【海外のテレビCMっていくらかかるの?】最新!海外メディア事情 シンガポール編:第1回 シンガポールのメディア概要(TV&ラジオ編)

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こんにちは。初めまして。私、POINTS.SG PTE LTD代表を務めております山本と申します。

私は、2003年から約10年間、東京の広告代理店に勤務し、2012年にシンガポールに居を移して2016年に独立しPOINTSを設立、日系企業の東南アジアにおけるマーケティング支援、特に広告、プロモーションの領域のお手伝いをしています。

2017年から、インバウンド関連の方々からもメディア情報に対するお問い合わせが増えてきたこともあり、次年度に向けて シンガポールにおけるメディアの概要と効果的なメディア などを3回に渡ってご紹介します。第1回は シンガポールのメディア概要(TV&ラジオ編) ということで、まずは広告市場のサマリーを見ていきましょう。

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シンガポールの広告市場:現状では紙媒体 特に新聞広告がメイン市場という特徴が

コンサルティング会社PWCの2016年の「Global entertainment and media outlook 2016-2020」の調査によりますと、2016年から2020年まで、シンガポールの全体広告の年平均成長率は4.4%と予想され、US$1.8ビリオンからUS$2.2ビリオンへと拡大傾向は続きます。

※通貨:USD
出典:「Global entertainment and media outlook, 2017-2021, PwC」のデータを加工して作成

2016年時点では、新聞がNo.1メディア で、次いで TV、インターネット、OOH が大健闘という形です。2021年予測では、ネット広告が急速に増えてTVを抜き、新聞もシェア比率を落としていく という流れになっています。

オンライン広告費は年々増加していますが、シンガポールの特徴は紙媒体広告費、特に新聞広告の割合が依然として高く、2021年予測でも、比率は落としながらもNo.1を維持する見込み です。

2016年から2020年まで、オンラインの広告費の年平均成長率は15.5%程度と急成長が予想され、2020年にオンライン広告の収益はUS$616ミリオン、広告費全体の30%弱になります。

参考記事:
http://www.mynewsdesk.com/sg/pwc-singapore/pressreleases/internet-advertising-leads-growth-in-singapore-entertainment-media-sector-1432753

TVの影響力に関しては、少し古いですが2015年の「Media Development Authority of Singapore」の調査結果が基本的な傾向を表しています。

メディア消費時間のランキングで、2015年にMediacorpの無料放送チャネルを視聴する時間が週約17.4時間、ラジオは週約5.3時間で、CS放送などと比較し圧倒的に高い数値となります。無料放送を視聴するのは、若者ではなく40代から60代の割合が高く、また、アプリなどのオンラインサービスを通じてメディアに接触するのは10代から20代が最も多いといった特徴があります。

このMedia RelatedかNon-Media Relatedかは消費者的には重要ではないので、アプリとネットの接触時間を合わせると 週に週33時間、日に5時間弱はオンライン接続されている 計算となりTV以上という考え方もできます。

シンガポールのTV概要

ご存知の通り、シンガポールの大手企業はGLC(Government Link Company)が多数を占めています。有名な企業で言えば、シンガポール航空やSingtelなどもそうです。TV局はメディアコープが1社で運営しており、この会社も政府系持株会社(Temasek Holdings (Private) Limited)から出資を受けています。メディアコープが配信するチャンネルは下記の通り。

チャンネル名 内容
Channel 5 (英語) ニュース、ドラマ、バラエティー、音楽などの番組を配信。24時間放送。
Channel 8 (中国語) シンガポール製作のドラマ、香港と台湾のドラマやバラエティー、ニュースを配信。
Channel U (中国語) 娯楽番組中心。韓国ドラマの配信が多く。若い人向けのバラエティー番組も多い。
Suria (マレー語) シンガポールマレーのコミュニティ向け。ドラマやニュースなどの番組を配信。
Vasantham (タミル語) シンガポールインドのコミュニティ向け。ドラマ、映画やニュース番組を配信。
Okto (英語) 子供向けのチャンネル。アメリカのアニメーションの配信が多く。
Channel NewsAsia (英語) シンガポールやアジア各地のニュースを放送している。

Channel NewsAsiaはアジアでも信用度の高いニュースチャンネル で、東南アジア各国のニュースをいち早く取り上げており、国民からも絶大な信頼を得ています。

訪日関係でいえば、Channel NewsAsiaで放送される「Japan Hour(Every Sat @7.30pm, Sundays @12.30am & 12pm.)」は根強い人気で、シンガポールで歴史の長い大手日系企業がスポンサーに名を連ねています。番組では日本で放送された旅番組の再放送などがメインで、訪日観光ブームの立役者 と言っても良い存在です。

その他に、Starhub、SingtelのCS放送が視聴可能。こちらはより専門的な番組構成で、日本の音楽、ドラマ、アニメなども一部見ることができるものの、月額20SGD~65SGDの契約が必要です。

携帯やインターネットの契約時に契約する人が多く、2017年1月の時点では、Singtel – 412,000人、Starhub – 507,000 人が登録 しています。日系のチャンネルは「Wakuwaku Japan」「ANIPLUS HD」「Animax Asia」「NHK World Premium」「NHK World TV」などがあります。

シンガポールのTVのCM広告出稿にかかる費用は?

広告出稿に関する基本料金は下記の通り、日本の全国放送と比較するとお手頃な価格ですが、日本同様にゴールデンタイム、人気番組前後はProgram Loadingが加算されて割高になる傾向にあります。

チャンネル 30秒1本あたりの基本料金(Base Rate)
Channel 5
Channel 8
Channel U
Channel NewsAsia
SGD 1,000~5,000
Okto
Suria
Vasantham
SGD 1,000~2,500
(Channel 5, 8とUに比べると、この3つのチャンネルのProgram Loadingのほうが低い)
Starhub SGD 200〜SGD 2,500
Singtel 未公開

<ちょっと補足:シンガポールのオンライン動画配信サービスについて>

シンガポールでも多くの国と同様に、若者を中心にTV離れが起こっており、スマホ、ネットの動画などの視聴時間の伸びと反比例になっています。20代~30代を中心にスマートフォンやiPadなどデバイスの利用率が非常に高いシンガポールには、この2-3年に有料のオンライン動画配信サービス(Over-the-top pay tv)の人気が高まっています。

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また、外資系OTTサービス企業の進出の増加のため、2016年にSingtelは約1.1万人、Starhubは約3.5万人の登録者を失ったと言われています。

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<外資系OTTサービス

  1. Netflix (アメリカ):2016年 
  2. Amazon Prime Video (アメリカ):2016年 
  3. Viu (香港):2016年 
  4. Catchplay (台湾):2016年

メディアの登録の管理や調査に専門するPaywizardの2016年12月の調査によりますと、OTTサービスの登録者は2015年(22%)から2016年(45%)の2倍の拡大。これは世界的なトレンドで多くの国でも同様の現象が起きています。


出典:https://www.paywizard.com/blog/top-tv-booming-subscription-rates-poised-soar-even-higher-christmas-paywizard-study-shows/

Starhubは2012年にOTTサービスと似たようなサービス提供し始めましたが、当時は全く受け入れられず、2015年、そのサービスをStarhub GOとしてリブランディングし、現在は積極的なPRを行っています。2016年にSingtelはWarner Bros EntertainmentとSony Pictures Televisionと連携して、HOOQというOTTサービスの共同事業に投資しました。

訪日観光PRの視点で言えば、こうしたOTTのチャンネルの中で親和性の高い「旅行」「食」「エンターテインメント」などの番組への広告投下はセグメントが効き、かつ動画広告で、ネットの特性を使って成果の数値化ができやすいという側面ではチャレンジの価値がありそう。ただし、まだ定着化しておらず広告などのメニューはあまり整備されていない状況となります。

シンガポールのラジオ概要

車で移動する人も多いので、ラジオを車中で聞くシンガポール人は多い状況にあります。特に、海外アーティストのヒット曲を中心に配信される音楽番組は人気で、多くの人気DJを抱えています。ラジオを配信する会社は、メディアコープに加え、後述する唯一の新聞社でSPH(Singapore Press Holdings)、新規参入のSo Drama! Entertainmentの3社のみで、合計18チャンネルあります。

<SPH運営>

チャンネル名 内容
ONE FM 913 (英語) ロック曲専門
KISS 92 (英語) 80年代から2000年代にかけての曲が流れる20代後半~30代に人気
UFM 1003 (中国語) 中国語曲が流れ、30~40代の方がメインターゲット
Money FM 89.3 (英語) ビジネス、ファイナンス。2018年1月29日初回放送日
96.3 Hao FM (中国語) 80年代から90年代にかけてのヒット曲とローカル制作の曲が流れる

<Mediacorp 運営>

チャンネル名 内容
RIA 897 (マレー語、英語) マレー語のFMラジオ局
GOLD 905 (英語) 往年のヒット曲中心
SYM 924 (英語) クラシック曲専門
YES 93.3 (中国語) 最新の中国語ヒット曲が流れる若者に人気FM局
938 NOW (英語) 最新ヒット曲、ニュースや交通情報など
WARNA 942 (マレー語) マレー語のFMラジオ局
Class 95 (英語) 70年代から90年代にかけてのヒット曲が流れる
CAPTL 958(中国語) 最新ヒット曲が流れる
OLI 968 (タミル語) タミル語のFMラジオ局
Love 972(中国語) 80~90年代のヒット中国語と英語曲が流れる
987 FM (英語) 最新ヒット曲が流れる若者に人気FM局

<So Drama! Entertainment運営>

チャンネル名 内容
883Jia FM (中国語/英語) バイリンガルチャンネル。80年代から現在の中国語と英語ヒット曲が流れる
Power 98FM (英語) 英語のヒット曲、ニュースとスポーツニュースなど

一般的には、KISS 92Class 95 が人気とされていますが、意外にも2017年ラジオ聴取率トップ4 – 2017年に行われたNielsen Radio Surveyでは、中国語の番組が人気 なことが分かります。これはタクシーの運転手などの職業ドライバーや年配の方々の多くが聞いているのが理由と思われます。

  • 第1位:Love 972(中国語)- 19.1%
  • 第2位:YES 93.3 (中国語)- 18.2%
  • 第3位:CAPTL 958(中国語)- 17.2%
  • 第4位:Class 95 (英語) – 15.9%

出典:https://www.mediacorp.sg/en/corporate/mediacorp-in-the-news/media-releases/mediacorp-radio-stations-top-nielsen-listening-survey-9455280

シンガポールのラジオのCM広告出稿にかかる費用は?

チャンネル 30秒1本あたりの基本料金(Base Rate)
Mediacorp運営ラジオチャンネル SGD 50〜SGD 700
※通勤時間の朝6~10時と夕方5~8時の料金は一番高い。
※SGD 50 →深夜のスロット
※SGD 700 → Mediacorpのナンバー1英語チャンネルの朝のスロット
SPH 運営ラジオチャンネル SGD 210〜SGD 550
※通勤時間の朝6~10時と夕方5~8時の料金は一番高い。
※SGD 210 →深夜のスロット
※SGD 550 → SPHのナンバー1英語チャンネルの朝のスロット

特徴的なのは、シンガポールで車を保有する人は、それなりの稼ぎがあるというある意味でラジオはセグメントメディア であることです。シンガポールでは車に乗るために COEという車両購入権 の取得が必要で、それらの費用を含めると 車の購入代金は日本の3倍近く になります(先日、知人がSUBARUのレガシー(新車)、一般的なモデルを約900万円で購入したと言っていました・・・。)。

ラジオの英語チャンネルに絞って、継続的にCM投下するのは、まだ訪日関係で使われていないので面白い活用法がありそうですね。

次回は、新聞と雑誌のメディアの概要、いくつかおすすめのメディアもご紹介します。POINTSでは、シンガポールだけではなく東南アジアの国々と日本をつなぐマーケティングサービスを提供しています。現地を知るからこそのプロモーション、メディアの活用、イベント運営など幅広いソリューションを提供しておりますのでお気軽にお問合せください。

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この記事の筆者

POINTS JAPAN/SINGAPORE

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POINTSはシンガポールと日本を拠点としてASEAN各国での広告制作/宣伝PR/マーケティング/メディアバイイング/リサーチ/コンサルティング等々の業務を行なっています。シンガポールを中心に現地目線でのインバウンド/アウトバウンド情報を発信します。

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