観光庁ではこのほど、訪日外国人消費動向調査の2018年4-6月期の調査結果を発表しました。
訪日外国人が日本でどのような消費を行っているかを調査することを目的とした、このホウニチガイコクジン消費動向調査は、2018年1-3月期の調査結果より、都道府県単位での精度向上を目指し、従来調査に加えて地域調査を開始、調査地点を全国27空海港、サンプルサイズを約3万5千票に拡充、クルーズ客(船舶観光上陸許可者)を新たに調査対象にするなど調査項目を拡充しています。
今までその内訳が不明となっていたクルーズ客の旅行消費額がわかったのは画期的なことで、今後さらなる分析が期待されます。では、今回の2018年4-6月期の調査では、どのような結果だったのでしょうか。実際の所、クルーズ客は意外と消費していないことがわかりました。
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国籍・地域別では中国が最大となる3,620億円を消費
観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、2018年4-6月期の訪日外国人全体の旅行消費額(1次速報)は1兆1,233億円と推計され、一般客の旅行消費額は1兆960億円、クルーズ客の旅行消費額は273億円と推計されています。
国籍・地域別では中国が中国が3,620億円(32.2%)と最も大きく、次いで、台湾1,502億円(13.4%)、韓国1,302億円(11.6%)、米国846億円(7.5%)、香港819億円(7.3%)と続き、上位5カ国・地域で全体の72.0%を占めます。
1人当たり費目別旅行支出は全国籍・地域の総額で144,082円
新たに調査項目に加わったクルーズ客の消費動向を、一般の訪日客と比較するため、国籍・地域別での消費行動を見てみましょう。
国籍・地域別にみる訪日外国人1人当たり費目別旅行支出を見ると、全国籍・地域の総額は144,082円となり、最大は買物代の47,805円、続いて宿泊費の42,107円、飲食費33,495円が続きます。
買物代に最も多く支出しているのは中国で109,120円、宿泊費に最も多くを支出しているのは英国で106,918円、飲食費に最も多くを支出しているのはスペインで76,544円となっています。
クルーズ客の買物代は全体より9,700円低く、日本国内おいて買物以外の消費行動はしていない
2018年1-3月期より新たに調査項目に加わったクルーズ客の旅行消費額は、2018年4-6月期の訪日外国人1人当たり旅行支出が総額で14万4千円であるところ、僅か4万500円となりました。なお2018年1-3月期の訪日外国人1人当たり旅行支出が総額で15万2千円だったところ、クルーズ客の旅行消費額は5万600円です。
また平均泊数に関しても全体では8.1泊のところクルーズ客の場合は0.6泊となっており、日本にほとんど滞在していないことが伺えます。またクルーズ客の場合、宿泊は当然ながらクルーズ船で行うため宿泊費はゼロ、今まで不明だった飲食費に関しても、2018年1-3月期で2,255円、2018年4-6月期で1,722円と、クルーズ客はほとんど飲食にもお金をかけていないことが明らかになりました。
なお、買物代に関しては2018年1-3月期で4万7900円、2018年4-6月期で3万8000円となっており、全国籍・地域の2018年4-6月期の47,805円を9,700円ほど下回ります。
こうしたデータから、従来から懸念されていたようにクルーズ客はクルーズ船で上陸、その足で郊外のショッピングモール行きのシャトルバスに乗って買物を行い、そのまま帰国。買物以外に日本で消費行動をほとんど行っていないという足取りが明らかになりました。
訪日外国人1人当たり旅行支出は14万4千円 4-6月期の訪日外国人1人当たりの旅行支出は例年低下を続ける
また、2018年4-6月期の訪日外国人1人当たり旅行支出は14万4千円となり、国籍・地域別で見ると、オーストラリア(26万4千円)、スペイン(24万4千円)、英国(21万9千円)の順で高くなっています。なお、対前年同期比で見ていくと、2017年4-6月期(14万9千円)、 2016年4-6月期(16.0万円)、 2015年4-6月期(17.8万円)と年を追うごとに、4-6月期の訪日外国人1人あたりの旅行支出は低くなっていることがわかります。
ご存知のように訪日外国人旅行者数は右肩上がりで成長を続け、訪日外国人旅行消費額も例年成長していますが、訪日外国人1人当たりの旅行支出が2015年から2016年にかけて低下、その後大きな回復を見せていないのは、引き続き注視が必要と言えるでしょう。
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<参考> - http://www.mlit.go.jp/common/001245491.pdf
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