近年のインバウンドは 地方分散 の時代に突入しています。昨年2017年に閣議決定された「観光立国推進基本計画」では、2020年までに 地方での訪日外国人宿泊者数を7,000万人泊にする 目標を立てるなど、インバウンドの地方誘致に積極的な姿勢をみせています。
しかしながら、多くの地方部では観光資源の発掘が進んでいなかったり、観光資源の活用方法に四苦八苦しているケースが多いのではないでしょうか。そのような課題を抱える地方にとって参考になる 熊本県天草エリア(上天草市、天草市)でのインバウンドFIT(外国人個人旅行者)向けの取り組み についてご紹介しましょう。
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「インバウンドFIT対応力向上ワークショップ in 上天草」とは
中小企業基盤整備機構 九州本部は、熊本県天草エリアでインバウンド需要を取り込みたい事業者向けに、今年3月8日、3月15日に「インバウンドFIT対応力向上ワークショップ in 上天草」を開催しました。中小企業基盤整備機構 九州本部では、観光が地域産業の振興にとって重要な要素であるとしており、観光を中心とした面的な産業支援のモデルづくりにチャンレンジをしており、その一環として今回のワークショップが開催されました。
初日3月8日のカリキュラム
今回の「インバウンドFIT対応力向上ワークショップ in 上天草」は2日にわたって開催されました。初日は、中小企業基盤整備機構 九州本部 山地本部長の開会挨拶に始まり、訪日ラボによる九州を取り巻くインバウンド需要に関する基調講演、旅館山城屋 二宮代表によるインバウンドの取り組み事例と続きます。
これらのデータや事例を踏まえた上で、インバウンド対応力チェックや対応できそうな対策の洗い出しなど、具体的な行動計画に落とし込むグループワークを実施しました。それぞれの模様についてご紹介しましょう。
開会挨拶&オリエンテーション:中小企業基盤整備機構 九州本部 山地本部長、三棹課長代理
山地本部長の開会挨拶では「インバウンド需要の高まりが天草エリアにとって大きなチャンスである」ことについて解説。その後のオリエンテーションでは、インバウンド受入に向けて「明日からでもできること」を考え、PDCAを回していくことの重要性 を説明、あわせて今回のワークの流れを解説しました。
基調講演「九州・熊本へのインバウンド需要とFITの動向等について」:訪日ラボ
初日には訪日ラボも基調講演として登壇いたしました。本講演では、訪日外国人の国籍別割合から季節変動、各国のSNS利用比較などのデータに基づき、現状のインバウンドを取り巻く環境 について解説。また、訪日ラボを運営する上で収集した 各種事例やインバウンド対応のトレンド、また2020年に向けたインバウンド対策の動向予測 などを展開しました。
事例発表「山奥の小さな旅館が連日外国人客で満室になる理由」大分県湯平温泉 旅館山城屋 代表 二宮 謙児 氏
続いて、「トリップアドバイザー・日本の旅行部門2017」で満足度全国第3位を獲得した大分県湯平温泉 旅館山城屋 の二宮代表より、「山奥の小さな旅館が連日外国人客で満室になる理由」といったテーマで、同旅館がどのようなインバウンド対策を実践してきたのかの事例発表に移ります。
山城屋は山奥にある家族経営の小さな旅館ですが、その宿泊客の外国人割合は8割を越え、2016年度実績で客室稼働率は9割を越えています。訪日外国人からの支持を得た理由は、HPやSNSの多言語化や、細かい気遣いの効いた情報発信などの 小さなおもてなしの積み重ね にあります。そのおもてなしの数々は、地域の小規模事業者でも真似できるものであり、先進的事例として非常に参考になるものでした。
グループワーク:インバウンド対応力チェック、できそうなことの洗い出し
グループワークでは、これまでのオリエンテーションや講演、山城屋の事例発表ををベースにし、自社の課題の洗い出し などを進めました。
各参加者は、中小企業基盤整備機構 九州本部が用意した独自の 「インバウンド対応力チェックシート」により、自社の現状の課題を把握 します。このチェックシートの中から、すぐに実行に移せそうなものを洗い出し、「ワークシートⅠ」に落し込みながら、優先順位や取り組むにあたっての課題を検討 します。
このような個人ワークの後、参加者のグループワークで共有することで、議論や改善活動の検討を深める、といった構成になっています。
まとめ:まずは「自社がどのような状況にあるか」を把握することから始めよう
今回ご紹介した「インバウンドFIT対応力向上ワークショップ in 上天草」初日における「インバウンド対応力チェックシート」は非常に参考になる取り組みなのではないでしょうか。
訪日ラボでお伝えしている事例や、訪日コムのインバウンド対策カテゴリーなどを参考に 「インバウンド対策todoリスト」を作成し「自社のインバウンド対応はどこができていてどこができていないのか」を把握し、「何からなら着手できそうか」を検討することであれば、どんな事業であっても取り組むことができるで しょう。
まずは、データやチェックリストを用いて、インバウンド対策において「自社がどのような状況にあるか」を把握することから始めることが、インバウンド対策の第一歩と言えます。
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