こんにちは、Cross C(クロスシー)編集です。
訪日中国人をターゲットにしたインバウンドプロモーションにおいては「インフルエンサーマーケティング」が欠かせません。一昨年、昨年と「ファン心理」と「信頼関係」から成立しているインフルエンサーを中心とした潜在顧客への情報発信はますます存在感を増しています。日本国内でも数々の企業が消費者とのコミュニケーションチャンネルとして利用するようになっていますが、中国でも同様です。
今月はインフルエンサーの1つのカテゴリである 「KOL」(KeyOpinionLeader、特定のコミュニティにおいて発言や行動に影響力のある存在)をテーマに、中国人KOLの本質 を解き明かします。またKOLを巻き込んだマーケティング戦略の肝についてKOLとの関係といったソフト面から解説します。後編ではKOL施策におけるハード面で注意すべきこと、そして最新情報 をお伝えしていきます。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
KOLとは「媒体」でもあり「クリエイター」
KOLは単なる有名人ではありません。KOLとはSNSアカウントというメディアの中で自らが生み出したコンテンツを発信し、それにより生み出された信頼がつなぐファンとのコミュニティを持っています。KOLは「媒体」であり「クリエイター」だという本質的な意味をとらえることが施策を成功に導きます。
KOL施策の効果はPVだけでなく○○に現れる
上述のような本質を残念ながら見抜けず、訪日中国人や中国人消費者を対象にしながらうまくいかないKOL施策のパターンがあります。以下に2つのエッセンスをご紹介し、成功のために正すべき誤解について解説します。
訪日中国人・中国人消費者の心をつかむのに長けているのはKOL:あまり日本の都合を押し付けないこと
「日本のもの」のPRだからといって、日本側の関係者が「自分たちが最もよく商品を理解している」と考え、KOLへの商品紹介の依頼に際し、PRしたい商品の都合ばかり押し付けてしまうケースがあります。このやり方はクリエイターとしてのKOLの士気を下げてしまい、結果として視聴者へ商品の魅力が伝わらず、良い結果(ユーザーのクリックや購入、来店といったアクション)につながりません。
中国向けのインフルエンサーマーケティングでは、コンテンツクリエイターとしてのKOLがファンに響く文脈に最も精通している ことを理解する必要があります。KOLの意見を聞きながら台本を仕上げていくことが、プロモーションの成功すなわち紹介するコンテンツ(商品や場所)のファン獲得 につながります。
本当に大切なのは、商品がKOL自身の魅力の中で紹介されていくこと:そのためには適切なKPI&適正な報酬の設定が鍵
2点目はKOLに求める成果についての誤解です。KOLに依頼するからには何らかの成果や数字といった結果を求めることが多いと思います。確かにコンテンツさえよければ拡散されるのがSNSの特性ですが、約束した数字に届かせるコンテンツを作り出すことは、人に未来が読めない限り難しいと言えます。「コンテンツがヒットすること」にはさまざまな要因が関係してくるからです。その中で 「必ずこのKPIを達成してほしい」と閲覧数やユーザーの何らかのエンゲージメント(たとえば、「いいね」やコメント数など)を求めると、中国のKOLはそれらの数字をお金で買って実現することも少なくありません。
また仕事の依頼を出す場合、値切り交渉をしてしまうケースも見られます。このことは、KOLのオリジナルコンテンツの製作時間を奪い、結果としてKOLの媒体としての価値も引き下げられていく ことにつながります。オリジナルコンテンツは、媒体としてのKOLの魅力の源泉です。プロモーションだけでなくオリジナルコンテンツが存在するからこそKOLは媒体としての価値をファンから認められています。もしKOLがプロモーションコンテンツしか発信できなくなってしまうと、ファンへの求心力を失わせてしまうことにもなりかねません。
こういったKOLの疲弊を防ぐためには、適切なKPIと適正な報酬の設定が重要 になってきます。それでは、KOL施策においては何を効果計測の指標とするべきなのでしょうか。弊社ではKOL施策前後の数字だけを見るのではなく、継続的に定点観測を行うことが重要と考えています。SNSのフォロー数の増加、店舗への来店やリンクのクリックなど成果の計測方法はいくつもあります。
まとめ 〜もっとも重要なのはコンテンツ、KOLと足並みをそろえて〜
コンテンツで心を揺さぶることを忘れ、SNS上の数字ばかりに注目してしまえば、訪日中国人・中国人消費者を行動に導くことはできません。
KOLは人間の消費行動における 「アイドマの法則」のAttension(注意)、Interest(興味、関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)すべての領域にコミットできる稀有な存在 です。KOLにあこがれと信頼を抱いているファン(SNSのフォロワー)は、
- 彼・彼女らの紹介するコンテンツに目を留め(注意)、
- コミュニティの一員としてそれを理解しようとし(興味、監視)、
- 憧れの対象であるKOLと同様の商品を所有することや体験することを願います(欲求)。
- KOLへのあつい信頼があるからこそ記憶に残り(記憶)、
- 購入や体験を実行する可能性も非常に高いのです(行動)。
KOLはこれからも訪日中国人とのコミュニケーションチャネルとしてほかに代替のない価値を保ち続けるでしょう。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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