Wovn Technologies 株式会社 取締役COOの上森です。
Wovn Technologiesは「WOVN.io」という、WEBサイトやスマホアプリを多言語化するサービスを開発するなど、インバウンドを含めたWEB多言語化のテクノロジーを提供している企業です。
われわれはクライアントにツールを導入していただくだけでなく、企業のWEBインバウンド戦略を叶えるコンサルティングも実施しています。本連載ではその知見を活かしながら3回にわたって、企業がWEBインバウンドというミッションを達成していくうえでのノウハウや解決策を紹介していきます。
第2回目となる今回は「『訪日外国人』『在日外国人』ごとの業種別の対応事項」を簡単に紹介していきます。
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そのWEB多言語化は「訪日外国人」向けなのか「在日外国人」向けなのか
WEBサイト(やアプリ)を多言語化する際には、その目的に合わせてどのような外国人にサイトをみてもらいたのかをイメージすることが肝要です。すなわちWEBサイトのターゲットを「訪日外国人」「在日外国人」のうち、どちらを想定するかと言い換えてよいでしょう。
1. 訪日外国人 - とくに中国本土からの観光客向けに対応が必要
まずはじめに「訪日外国人」です。たとえば訪日前に、情報収集する観光サイト、ホテルや体験アクティビティの予約購入をする情報・予約サイト、帰国後に日本限定のアイテムを購入する越境ECサイトなどを扱っている方はとくに重要でしょう。
訪日外国人とはその名のとおり、日本へ旅行に行く外国人の方々で、いわゆる「インバウンド観光客」のことです。日本政府はインバウンド観光客を2020年に4000万人、2030年に6000万人にすることを目標として掲げています。2015年のインバウンド観光客が約2000万人であったことに鑑みれば、訪日外国人対応の必要性がいかに重要かは語るまでもないでしょう。
また大手企業の中には中期経営計画などの成長戦略の中に、インバウンド観光客施策を強化することを明言している企業もたくさんいます。このように訪日外国人向けのWEBサイト多言語化が組織課題となっている企業も多いのではないでしょうか。
訪日外国人向けWEBサイト多言語化は「日本に詳しくない外国人向けに情報提供する」ということです。
多言語化というとつい「翻訳」を思い浮かべてしまいますが、多言語化が必要な事項は多岐にわたります。業種別に簡単にポイントを挙げると以下のようになるでしょう。
【小売業・飲食業】
-
地図の切替え
- ほとんどの国ではGoogle Mapが使えるようにしておけば問題ありませんが、中国本土ではGoogle Mapがつかえないので、BaiduMapを使えるように設定したほうがベターです。
-
SNSの切替
- 同様に中国ではTwitterやFacebookなどのSNSが使えず、それらの代替になるようなSNSがあります。そのため中国本土向けにSNSの切替えを行います。
-
決済
- 中国では決済のほとんどがアリペイかWechatPayと言われており、現金はほとんど使われません。可能ならばアリペイやWechatPayなどの決済手段の導入が望ましいです。
-
越境EC
- 言語翻訳、物流、カスタマーサポート、決済など、課題は多岐に渡ります。
【観光業】
チケッティングはとくに慎重な翻訳が必要です。チケット購入には会員情報の登録やクレジットカード情報の入力が必要。全く読めない日本語や母国語以外の言語では心理的なハードルも高く、購入率が著しく低下するためです。
【交通業】
電車や新幹線、船舶、飛行機などはとくにFAQページが閲覧されやすいです。翻訳に加えて、券売機の使い方などは画像を利用するなどの工夫を凝らし、理解しやすくしておきましょう。
2. 在日外国人 - 生活面・仕事面で多言語化対応を
訪日外国人が増えているのは周知の事実ですが、同様に日本に居住する在日外国人も増加しています。日本は労働人口減少もあって、政府は今後外国人労働者を増やす意向です(一部報道によると現在約200万人の在留資格者を、2025年までに50万人増やす計画のようです)し、人口動態によると東京に住む20代のうち、1割は外国人であるとのデータもあり、決して無視できる割合ではありません。
在日外国人向けのWEBサイト多言語化では、日本に関する基礎情報がある外国人に向けて、さらに生活に必要な情報を届けることになります。訪日外国人でしたら対応するのは旅行業や小売業などが中心になりますが、在日外国人向けにはさらに、金融・通信・行政などの生活インフラ面の多言語化が必要になります。また在日外国人を雇用する企業も、多言語化を忘れてはいけませんし、雇用後に使うイントラネットなどの社内システムの多言語化も必要かもしれません。
また在日外国人のためには、行政や医療機関などの生活インフラも多言語化する必要があります。行政が運営するWEBサイトでは、情報の適時性と正確性が肝要です。
たとえば1年前の情報をそのまま配信している自治体もありますが、これでは明らかにサービス不足。他方情報を配信しないといけないけど、ROI(予算)との関係から機械翻訳を使って適時に情報を開示している自治体もあります。ただ機械翻訳を利用するにもしても、重要情報には人力で翻訳を行ったほうがいいかもしれません。
在日外国人向けの多言語化のポイントを業種ごとに簡単にピックアップすると、以下のようになるでしょう。なお当然ですが、在日外国人も訪日外国人と同様に観光や交通などの対応が必要となります(1.訪日外国人をご参照ください)
【小売業・飲食業】
- 店舗情報やECを翻訳し、検索や購入がしやすいようにする
- サイト内検索を多言語でできるようにする
- 外国語でのSEO対応も行う
- 採用ページなど、採用の情報発信の多言語化(とくに飲食業は、外国人採用が大きな課題となっていますね)
【金融】
- WEBバンクやクレジットカードの明細などのたくさんページがあるサイト(動的サイト)を多言語で閲覧できるようにする
- 多言語化されたページでもセキュリティが問題ないようにする
【通信】
- スマホ、携帯電話の契約・解約・機種変更、FAQやオプションの閲覧・検索などを多言語で行えるようにする
- キャンペーンなどを日本語と多言語で同時に展開できるようにする
【行政・医療機関】
- 行政や病院など、生活インフラの情報発信
- ログインが必要な場合、セキュリティ対応が必要
- 災害情報などの緊急かつ重要な案件は、タイムリーかつ正確な情報を多言語で発信できる態勢にする
訪日・在日外国人が増える前に多言語化対応を
以上、簡単ですが、「訪日外国人」と「在日外国人」とに分けてWEBサイト多言語化の論点を紹介してきました。今回はわかりやすい論点を中心に紹介しましたが、もちろん業種やサービスごとに細かい論点は無数に存在します。
冒頭でも紹介したように、訪日外国人も在日外国人もこれからどんどん増えていく予定で、今WEBの多言語対応をしなければ、ライバル企業に遅れをとったり、遅きに失することになってしまいかねません。自社の顧客や関係者の外国人がどのようなことに困っているかを把握し、外国人の方が日本を満喫できるように、対応していただければ幸いです。
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