以前の訪日ラボの記事でもご紹介したように、近年、インバウンド業界で注目を集めている LCC(Low Cost Carrier:格安航空会社)は、韓国や台湾、香港などアジア圏の主要訪日国の間でも人気の訪日手段となっています。
LCCで訪日する台湾人観光客には、FSAで訪日する台湾人観光客となにが違うのでしょうか。 観光庁の「訪日外国人消費動向調査・トピックス分析」をもとに解説していきます。
韓国では6割超 アジア圏の訪日客の間で高いLCC利用率 訪日客数の増加とも影響する?改めて考える「LCC」と「インバウンド」の関係性
近年、FSA(Full Service Airline:ANAやJALなど従来の代表的な航空会社)に比べてフライトの料金が安いことから、世界中でより多くの人が LCC(Low Cost Carrier:格安航空会社)にて旅行する ようになっています。日本のインバウンド市場においても、 特にアジア圏の訪日外国人観光客を中心にLCCで訪日する人が増えており、 LCC市場の動向とインバウンド市場は切っても切り離せない関係になってきています。観光庁では、訪日外国人消費動向調査のトピックス分析におい...
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若い台湾人の女性はLCCの利用率が高い傾向に:訪日台湾人観光客の4人に1人はLCCを利用している若い台湾人の女性
LCCを利用する訪日台湾人の特徴として筆頭に挙げられるのが、若い女性が多い という点です。
上記のグラフは、2016年の1月から9月の間にLCCを利用して訪日した台湾人を性年代別に表したものです。約25%が20代の女性 となっています。観光庁の「訪日外国人消費動向調査 平成28年度」によると、2016年の訪日台湾人のうち、20代の女性が占める割合は約15%となっているので、訪日台湾人のLCCの利用客層には若い女性が多い ということが言えるでしょう。
年代が若い訪日客層は一般的に流行りに敏感であり、SNSなどを通じて観光地の情報を積極的に発信してくれる 傾向があります。訪日台湾人はリピーターが多いことに加え、地方の訪問率も比較的高いので、LCCの利用客層の集客・誘致は地方の自治体にとって大きな意味を持つでしょう。
石巻市 訪日客のSNS拡散狙い無料SIMを配布:SIMカード配布は地方創生・地方誘致の新たなインバウンド対策になりうるのか
増え続ける訪日外国人観光客の通信手段を整備するために日本国内では、無料Wi-Fiの増設が進められてきました。しかし、ソフトバンクの孫正義氏が無料Wi-Fiではなく国際ローミングに注目しているように、最近では訪日外国人観光客の通信手段は無料Wi-Fi一択ではなく、国際ローミングやプリペイドSIMの利用も人気になってきています。そんな状況の中、宮城県石巻市では、インバウンドの通信環境整備へ来年1月から新たな試みを開始します。目次石巻市 インバウンド向けにSIM無料配布へネット環境整備を通じてS...
男性の場合、LCC利用客層の間で最も多いのは30代でした。全体の22%にあたります。男女ともに年齢が上がるにつれて男女ともにLCCの利用率は下がります。 FSAと比較すると料金が安い分、機内のスペースが狭かったり、サービス面で多少質が劣ることから、年齢が高い台湾人は、LCCよりも安定のFSAを選択して訪日旅行をする 人が多いようです。
LCC利用者の約80%は個別手配にて訪日&ウェブ上で訪日旅行を手配
LCCを利用する訪日台湾人のほとんどは、個別手配にて訪日 しています。また、ウェブ経由で訪日旅行を手配 する傾向が強いようです。
上記のグラフは、2016年の1月から9月の間にLCCを利用して訪日した台湾人観光客の旅行形態と訪日旅行の手配方法を表したものです。LCCを利用して訪日した台湾人のうち、74.9%は個別手配にて日本を旅行している ことが把握できます。また、LCC利用者のほとんどはウェブ上で訪日旅行を手配しています。83.1%はウェブ上で訪日旅行を手配 した結果になりました。
LCCを利用する台湾人はFIT率が高く、OTA(オンライン旅行代理店)を利用する傾向にあります。若い層がボリュームゾーンであるというところから、ネット上で手軽に予約をして自由に観光をする スタイルがLCCを利用する訪日台湾人観光客の間では定着しています。
インバウンドのコト消費嗜好・FIT化がアクティビティの日本市場を今後盛り上げる兆しアリ!
日本人の国内における娯楽・行楽市場は、観光庁の調べによると市場規模は72兆2,990億円(前年比1.0%:レジャー白書2016参照)と減少はしているものの、日本人の余暇の過ごし方に大きく変化がおこっています。休日にしかできない観光、例えば遠方への旅行、ドライブ、読書やショッピングなどいわゆる”余暇”の過ごし方に日本人らしさがあります。しかし近年、(未だ日本人のいわゆる”余暇の過ごし方”が上位を占めているが)余暇活動に変化があります。今回は、日本人・訪日外国人と異なった視点から日本市場におけ...
FITの増加から地方空港のインバウンド対策が進む:HIS 仙台空港にインバウンド向け施設開業&政府からも支援
中国や東南アジア諸国などを対象にしたビザの条件緩和や、格安航空会社(LCC)の普及、また円安が進んだことなどを理由に、近年、訪日外国人観光客の数が増え続けています。このような背景を受け、政府は今年、訪日外国人観光客数を2020年に4,000万人とする新たな目標を発表しています。航空路線の拡大やクルーズ船の寄航増加などもあり、2016年度も1月から8月までの期間で、訪日外国人観光客数は初めて1,600万人を超えるなど、訪日外国人観光客数は引き続き好調に伸びています。そんな追い風を受け、魅力的...
OTAとは:オンラインだけの旅行代理店、旅マエのインバウンドの主戦場
世界的に見ると旅行手配の方法はオンラインが主流となっています。とすれば、訪日外国人観光客も団体旅行・個人旅行にかかわらずオンラインで旅行の手配をするケースが多く、オンライン上で旅行手配が完結するOTA(Online Travel Agent/オンライントラベルエージェント)のインバウンド市場における重要度は高いと言えます。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次OT...
LCCを利用する訪日台湾人は「近畿」と「近畿」に訪れる
上記のグラフは、2016年の1月から9月の間にLCCを利用した訪日台湾人観光客が、訪日旅行中に訪れた場所を表したものです。
LCCを利用した訪日台湾人観光客のうち約4割が近畿と関東を訪れています また、そのうち大部分の台湾人観光客が両地域に位置する大都市である東京と大阪に訪問しているようです。他にも 北陸信越や九州などの地方部 にもLCCを利用する訪日台湾人観光客は訪れているようです。
LCCを使う台湾人は訪日旅行中あまりお金を使わない
上記のグラフは、2016年の1月から9月の間にLCC利用した台湾人の旅行支出を旅マエと旅ナカで比較したものです。旅マエ・旅ナカどちらをとっても LCCを利用した訪日台湾人の旅行支出は、FSAを利用した訪日台湾人の旅行支出よりも低い結果に なっています。
低価格がウリのLCCを利用する訪日台湾人は、基本的に 「価格の安さ」を重視 する傾向にありそうです。一人当たりの旅行支出額をとっても 約2万円の差 がでる計算になります。旅行支出が低いといっても、先述の通り北陸信越や九州などの訪問率がFSA利用者よりも高いことから、地方部にとって魅力的なターゲットになってくるでしょう。
まとめ:LCCを利用する訪日台湾人市場 キーワードは「若い女性の多さ」「地方部の訪問率の高さ」「低価格重視」
台湾出身の訪日外国人の間ではLCCの利用率が高い傾向にあります。訪日台湾人を集客・誘致する場合、一般の台湾人のインバウンド動向に加えて、LCCを利用する台湾人にだけ見られる特徴も把握しておく必要 があります。
- 20代の女性がボリュームゾーンである
- 約8割が個別&ウェブ上で訪日旅行を手配
- 東京・大阪に加え、地方部の訪問率も高い
- 旅マエ・旅ナカの旅行消費が少ない
押さえておくべきポイントは、上記の4点です。LCCを利用する訪日台湾人の集客・誘致を検討する場合には参考にするとよいでしょう。
訪日台湾人観光客のインバウンド
訪日台湾人は2016年の訪問数で417万人と中国、韓国に続く3番目の旅客数となっています。台湾の人口が約2400万人なので、再訪問がなかったと仮定すると毎年6人に1人が日本に旅行に来ている計算になります。親日の方が多いのも訪日客数を伸ばしている要因の一つ。言語は中国本土とは違い繁体字で、中国人と一緒にされることを極端に嫌うため言語の取扱には注意が必要です。また、中国本土と違いyoutubeやSNSの利用にも制限がないため、マーケティングし易いのも一つの特徴です。
<参照>
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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→UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】
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