今後日本社会は間違いなく少子高齢化社会を歩む事が確実視されており、若者が不足する中、企業によっては優秀な若手社員を外国から採用しようという動きがあります。こうした外国人留学人の社員雇用に関連して、株式会社ディスコ キャリタスリサーチ は全国の主要企業 20,462 社 に対して、企業の外国人留学生の採用に関するアンケート調査を実施。その結果を見ていきましょう。
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- 2017年に外国人留学生を採用した企業は全体で35%、2018年は約60%の企業が採用見込みと回答
- 外国人留学生の採用人数は1名が最多。4名以上という企業は少ない
- 外国人留学生を採用する最大の理由は「優秀な人物の確保」
- 外国人留学生に求められる資質のナンバーワンは専門性ではなく「コミュニケーション能力」
- 入社後に求められる日本語レベルは高いが、多くの企業で受け入れ体制が弱い
- 外国人社員の退職理由はキャリア、文化、仕事への考えかたの違いがあり、現場がそれをケア出来ていない可能性が高い
- 外国人留学生の出身国で最多だったのは中国
- 外国人留学生採用のメリットとして社内活性化があるが、意思疎通面のトラブルも多い
- まとめ:少子高齢化の日本、インバウンド市場活性化の後押しもあり 適材適所で外国人留学生の採用も考えたい
目次
2017年に外国人留学生を採用した企業は全体で35%、2018年は約60%の企業が採用見込みと回答
まず2017年中に外国人留学生を採用したと回答した企業は全体で 35.4% となり、比率を見ると社員数300人以上の企業で多くなっています。分野別には非製造業においての採用が活発だったことが伺えます。
同じ質問を2018年の採用に関して行うと、2018年に外国人留学生を採用する見込みであると回答したのは全体の 57.8% にまで増加。比率を見ると300人未満の企業から1000人以上の大企業まで一様に採用見込みである企業が増加していますが、増加の割合を見ると、1000人以上の大企業は採用見込みであるという回答が67.8%にまで増加するという結果となりました。
外国人留学生の採用人数は1名が最多。4名以上という企業は少ない
2017年の外国人留学生の新卒採用人数に関しては1名という企業が最も多く、次いで2、3名という回答となりました。4名以上採用したとする企業は少なくなっています。
採用された学生の所属学部に関しては文系の学部卒が最も多い50.5%となり、次いで理系の修士課程卒が29.9%と続きました。その後は理系の学部卒、文系の修士課程卒が続いています。文系、理系学部ともに博士課程まで進んだ学生を採用した企業は少なく、こうした学生を活かす場があまりないということも言えるでしょう。
外国人留学生を採用する最大の理由は「優秀な人物の確保」
外国人留学生を採用する理由としては、文系理系学生ともに「優秀な人材を確保するため」という回答が最も多くなっており、特に理系学生に関してはその傾向が顕著です。
文系学生の場合は、「外国人としての感性・国際感覚等の強みを発揮してもらうため」という理由が2番目に多く、「海外の取引先に関する業務を行うため」、「語学力が必要な業務を行うため」といった理由が続きます。
理系学生の場合は「海外の取引先に関する業務を行うため」が2番目に多く、「日本人社員への影響も含めた社内活性化のため」が3番目、「語学力が必要な業務を行うため」、「自社(またはグループ)の海外法人に関する業務を行うため」といった理由が続いていきます。
外国人留学生に求められる資質のナンバーワンは専門性ではなく「コミュニケーション能力」
外国人留学生に求める資質を尋ねた質問では、文系、理系関係なく「コミュニケーション能力」が最も大事とされており、続いて「日本語力」となっています。
これは「優秀な人材を確保するため」という大きな目的があったとしても、仕事をする上でコミュニケーションが取れないことには仕方がないということからも、当然の理由と言えるでしょう。文系の場合は3番目の理由として「協調性」が上げられており、「異文化対応力」、「基礎学力」、「一般常識」などが続いています。対する理系の場合3番目に求められるのは「専門知識」となっており、4番目が「協調性」となっています。
入社後に求められる日本語レベルは高いが、多くの企業で受け入れ体制が弱い
外国人留学生に求める日本語のレベルは文系学生を、理系学生を採用している企業において大きな差はなく、内定時では「ネイティブ相当」の日本語レベルを求めている企業は少なく、「ビジネス上級レベル」を求める企業と合わせても50%以下です。ただ、入社後に関してはどの企業も日本語のレベルを高めて欲しいと考えており、「ネイティブ相当」、「ビジネス上級レベル」を求める企業は合わせて90%近くになっています。
しかし、「外国人社員受け入れのための取組みで実施したもの」という質問内容に対して「いずれも実施していないが、今後は実施したい」が36.1%、「いずれも実施しておらず、実施予定もない」38.2%となっており、求める日本語のレベルは入社後に高くなるが、そうした日本語学習を企業としてどのようにサポートしていけば良いのかがわからない、そうした予定が無い企業が大半であることが明らかになりました。
外国人社員の退職理由はキャリア、文化、仕事への考えかたの違いがあり、現場がそれをケア出来ていない可能性が高い
また、外国人社員の退職理由と活用課題に関しては、退職理由として「母国へ帰国するため」が最多、「キャリアアップのため」、「仕事への適性の問題」、「日本の企業文化が合わなかった」が続きました。
また活用課題としては「海外人材を活用できる日本人管理者の不足」という理由が最多となり、「社内での日本語コミュニケーション能力の不足」、「キャリア形成の考え方と乖離」と理由が続いています。こうした背景には、せっかく採用した優秀な海外人材を、現場がしっかりと活用、ケア出来ていない現状が浮かび上がります。
外国人留学生の出身国で最多だったのは中国
こうした外国人留学生の出身国(地域)に関しては 中国が最多 となりました。これは日本を訪れる外国人の中で中国人観光客が多いこと、今後も人口が増え、経済発展が考えられる中国を相手にしていく企業が多いことからもうなずける結果です。その次に多かったのは東南アジアで、3番目に韓国、その他アジア、台湾と続き、上位5位をアジア地域が占めました。
なお、2017年に採用した外国人留学生としては中国出身の留学生が最も多い結果となりましたが、今後採用したい留学生として最も多い回答を集めたのが 東南アジア です。東南アジアは中国のの次のマーケットとしてタイ、インドネシアに注目している日本企業が多いことなどから回答が多くなっていることが予想されます。
外国人留学生採用のメリットとして社内活性化があるが、意思疎通面のトラブルも多い
外国人留学生採用による社内への好影響の内容については、「日本人社員への刺激・社内活性化」という回答が66.3%と最も多くなり、次いで「異文化・多様性への理解の向上」が61.6%、「グローバル化推進への理解、意識醸成」が44.2%と続きました。
対して外国人留学生採用による社内での問題という質問では「言葉の壁による意思疎通面でのトラブル」という回答が最も多い68.6%となり、こうした理由からの「受け入れ部署の負担増」が51.4%、「文化・価値観、考え方の違いによるトラブル」が48.6%と続いています。
意外にも「ビザなどの申請、手続き上のトラブル」、「取引先、社外からのクレーム」に関しては、他の理由と比較すると少なくなっています。
まとめ:少子高齢化の日本、インバウンド市場活性化の後押しもあり 適材適所で外国人留学生の採用も考えたい
日本には英語が出来る学生、英語圏の国に留学をしていた学生は数多くいますが、例えば中国語が堪能、中国の文化などをしっかりと理解している学生を探そうとすると途端に難しくなります。こうした人材を中途採用しようとすると社内カラーに染める大変さ、また給与の高さなどから難しい現場もあるでしょう。
そうした点でも優秀な外国人留学生を新卒採用する企業が増えていますが、今回の調査で実際の受け入れ体制が出来ていない企業も多いということも明らかになりました。今後こうした外国人留学生の採用を検討している企業は将来的な離職を防ぐためにも、こうした外国人留学生が日本企業で働くための受け入れ体制に関する知識を持つサービス事業者、留学生の就業後のケアなどもプランに含まれるサービス事業者を選定することが重要だと言えるでしょう。
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<参考>
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