IR(統合型リゾート)実施法、いわゆるカジノリゾートをめぐる議論が日本で大詰めを迎えています。今月6日にはギャンブル等依存症対策基本法案も可決・成立し、与党はこの7月22日に参議院本会議でのIR実施法案成立を目指しています。
いよいよカジノの日本上陸は秒読みとなりました。
IR実施法案では、日本国民のカジノ入場料が6000円となっており、これが高いのか安いのかは議論が分かれるところです。世界のカジノ先行国におけるランキングと入場料を比較し、カジノ入場料6000円は高いのか、安いのかを探っていきます。
日本でも五輪需要に向け整備進む IR(統合型リゾート)推進法:カジノ、公営賭博、パチンコ店のインバウンド対応ってどうなってるの?
海外では、観光客が立ち寄る場所として一般的な施設という印象が強い カジノに代表される賭博施設 ですが、日本では現時点でこうした合法カジノはありません。その代わりに海外にはない 公営競技という名称で呼ばれる公営賭博 、そして 風営法のもとで遊技とされるパチンコ が存在します。こうした カジノ、公営賭博、パチンコとインバウンドの関係 はどうなっているのでしょうか。インバウンド受け入れ環境整備の資料を無料でダウンロードする「翻訳・多言語化」の資料を無料でダウンロードする「多言語サイト制作」の資料...
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自国民に入場料を6000円も課す理由とは?
公営カジノ(public casino)が自国民から入場料をとる国には、シンガポール(100シンガポールドル・およそ8240円)と韓国(9000ウォン・およそ900円)が挙げられます。
自国民へ高めの入場料を課す目的は、税収増への期待より入場コントロールの側面が強調されることが多いようです。日本でもカジノ入場料はギャンブル等依存症対策という側面から議論されてきました。
ギャンブル等依存症は多額の借金を作ってしまう点で、短期間で生活破綻に繋がりますから、カジノに入り浸る依存症患者が増えないように、ある程度高額な入場料を課すことで入場のハードルを上げるという依存症対策です。
有名テーマパークの夜間入場料と同レベルの入場料設定
入場料を科すことには、じつはもう一つの効果があるのではないかといわれます。ドレスコードの代わりとなる入場制限効果や、社交場・アミューズメント施設としてのステータス維持です。
インバウンド旅行客をメインターゲットに想定した日本のカジノは、旅先での特別な時間を演出することになります。ジャージにサンダルといったコンビニに行くようなラフな格好で毎日のように遊びに来る人が増えると、社交場としてのステータスが維持しづらく、ターゲットする外国人や国内富裕層が離れてしまう可能性があります。そのためお金を払わせることで非日常の特別な場とすることができるのでは、という考えです。
今回決定された6000円という入場料は、有名テーマパーク等の夜間入場料ときわめて近い金額設定です。夕方からの娯楽の場に日本人はいくら払うか、という視点から導かれた金額設定ともいえるのではないでしょうか。
【年2.9兆円の経済効果】カジノ入場料「6000円」で合意 全国3箇所へ:IR実施法案に関して自公協議決着 今国会での成立を目指す
2020年に向けて、訪日外国人に日本滞在中により多くの支出をしてもらうことを目指し、カジノを中核とするIR実施法案を巡る動きが加速しています。IR実施法案は、高級ホテル、各種商業施設、MICEなどの開催が可能な会議室、カジノなどを含む統合型リゾート(IR=Integrated Resort)の整備を日本国内で目指すもので、シンガポールなど既にIR施設を導入している観光地に続いて、日本でもこうしたIR施設の導入が議論されていますインバウンド対策なにから始めたら良いかわからない?訪日ラボがまと...
日本人の知らない世界のカジノランキングと入場料
ここからは日本ではあまり話題にならない世界のカジノランキングと、その入場料をさぐっていきます。参考としたのは国際旅行業界での評価の高さ、海外旅行サイトのランキング、カジノ面積ランキング、カジノ専門サイトのランキングなど複数です。
カジノ2大大国は中国と米国です。現在ランキング1〜10位はほとんど中国と米国のカジノで埋められていると言っても過言ではありません。日本が参考としているシンガポール「マリーナ・ベイサンズ」なども10位内ランクインは厳しい状況です。
ランキング1位・2位を占めるのは中国カジノ産業
どのランキングでも1位・2位は中国のマカオにあるカジノで占められています。特に人気があるのは「ザ・ベネティアン」と「シティ・オブ・ドリームズ」で、カジノランキングを調べるとたいていこの2つが最高評価カジノとなっています。
マカオは港町であるため、何百年も前から船乗りや港湾労働者などが遊ぶ「港町の賭場」がありました。こうした背景からカジノビジネスと地域の歴史も深いうえ、2000年代からの中国政府のカジノ成長戦略(具体的には外資系のIRオペレーション企業に門戸を開いたこと)も大きく花開いた形となっています。
気になる入場料は無料です。豪華な総合リゾートなので、家族旅行先としても魅力的です。昼は家族アクティビティ、夜は親子でカジノを体験、といった使い方もできます。
中国カジノ産業躍進の背景には、急成長を遂げた中国経済による内需、つまり高まる娯楽ニーズがあります。
ランキング3位は米国カジノ産業
カジノランキング3位は米国のカジノです。日本ではラスベガスが有名ですが、海外のランキングサイトではコネティカット州レッドヤードにある「フォックスウッド・リゾート・カジノ」が人気です。
カードゲームの聖地として有名で、ポーカー愛好家の世界イベント・WPT(ワールド・ポーカー・ツアー)の本拠地となっています。美しい自然に囲まれた地域のため、併設ゴルフ場・プール・スパなどの施設も素晴らしく、超一流のエンターテイメントも用意されています。大人向け高級リゾートとして申し分のない条件を満たしており、ラスベガスとは違った魅力で成功したと言えるかも知れません。入場料は無料です。
ランキングサイトによっては3位に米国ラスベガスの「シーザー・パレス」がランクインしているものもあります。こちらは日本人にも人気ですので知っている方も多いと思います。アメリカは州によりカジノに関する法律が違いますが、ラスベガスのあるネバダ州ではカジノは合法のうえに民営ですので、とくに個人登録なし、入場無料となっています。
注目したい南半球のカジノリゾート①南アフリカ
世界ランキング1位から10位までの間でカジノ2大国の中国と米国がしのぎを削る中、南半球のカジノも地の利を活かして健闘しています。
南アフリカにある「リオ・カジノリゾート」は南半球最大のカジノで、ブラジルのカーニバルをイメージして作られています。首都ヨハネスブルグから車で2時間ほど、国際会議などに対応できるコンベンション施設があります。
IRはビジネス需要に対応できることは極めて重要ですので、これも「リオ・カジノリゾート」の評価が高い理由と思われます。
カジノ入場料はありませんが、ホームページの端の方に「ギャンブル等依存症の方へ」というページリンクがあるので、南アフリカにおいてもギャンブル依存症は看過できない問題と思われていることがわかります。
注目したい南半球のカジノリゾート②オーストラリア
南半球ではオーストラリア・メルボルンにある「クラウン・カジノ」も評価の高いカジノで、ランキングの7位前後にランクインしています。
メルボルンはその美しさと気候の良さ、そして治安から世界的に人気があり「もっとも住みたい街」のランキング常連です。世界中から富裕層が集まる街です。
市街地からのアクセス抜群であるため、地元の学校同窓会や企業パーティなどにも使われたり、いわゆる二次会需要でカジノに行くこともしばしばあるようです。ホテル従業員やディーラー、地元ミュージシャンなどの地元雇用創出にも一役買っています。
ギャンブルだけではない社交場としての魅力があります。入場料はありませんが、国籍や年齢などをパスポートなどIDチェックされます。
まとめ:特徴あるIR(統合型リゾート)でないと訪日外国人相手には生き残れない
ここまで見てきた世界トップランクのカジノからもわかるように、差別化・オリジナリティそして得意とするコア集客層(中国なら国内需要・米国フォックスウッドならカードゲーム愛好家・南アフリカならビジネスコンベンション需要・メルボルンは地元の社交場需要)がないとカジノは成功しません。
インバウンドの起爆剤として期待されるカジノですが、日本ではいまだにいかに魅力的なカジノを作り・経済を活性化し・雇用を生み出すかという議論が活発化しません。税金を投入し運営しているのに利益も上がらず、ギャンブル依存症だけを増やす、そんなカジノでは作る意味がありません。
ギャンブルだからカジノは関わらない、と一線を引いてしまう一般市民が増えれば増えるほど、カジノ産業の健全な発展を見守ることが難しくなります。
- 地元の安定的で好条件な雇用を創出する
- カジノ依存症を早期に発見する仕組みづくり
- カジノを取り巻く不法行為監視(反社会勢力介入や周辺での違法風俗)
などを軸にしたクリーンで収益性の高いカジノの成否は、一般市民がどれほど関心をもって見守るかにかかっているといえるでしょう。
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<参考>
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