今マレーシアでは「日本」が人気の旅先No.1 旅行トレンドは脱「安近短」/最大規模の旅行博「MATTA Fair」から見えた、リピーターを増やす秘訣【現地レポート】

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マレーシア最大規模の旅行博として3月と9月の年2回開催されるMATTA Fair (Malaysian Association of Tour & Travel Agents Fair)。今年も3月16〜18日まで開催されました。

会場となったのはクアラルンプール市内にあるプトラ・ワールド・トレード・センター(Putra World Trade Center/PWTC)。総面積29,000 m2の広さを誇り、ホール1~5とリンクウェイの計7会場に1353あまりにのぼる国内外の旅行関連ブースが集まりました。期間中の来場者は11万人にのぼると見られています。

▲MTTA Fairの規模は年々拡大している

▲MTTA Fairの規模は年々拡大している

マレーシアのThe Star紙オンライン版によると「1991年の初開催時はわずか80ブース、来場者は9000人だった」とのこと。数字からも年々順調に規模が拡大してきたことがわかります。今回は過去最大規模ともいわれる会場に実際に足を運んでみました。

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仮想現実とSNSを使ったガイドブックやキャンペーン

ホール5に続くエントランスで紹介されていたのは、MATTA Fairの仮想現実ガイドブックアプリ「eMATTA」。アプリをダウンロードし、配布されたパンフレットの気になるページをスキャンすると、お得なツアー情報などが現れる仕組みです。多くの来場者から注目を集めていました。

▲スクリーンパネルで写真を撮影し、SNSシェアできる

▲スクリーンパネルで写真を撮影し、SNSシェアできる

会場やツアー情報以外にも、同アプリ内で遊べるゲームのポイントをためたり、ゲーム内に出てくるキャラクターと一緒に写真を撮ってSNSでシェアしたりなどをし、高得点を出した10人に現金などの賞品が当たる特典がありました。

会場内の無料WiFiが利用可能ということもあり、誰でも無料で簡単に参加できる手軽さが好評のようでした。

MATTA Fair限定の旅行ツアー、航空券の割引が注目される

旅行博であるMATTA Fairは、各国の省庁や自治体のツーリズム関連部署の参加も多く見られました。マレーシアの観光・文化省(ministry of tourism and culture malaysia)のブースに参加意図を尋ねてみたところ「国内ツーリズムの認知度アップや観光産業の促進としてMATTA Fairは今や重要であると考えている」とのこと。

▲air asia.comでは最大70%オフの旅行ツアーを販売

▲air asia.comでは最大70%オフの旅行ツアーを販売

▲多種多彩のツアー広告バナーで覆いつくされた旅行会社のブース

▲多種多彩のツアー広告バナーで覆いつくされた旅行会社のブース

▲マレーシアから人気の旅行先はアジア

▲マレーシアから人気の旅行先はアジア

来場者にとって一番の目玉とされているのは、旅行会社、航空会社、ホテル、リゾートなどによる特別割引価格のセールや商品、チケット。これらは開催期間限定との触れ込みで、大幅に割引され販売されています。さらに予約や販売が成立した場合、購入した商品の種類や金額などに応じて、スーツケース、Tシャツ、バックパックなどノベルティがプレゼントされる、あるいは抽選で高級車が当たるなどの特典なども多数用意されていました。

▲インタビューに答えてくれたShashiさん親子

▲インタビューに答えてくれたShashiさん親子

子どもと一緒に会場を訪れたインドマレーシア人のShashiさんは「今回で3回目の来場です。旅行が趣味なのでインド東南アジア圏の旅行ツアー価格を見て回っています。MATTA Fairのパッケージは割引率が高いため、お得なんですよ」と。実際に国内外の旅行会社からパンフレットや資料を大量に集め、その場でツアー価格などを比較している来場者も多かった印象です。

▲写真中央:旅行会社で働くMs.Liyanaさん

▲写真中央:旅行会社で働くMs.Liyanaさん

このイベントは旅行を考えている人だけではなく、旅行会社サイドにとってもメリットは大きいようです。クアラルンプール郊外のある旅行会社で働くMs.Liyanaさんは「すでに我が社は(MATTA Fairに)数えきれないぐらい参加しています。ツアー販売も好調ですが、なんといっても旅行を考えている多くの人が(MATTA Fairに)一気にこの3日間に訪れます。そのため我が社の名前や商品をアピールできるまたとないチャンスなんです」と話しました。確かにやみくもに宣伝広告などを打つよりもターゲットが確実に絞れるため、効率的であるように思えます。

▲クルーズツアーを紹介するブース

▲クルーズツアーを紹介するブース

そのほかに目立ったのがクルーズ旅行やツアーなどへの関心。オールインクルーシブ(All-inclusive, 価格の中に食事やアクティビティも含まれる)とはいえ、国内のみならず世界各国をめぐる高額のツアーに興味を示す来場者が多く、ツアー会社によっては商談のテーブルが満席でした。近年マレーシア富裕層が増加しているため、日本でいう安近短の旅行だけではなく、内容もプレミアムな商品にも注目が増えつつあるようです。   ## マレーシア人にとっての日本は「アジア内で最も行きたい旅行先」

▲和傘で彩られた日本ブース

▲和傘で彩られた日本ブース

2018年2月にMATTAから「現在マレーシア人にとって、国外で一番行きたい旅行先が日本である」と発表されました。その人気に呼応するかのように、メインエントランスを入るとまず目に飛び込んできたのは「TOKYO」「JAPAN(JNTO)」そして日系旅行会社など、日本関連のブース。

▲日本のさまざまな魅力を写真で紹介

▲日本のさまざまな魅力を写真で紹介

配布されていた東京の資料や地図は情報量が多く、都内の公共交通網、伊豆諸島などの記載など実際に旅先ですぐに役に立ちそうな印象。ある中華系マレーシア人は、その場で広げて眺めたあと、他のパンフレットとは別に丁寧にかばんの中にしまいこんでいました。またマレーシア人の人気の旅行先である北海道の資料や案内のパンフレットはクリアファイルに入っており、受け取りやすさを感じました。

▲JNTOブース内のステージではミニイベントのクイズが

▲JNTOブース内のステージではミニイベントのクイズが

▲JNTOブースで人気のアクティビティ浴衣のフォトセッション

▲JNTOブースで人気のアクティビティ浴衣のフォトセッション

JAPANブースのステージでは、和菓子や寿司などのデモや、紙相撲、そして浴衣のフォトセッションなど、食や文化を来場者に訴求するさまざまなミニイベントが終日行われており注目を集めていました。中でもクイズやフォトセッションなどの体験型、参加型のアクティビティは人気が高く、足を止める人が多かった印象。

▲観光スポットのパンフレットを手に取る人々

▲観光スポットのパンフレットを手に取る人々

▲会場で配布された手提げに日本の資料を入れる来場者

▲会場で配布された手提げに日本の資料を入れる来場者

すでに2回家族で日本を訪れているという中華系マレーシア人のジャネットさんは「初めての時はグループツアー(団体旅行)で訪問しました。でも今回はゆっくりと自分たちのペースで行きたい所を選定したい」と、日本のブースに資料を集めにきたとのこと。訪日観光と言っても初めてとリピーターとでは嗜好が異なってきます。とはいえ、「言葉の壁もあり全くサポートのない旅行」への不安は残るそう。そのため飛び込みで旅行会社に行くよりも、今回は自分の希望について相談ができそうなMATTA Fairを友人から勧められ訪れたとのことでした。

3月と9月にMATTA Fairが開催される理由

マレーシアのローカルスクールのタームホリデイは6月上旬から2週間ほど。一番長い休暇が年末で、11月下旬から12月末まで5週間休みになります。そのためマレーシア人はこの期間に長期旅行に出ることが多いようです。長期休みを控えたこの時期に開催されるMATTA Fairに来場者が求めるのは「旅行に関するすべてがその場で比較、通常よりも安い値段で、予約や購入もできる」ことではないでしょうか。

訪日を考えるマレーシア人に対して訴求する場合、このようにローカルスクールの長期休み、あるいは春節(中華系)、断食月明けのハリラヤ休暇(マレー系)などの時期を考慮して対応していくことも必要であると考えられます。

MATTA Fair自体の特性かもしれませんが、取材中に気づいたのは、すでに何度か日本を訪れた経験があるマレーシア人が多かったこと。今後はリピーター向けのオリジナルな旅の提案をしていく、あるいは個人旅行向けのサービス(例:困ったことや相談があったら24時間対応してくれるコンシェルジェのようなサービス)など言葉が通じない旅行者に、個々に対応していく細分化した提案内容が求められるように感じました。

それと同時に東京を筆頭に北海道、沖縄、京都など定番化した観光スポットの新しいツアー企画などを投じることで、回帰率もあがるように思えました。

「MATTA Fair」イベント情報

イベント名 MATTA Fair
開催国・都市 マレーシア・クアラルンプール
開催日 3月16〜18日
会場 プトラ・ワールド・トレード・センター
対象 一般消費者
来場者数 約11万人
参考URL http://www.mattafair.org.my/index.php/en/about/amf.html

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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