こんにちは、Cross C(クロスシー)編集です。
訪日中国人をターゲットにしたインバウンドプロモーションにおいては「インフルエンサーマーケティング」が欠かせません。一昨年、昨年と「ファン心理」と「信頼関係」から成立しているインフルエンサーを中心とした潜在顧客への情報発信はますます存在感を増しています。日本国内でも数々の企業が消費者とのコミュニケーションチャンネルとして利用するようになっていますが、中国でも同様です。
今月はインフルエンサーの1つのカテゴリである 「KOL」(KeyOpinionLeader、特定のコミュニティにおいて発言や行動に影響力のある存在)をテーマに、中国人KOLの本質 を解き明かします。またKOLを巻き込んだマーケティング戦略の肝についてKOLとの関係といったソフト面から解説します。後編ではKOL施策におけるハード面で注意すべきこと、そして最新情報 をお伝えしていきます。
訪日ラボのメールマガジン登録はこちら>(無料)KOLとは「媒体」でもあり「クリエイター」
KOLは単なる有名人ではありません。KOLとはSNSアカウントというメディアの中で自らが生み出したコンテンツを発信し、それにより生み出された信頼がつなぐファンとのコミュニティを持っています。KOLは「媒体」であり「クリエイター」だという本質的な意味をとらえることが施策を成功に導きます。
KOL施策の効果はPVだけでなく○○に現れる
上述のような本質を残念ながら見抜けず、訪日中国人や中国人消費者を対象にしながらうまくいかないKOL施策のパターンがあります。以下に2つのエッセンスをご紹介し、成功のために正すべき誤解について解説します。
訪日中国人・中国人消費者の心をつかむのに長けているのはKOL:あまり日本の都合を押し付けないこと
「日本のもの」のPRだからといって、日本側の関係者が「自分たちが最もよく商品を理解している」と考え、KOLへの商品紹介の依頼に際し、PRしたい商品の都合ばかり押し付けてしまうケースがあります。このやり方はクリエイターとしてのKOLの士気を下げてしまい、結果として視聴者へ商品の魅力が伝わらず、良い結果(ユーザーのクリックや購入、来店といったアクション)につながりません。
中国向けのインフルエンサーマーケティングでは、コンテンツクリエイターとしてのKOLがファンに響く文脈に最も精通している ことを理解する必要があります。KOLの意見を聞きながら台本を仕上げていくことが、プロモーションの成功すなわち紹介するコンテンツ(商品や場所)のファン獲得 につながります。

本当に大切なのは、商品がKOL自身の魅力の中で紹介されていくこと:そのためには適切なKPI&適正な報酬の設定が鍵
2点目はKOLに求める成果についての誤解です。KOLに依頼するからには何らかの成果や数字といった結果を求めることが多いと思います。確かにコンテンツさえよければ拡散されるのがSNSの特性ですが、約束した数字に届かせるコンテンツを作り出すことは、人に未来が読めない限り難しいと言えます。「コンテンツがヒットすること」にはさまざまな要因が関係してくるからです。その中で 「必ずこのKPIを達成してほしい」と閲覧数やユーザーの何らかのエンゲージメント(たとえば、「いいね」やコメント数など)を求めると、中国のKOLはそれらの数字をお金で買って実現することも少なくありません。
また仕事の依頼を出す場合、値切り交渉をしてしまうケースも見られます。このことは、KOLのオリジナルコンテンツの製作時間を奪い、結果としてKOLの媒体としての価値も引き下げられていく ことにつながります。オリジナルコンテンツは、媒体としてのKOLの魅力の源泉です。プロモーションだけでなくオリジナルコンテンツが存在するからこそKOLは媒体としての価値をファンから認められています。もしKOLがプロモーションコンテンツしか発信できなくなってしまうと、ファンへの求心力を失わせてしまうことにもなりかねません。
こういったKOLの疲弊を防ぐためには、適切なKPIと適正な報酬の設定が重要 になってきます。それでは、KOL施策においては何を効果計測の指標とするべきなのでしょうか。弊社ではKOL施策前後の数字だけを見るのではなく、継続的に定点観測を行うことが重要と考えています。SNSのフォロー数の増加、店舗への来店やリンクのクリックなど成果の計測方法はいくつもあります。
まとめ 〜もっとも重要なのはコンテンツ、KOLと足並みをそろえて〜
コンテンツで心を揺さぶることを忘れ、SNS上の数字ばかりに注目してしまえば、訪日中国人・中国人消費者を行動に導くことはできません。
KOLは人間の消費行動における 「アイドマの法則」のAttension(注意)、Interest(興味、関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)すべての領域にコミットできる稀有な存在 です。KOLにあこがれと信頼を抱いているファン(SNSのフォロワー)は、
- 彼・彼女らの紹介するコンテンツに目を留め(注意)、
 - コミュニティの一員としてそれを理解しようとし(興味、監視)、
 - 憧れの対象であるKOLと同様の商品を所有することや体験することを願います(欲求)。
 - KOLへのあつい信頼があるからこそ記憶に残り(記憶)、
 - 購入や体験を実行する可能性も非常に高いのです(行動)。
 
KOLはこれからも訪日中国人とのコミュニケーションチャネルとしてほかに代替のない価値を保ち続けるでしょう。
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訪日ラボ主催「THE INBOUND DAY 2025」アーカイブ配信中!

訪日ラボを運営する株式会社movが8月5日に開催した、日本最大級のインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」のアーカイブ動画が公開中です。
アーカイブ配信では、元大阪府知事の橋下 徹氏と大阪観光局理事長の溝畑 宏氏による基調講演のほか、脳科学者の茂木 健一郎氏、日本文学研究者のロバート・キャンベル氏、アパグループ 社長兼CEOの元谷 一志氏などの貴重な講演の様子を一挙公開(一部を除く)。
参加できなかった方はもちろん、もう一度議論を見直したい方も、ぜひご覧ください。
【インバウンド情報まとめ 2025年10月後編】観光庁長官、万博は「訪日客誘客に一定の効果」 ほか

訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に10月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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詳しくはこちらをご覧ください。
→観光庁長官、万博は「訪日客誘客に一定の効果」 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年10月後編】
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