「OK Google、オススメの旅行ルートを教えて」…すでに約50%の外国人が音声検索で観光スポットを探している:今後の観光情報の探し方は音声検索+AIリコメンドがスタンダードになるかも?アクティビティを検索する状況の変化

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昨今、様々な地方自治体・宿泊施設・航空会社等が集客や新たな収益を求め、独自にその地域や施設ならではのツアー・アクティビティを企画することが多くりました。一方で、その企画したツアー・アクティビティをいかに知ってもらうかが、多くの地方自治体・宿泊施設等にとっての悩みどころではないかと思います。弊社でもツアー・アクティビティを含む旅行・おでかけ検索エンジンという立場から、地方自治体・宿泊施設・航空会社からの集客相談を受けることが多くなってきました。

今回は、そうした ツアー・アクティビティを検索する状況がどう変化しているか、今後どう変わっていくか、その大局を弊社独自の視点で述べていきたいと思います。

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テクノロジーとビジネスモデルの進化が大きな変化をもたらしている

昨今、旅行者の検索状況は、大きく変わってきました。

例えば、旅行者の旅行計画におけるスマホ利用率は年々増加傾向にあり、旅行業界において、”スマホファースト” はもはや当然として浸透しつつあります。弊社では、ベルトラやアクティビティジャパンをはじめとした様々なツアー・アクティビティ企業様と定期的にこうした議論・調査を行っています。それらの平均をとると、既に訪日旅行者の6割は、スマートフォン経由での決済に至っており、一年前と比べ利用増加率は10%を超えています。

また、シェアリングエコノミー の台頭により、旅行で参考にするサイト数も増加傾向にあります。

例えば、Airbnbの体験紹介サイト「Trips」、旅行者とガイドをつなぐ「Huber」やHISグループの「Travee(トラヴィ)」などです。その他、オランダ発の注目サービスに個人の旅行代理店「TRVL」といったものもあります。世界を見渡せば、ツアー・アクティビティ一領域でも、多くのシェアリングエコノミーサービスがこの数年間のうちに立ち上がっています。

また市場変化を見ていくと、矢野経済研究所の調査では、2016年度の国内シェアリングエコノミーの市場規模は 前年度比26.6%増の503億4000万円、今後2021年度には2倍以上の1070億9000万円規模に拡大すると試算 しています。


(参照:矢野経済研究所によるシェアリングエコノミー国内市場規模推移と予測)

先日、トラベルコマースプラットフォームを提供しているトラベルポートジャパン株式会社が、旅行者の旅先で利用するアプリの数は、日本は平均14種類、グローバルは16種類、中国は20種類 といった調査結果を発表しました。(参照:トラベルポートジャパン社による旅行の計画・予約や旅行中のデジタル活用の実態調査)

内訳は記載されていませんが、おそらくシェアリングエコノミーサービスの割合もあると思います。今後は、旅行者にとって、参考にするシェアリングエコノミーサイトの閲覧数が増えるのではないでしょうか。尚、弊社独自の訪日観光客調査(2017年1月実施の20〜40代の訪日経験者200名を対象としたアンケート)によると、ツアー・アクティビティ探しで活用するサイト数は平均3.8サイト/人 という結果が出ています。

さらに、中国語圏旅行者の訪日決定から実際に訪日するまで日数は年々短くなっています。このことは、訪日ラボの過去の記事にも記載してありますが(参考:https://honichi.com/news/2017/11/07/chinatrending1/)、おそらく要因は、中国語圏訪日旅行者のリピーター層が増えたことや、下記の図にあるように、LCCをはじめとした低価格航空機の就航増加と利用者増加が大きく寄与していると考えられます。

最近の中国人はぎりぎりに訪日旅行を計画する:3人に1人は出発1カ月前に訪日することを決定

訪日中国人観光客は日本のインバウンド市場にとって長年メインターゲットとなってきました。2016年には 637万人 もの中国人観光客が日本を訪れました。また、インバウンド消費額という観点でみても中国人観光客のみで 1兆4755億円を日本で支出 しています。これは、2016年のインバウンド消費額のうち 39% を占める額です。近年の訪日中国人の旅行トレンドを示すものとして 「爆買いが終焉に向かいモノ消費からコト消費に向かいつつある」 ということが挙げられます。訪日中国人観光客は、日本にただ単に...


(参照:国土交通省による国際線LCC旅客数推移)

以上のような変化がオンライン旅行業界で起こっていますが、その背景には、広く言えば、テクノロジーの進化とシェアリングエコノミーの台頭があると言えます。

今後、大きな変化をもたらす可能性のあるテクノロジーとは:チャットサービスと音声検索の台頭

先述した事例は既に顕著に数字に現れていますが、これら以外にも注目すべきことがあります。最近各業界で注目されている チャットサービスと音声検索 です。

チャットサービス

facebookメッセンジャーが登場して以来、様々な業界で チャットボットによる自動化 の可能性が注目されています。以前から様々なメディアでチャットやチャットボットの旅行業界における影響について述べられているので、その注目度は読者の皆さんもご存知だと思います。

2016年だけで3万5000以上のチャットボットサービスが実用化され、旅行関連のチャットボットは現時点で200種類以上あるとも言われています。eマーケッター社(eMarketer)の予測によれば、2018年にはスマートフォン利用者の8割がモバイル・メッセージングを使うようになると 予測されています。

旅行業界では、ホテルや航空会社(常連はKLMオランダ航空)が最も早くこの新技術を取り入れてきました。それによって従業員に余裕が生まれ、顧客のデータベース充実にもつながります。スナップ・トラベルや「Hipmunk」のような情報収取サイトが台頭する一方、「Skyscanner」なども始めています。ツアー・アクティビティ関連でいえば、チャットボットを使った旅行計画サービスの比較記事「6 Travel Chatbots to Plan Your next Holiday」もあります。

弊社提携先に「Trip Phone]という訪日観光客向けスマートフォン貸出サービスがあり、同社も現時点では人力によるチャット対応で現地観光紹介を行なっていますが、あくまでチャットボットとして自動化させることを目指しています。

このように、チャットサービスはまだ始まって約2年ですが、これから大きく加速していくのは時間の問題ではないでしょうか。

音声検索サービス

音声検索 も今後オンライン旅行業界に大きな変化をもたらす可能性があるしょう。”まだ先の話”、そう捉えている方も多いのではないかと思いますが、実はそうでもなさそうです。

トラベルポートジャパン社の調査によると、iPhoneのSiri、AmazonのAlexa、バイドゥのDuerOS などを利用した音声検索が旅行分野でも活用されているなか、旅行を検索する際に音声検索ツールを利用する割合はグローバルでは47%、アジア太平洋ではそれよりも高い58% という調査結果が出ました。さらに、中国人旅行者はなんと72%が音声検索を利用している ようです。一方、日本は43%とグローバルを下回る結果です。(参照:トラベルポートジャパン株式会社による旅行の計画・予約や旅行中のデジタル活用の実態調査)

つまり、日本人目線で考えると、音声検索の重要性が理解しずらいですが、グローバル目線で考えると、旅行者の半数は音声検索機能を旅行計画段階で活用しており、訪日観光客向けにオンラインサイトを展開する会社は、現時点でもその対策をしておいた方が良いかもしれません。

音声検索精度はまだまだ発展途上ではありますが、昨今旅行業界でもいくつかのテクノロジー企業が音声機能に着手し始めています。例えば、Expedia です。

同社は、Amazonが提供するAI(人工知能)搭載音声アシスタント「Alexa」を使ったサービス「Expedia skill for Alexa」を開始しました。これにより、エクスペディア経由で予約済みの旅行予定者は、自宅から旅行に関する最新情報を音声会話形式で質問できるようになりました。 (参照:Expedia社によるプレスリリース)

因みに、Expediaはグループ全体で8兆円もの売上がありますが、そのうちの 10%である約8000億円をこの音声機能含むAiの開発へ投資 をしており、Aiを最重要課題として進めています。

さらに、旅行業界を飛び出して考えてみると、Siri、AlexaやDuerOS以外にもgoogle homeやLineのClova WAVEなど、少なくとも80種類以上のスマートスピーカーがあると言われています。

また、Gatnerのレポートでは、世界のスマートスピーカーの市場規模は、2015年3.6億ドル(390億円)、2020年に21億ドル(2,275億円)に急成長すると予想しています。


(参照:ロボスタ社によるスマートスピーカーカオスマップ)

こうした動きを踏まえると、現時点は、音声検索の入り口に過ぎないと予想できます。

5年以内には、Siri、google homeやAlexaなどのデバイスに話しかければ、AIがユーザーの過去の検索履歴などからニーズを自動的に認知し、オススメの旅行商品を厳選紹介してくれるのは一般的、そんな状況にもなり得るかもしれません。 いずれにせよ、音声検索の重要性が高まるのは時間の問題とも言えるのでないでしょうか。だとするなら、それを踏んだ、対策を今のうちから準備しておいた方が良いのかもしれません。

 まとめ

ここまでいくつかの事例を紹介させていただきましたが、アクティビティを検索する状況はこの数年間で、様々な変化が起こりました。そして、こうした旅行市場で起きている現象には、テクノロジーとビジネスモデルの進化がその本質であるように思えます。このように本質や大局を捉えようとすることが、今起きていることやこれから起きてくることを読み取るために、とても重要なことなのは言うまでもありません。

弊社も、旅行・おでかけ検索エンジンを来年はじめにリリースしますが、テクノロジーサイドから観光のあり方をより便利にすることを目指し、”スマホファースト”はもちろん、音声検索やチャットボットの導入など、時代の潮流を踏まえた戦略を打っていきたいと思います。

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この記事の筆者

Liigo Inc.

Liigo Inc.

Liigo Inc.のサービスディレクター。英国で生まれ育ち、大学院入学を期に来日した日系英国人。学生時代は環境分野を研究し、その後はIT、教育、エネルギー等多方面の分野に従事。現在Liigoでは事業計画からマーケティングを担当。世界の観光市場、アクティビティ(Things to do)市場の仕組み、最新の動向やLiigoの事業についてお伝えします。

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