訪日外国人が日本を訪れる際に最も楽しみにしている事の1つに「日本料理を食べること」があります。ただ、この場合の日本料理といって、国籍や出身地ごとに大きな差があり、「日本食」といって寿司をイメージする外国人もいれば、焼肉をイメージする外国人もおり、旅館で楽しめるような懐石料理を楽しみにしている外国人もいれば、ラーメン、カレー、居酒屋での食事などのいわゆる大衆食を楽しみにしている外国人もいます。
訪日外国人観光客の人気「日本食」は「ラーメン」「肉料理」、なぜ満足度が高いのか?
訪日外国人観光客の約7割が「日本食」を楽しみに、日本に旅行で来日します。日本を代表する日本食といえば「寿司」を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし観光庁「訪日外国人消費動向調査」によると、意外にも「肉料理」と「ラーメン」の人気が高いことがわかりました。この記事では、訪日外国人観光客に人気の日本食と、なぜ人気となったのかをご紹介します。インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?訪日ラボがまとめた「インバウンドデータレポート」を詳しく見てみる「調査...
そんな中、近年アジア圏、欧米豪出身の外国人からも人気なのがラーメンですが、日本のラーメン、餃子は中国、台湾などでは「日式中華」と呼ばれ親しまれています。日本に最も訪れている外国人である中国人、そして香港人、台湾人に「日式中華」はどのように写っているのでしょうか?
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実はこんなにある「日式中華」
「日式中華」とは、中華圏での呼び名ですが、本来の中華料理と比較した際に、日本生まれの中華料理や、日本で独自の解釈をされた中華料理 を区別するための名称として使われます。
この「日式中華」と呼ばれるものの中には、日本人にはお馴染みの中華料理である「エビチリ」、「天津飯」、「レバニラ」などが含まれ、「中華丼」、「冷やし中華」、「皿うどん」なども実は本場には存在しない日本生まれの中華料理です。一方中華圏がオリジナルで、日本に来て独自の進化を遂げた食べものとしては「ラーメン」、「餃子」が有名です。
こうした「日式中華」も本場である程度は食べられているようですが、爆発的な人気となっているのはほぼ「ラーメン」のみと言える状況です。
なぜ「豚骨ラーメン」だけが中華圏への逆輸入に成功したのか?
海外進出に成功した「日式中華」として有名なのが「ラーメン」ですが、そもそも本場のラーメン(中国麺)とはどのような食べ物なのでしょうか?わかりやすい違いとしてよく言われるのは、「味噌ラーメン」「牛肉拉面」という名前からもわかるとおり、日本の場合、ラーメンの優先度は「スープ」「麺」「具」 であるのに対し、中華圏ではその優先度が「具」「麺」「スープ」 であることです。
日本の場合はスープに並々ならぬこだわりがあり、そのスープと絡み、スープを引き立てる麺、そして具はあくまでもトッピングに過ぎません。対して中華圏の場合、まずは具である肉などがメインで、その次に空腹を満たすための麺、そして最後にメインの具の味付けを損ねないあっさり味の鶏ガラスープとなります。
中華圏で成功したと言われる日本のラーメンですが、実は 中華圏で大々的に受け入れられているのは「豚骨ラーメン」のみ と言えます。なぜ醤油味、塩味、味噌味などのラーメンが人気にならないのかと言うと、理由は簡単で「中華圏にも似たような味付けのものがあるから」です。これは日本の場合もわかりやすいですが、海外から入ってきた食べもの、海外のチェーン店などで食事をする場合、本国価格より若干割高であることが一般的です。そのため、例えば「日式中華」である日本の醤油ラーメンを、中華圏で販売すると、「似たような味付けの割高なラーメン」といった評価になりやすいのです。
「中華圏にはもともと豚骨を長時間煮出して作るスープがなかった」ということ、そして鶏の骨を長時間煮出して作る「鶏白湯スープ」が中華圏で高級料理とされてきたため、同様に豚骨を乳化するまで煮出して作る豚骨スープが、中華圏において珍しいということで人気になったということが言えます。
「豚骨ラーメン」以外の日式中華が中華圏で成功しにくい理由
日本生まれ、もしくは日本でアレンジされた「日式中華」があまり中華圏で大人気とならない理由は、「豚骨ラーメン」でご説明したように、「味に新鮮さがない」ということにつきます。日本生まれである「エビチリ」、「天津飯」などは似た料理がそもそも中華圏に存在しており、日本式の「焼き餃子」にしても、日式中華として食べられてはいるものの、2005年に中国東北部の大連に進出した餃子の王将は、現地で受け入れられず2014年10月に撤退をしています。
この撤退の理由は「提供する料理の品質が安定していなかった」、「現地の料理店と比較して値段が高かった」といった理由の他に、「そもそも餃子発祥の地である大連で人々の餃子に対する舌が肥えていた」、「『焼き餃子は水餃子を作った次の日の残り物』というイメージがある中華園で、商品のイメージ作りに失敗した」といた理由もあるようです。また、、先程のラーメンと同様に、味付けとしてはそこまで目新しさがあるわけでもなく、現地の人々にとっては、「わざわざ割高なだけの日式中華を食べにいく理由がない」という扱いをされてしまったようです。
一方、日式中華である「焼き餃子」が台湾では好評の理由
中国では人気が出ずに撤退した日本の「焼き餃子」ですが、大阪王将は2016年9月に台湾の三越系デパートに台湾1号店を出店、また中国からは撤退した餃子の王将は、台湾の南部の高雄市に、2017年4月に台湾1号店を出店。5月の売上高は目標の2.6倍となる2600万円を記録しています。
現地の台湾人の感想などによると、「品質が安定していること」、「本格中華に比べて中華料理が安いこと」、「焼き餃子だけでなく、日式中華のレバニラなどがおいしい」 といった声が見受けられ、餃子の王将も、中国から撤退した手痛い経験を元に、「台湾で受け入れられるように、味を調整するなど研究をした」 とのこと。また、あまり大きく報道されることはありませんが、台湾が大の親日国であるということも無視出来ないでしょう。
まとめ:次に成功を収めるの日式中華は餃子なのか?
さて、今まで見てきたように、中華圏において日式中華が支持されるのは簡単なことではありません。日本に「カリフォルニアロール」の専門店が見当たらないのと同様に、中華圏で日式中華を広めようというのは、とてつもなく難しい挑戦であるとも言えます。そんな中で日本の「焼き餃子」は台湾で活路を見出している状況ですが、これが「豚骨ラーメン」ほどに中華圏全土で受け入れられるかどうかは定かではありません。
しかし、インバウンドという目線でみた場合、「ご当地ラーメン」ならぬ「ご当地餃子」という考え方を、今の段階であれば台湾人観光客、欧米豪出身の観光客に広めていくことが出来るかもしれません。
全国のラーメンが食べられるということで人気の東京ラーメンストリートのように、訪日外国人にも徐々に認知されているラーメン専門の観光施設も増えている中、「宇都宮餃子」、「蒲田の羽つき餃子」、「福島の円盤餃子」、「浜松餃子」など、日本で育った焼き餃子を、こうした地方のインバウンド誘致に使えるまでのコンテンツに育てる事が出来るかどうかに注目が集まります。
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