オーストラリア(16%)、ニュージーランド(19%)、アメリカ(16%)に比べても日本の人気が極めて高いことがわかります。
具体的に旅行したいと検討している旅行先でも日本がトップ、2位のオーストラリアを大きく引き離す結果に
「旅行したい国・地域の中で、具体的に旅行を検討している国・地域はどこですか?」という質問でも日本がトップとなり、調査地域全体で日本の人気は前回調査に引き続きトップとなっています。「今後、旅行したい国・地域はどこですか?」という質問の回答と比較すると、「日本」と回答した回答者の中で具体的に旅行を検討している人は多いが、「オーストラリア」「アメリカ」などを具体的な旅行先として考えている人が少ないという事が言えるでしょう。
訪日旅行の際に他の行き先として検討した国のトップは「韓国」
「日本旅行の際、他に旅行を検討した国・地域はありましたか?」という質問では 韓国 という回答が最も多く、次いで香港、台湾となっています。地理的にも近いことから良く比較される事が多い両国ですが、欧米豪全体の回答者を見ると、韓国を検討していた人はアジア全体より少ない事が伺えます。 「他の国・地域は検討しなかった」という回答も多く、日本独自の文化、風土などを楽しみに日本を訪れているという外国人が多い事も伺えます。
日本旅行で最も不安なことは「言葉が通じない」こと
「日本旅行をするとした場合、不安材料はありますか?」という質問への回答では、「言葉が通じるかどうか不安」 とする回答が最も多く、「滞在費が高い」「渡航費用が高い」という回答との差が目立ちます。親日感情が高く、同じく漢字を使用する台湾や香港でも言葉に関する不安は高いことが伺え、欧米豪と比較しても言葉が通じるかどうかに不安を持っている人が多いようです。
日本のインバウンド対策で遅れているとされているWi-Fi環境に関しては 「携帯電話や通信機器が使用しづらい」と回答している方は意外にも少なく、全体では13%という回答となりました。
「訪日客が旅行中に困ったこと」ここ3年でどう変わった?観光庁のアンケート調査をまとめてわかった意外な事実
クールジャパン戦略の甲斐もあってか、訪日外国人観光客数はここ数年順調に伸びており、昨年には史上最多となる2,400万人の外国人観光客が日本を訪れました。東京オリンピック・パラリンピックが行われる2020年までに年間4,000万人の訪日外国人観光客を誘致することを目標に、政府や自治体、企業などはインバウンド対策を着々と進めてきました。 こうした背景から、少なくとも年々、訪日外国人観光客にとって訪日旅行は快適なものになっているのではないかと予想はできますが、実際、訪日外国人観光客は現在の...
また、日本人の感覚からすると日常茶飯事という意識の地震に関しても30%の方が「地震が起こるかどうか心配」と感じており、欧米豪よりもアジア全体での回答が多いことが目立ちます。
日本旅行をしたいと思ったきっかけは「日本の自然風景」そして「日本食」
「日本旅行をしたいと考えたきっかけは?」 という質問に対しては 52%の外国人が「日本の自然や風景に関心があるから」と回答。 また 51%が「日本食に関心があるから」と回答 しており、日本独特の自然風景と食が外国人を魅了している ことが伺えます。別の言い方をすると、いずれも写真や映像でその魅力を伝える事が出来るものとも言え、映像や写真による魅力のアピールが有効的なPR手段になる とも言えるでしょう。
また「日本の温泉に関心があるから」という回答もアジア全体では48%と多く、特にこれから寒くなる時期に関しては、温泉地日本としてのアピールも有効的でしょう。こうした点を踏まえると、日本各地の温泉地に関しては、入湯方法の解説、タトゥーがある場合はどうなのか?など外国人向けの説明を充実していく、動画や写真、SNSなどでPRをしていくことで、訪日外国人観光客をさらに見込めると言えるでしょう。
日本の中で行ってみたい観光地のイメージのトップは「桜」次いで「富士山」「温泉」
日本というと桜を連想するという外国人も多いように、日本の観光地のイメージとして「桜」を思い浮かべる外国人は全体で61% という結果となりました。また 「富士山」という回答も60% と多く、「温泉」に関しても58% となっています。
また「日本的な街並み」とする回答も57%と多く、観光庁も課題とする地方の観光地にとっては嬉しい結果と言えるでしょう。こうした回答結果からも、「モノ消費」の時代は終わり、日本的なものを体験したいという「コト消費」に訪日外国人の関心が移っている ことが伺えます。
観光地としての知名度は「東京」「富士山」が圧倒的、ゴールデンルード上の観光地の認知度が高い
「これらの観光地を知っていますか?」 という質問では 「東京」「富士山」を知っている訪日外国人が多く、いずれも全体で60%以上の外国人が認知している という結果になりました。ゴールデンルート上にある観光地の認知度はいずれも高く、「沖縄」「福島」 も高い認知度となっています。
一方、日本の観光地としてイメージされる事が多い「温泉」で有名な箱根は全体で17%、大分県の別府は11%と低く、外国人がイメージする日本と実際の日本の観光地が結びついていない ことが伺えます。
まとめ:訪日外国人観光客へのPR、おもてなし次第で、日本の地方のインバウンドは大きなポテンシャルを持っている
今回の調査結果を見ていくと、世界的に見ても日本の観光地としての魅力は高いなか、訪日外国人がイメージする日本らしさである「桜」「温泉」「日本の自然風景」を備えている日本の地方の認知度が非常に低いということが伺えます。
多くの訪日外国人が不安に思っている「言葉が通じるかどうか」という問題を解決するためにも、外国語メニューの提供、指差し会話ツールなどでの接客を通じて、不安や不便を感じさせないおもてなしの工夫が一層求められていると言えるでしょう。
インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?
<参考>
【7/9開催】消費額1.7兆円超!最新中国インバウンド市場の攻略ポイント
2024年、訪日外国人による旅行消費額は過去最高の約8兆1,257億円を記録。 そのうち中国は1.7兆円超(全体の約21%)と圧倒的な1位を占めており、宿泊日数や訪問者数でもトップクラスの存在感を示しています。
これだけ市場が大きく、経済インパクトのある中国インバウンド。 いま多くの企業が「中国向けに本格的な戦略を立てるべきではないか?」と検討を始めています。
しかし中国では、Googleをはじめとする多くのサービスに規制があり、中国現地のSNSや地図サービスを活用するなど、独自のカスタマイズされた対策が必要です。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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