2018年9月5日、インバウンド事業を展開するVpon JAPAN株式会社(以下Vpon)は日本政府観光局(JNTO)などの官公庁に対して、Vponの保有するアジア全域6000万人の旅行者データの提供およびデータの視覚化ダッシュボード(BIツール)の提供を開始しました。日本は観光立国の実現に向けて、これまで以上に訪日旅行者の誘致が推進されていきます。
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背景
日本は政府、官公庁を中心に外国人旅行者の誘致を行っています。観光庁、日本政府観光局(JNTO)では国別の市場動向に基づくプロモーション、例えばアジア地域ではリピーター向けの訪問先に都心部だけでなく地方の訴求や、各国のSNS事情(特に中国ではFacebook、Instagram、Twitterなどが閲覧できないため、微博(Weibo)や微信(Wechat)などが浸透しているといった事情)を加味して情報発信やフォロワーのオフラインイベントが開催されています。
他にもこれまでのプロモーションに加えて新たな重点市場候補の動向調査、旅行会社などへのセミナーが実施されています。さらに日本政府観光局(JNTO)においては2017年にデジタルマーケティング部門が新設されており、これまで以上に訪日旅行客の人物像を明確にしたアプローチとしてデータ活用は注目されています。
アジア6000万人の旅行者データ
Vponが保有する台湾、香港、中国などアジア全域の旅行者データには以下のようなものがあげられます。
- 訪日履歴/頻度
- 過去の渡航頻度を端末の位置情報、通信情報から分析し訪日頻度として把握(1年以内に日本を訪問したユーザーなど)。
- パスポート保持
- 同じく端末の位置情報から自国及び他国の2ヵ所で通信があることなどからパスポート保持の有無を判別。
- アプリインストール
- 訪日旅行に関連するアプリ(Wifi利用に関連した情報、日本現地情報、交通案内など)をインストールしているかを判定。
- 閲覧サイト
- 直近数ヶ月の閲覧履歴やアプリの利用歴を加味し、訪日関連のサイトやブログ、掲示板などをよく閲覧しているユーザーを判別。
- 言語情報
- 端末の言語情報、位置情報によりユーザーの母国や母国語を推定。
- その他Vponデータ
- 他にもこれまでのVpon Big Data Groupの知見や機械学習を活用。
これらの旅行者データを分析し、日本に訪問する可能性が高いユーザー(旅マエ)かどうかを精緻に推定していくことが重要となってきます。そしてその後、実際に日本に訪問したユーザー(旅ナカ)にも的確にアプローチする必要があります。
国別訪日数からみる今後
2017年と2018年の上半期(1-7月)の国別訪日数のデータを見ても、中国や韓国を中心に大きく伸びている様子が伺えます(日本政府観光局公開数値より)。
香港は堅調な伸びであるものの、2018年中に中国主要都市から香港をつなぐ直通高速鉄道(広深港高速鉄道)と香港とマカオを結ぶ高速道路(港珠澳大橋)の2大インフラが完成予定となっています。
中国広東省だけでも国別訪日客数の7位に匹敵し、人口でいうと香港の3倍以上の規模になります。このような広東省・香港・マカオの移動が活発になることでインバウンド・旅行業界では大きなビジネスチャンスとなりそうです。
一方、訪日数でみると5番目のアメリカや7番目のオーストラリアを始め、アジア以外の欧米豪のエリアについては、2019年のラグビーワールドカップ日本開催が大きなきっかけとなりそうです。
サッカーや野球が注目される日本ではラグビー競技人口は決して多くはありませんが、世界の国別順位でみると6位の約27万人となっています。ラグビーワールドカップは「開催期間が長いこと(約6週間)」「日本全国12都市(札幌、岩手、埼玉、東京、神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫、福岡、熊本、大分)で開催されること」「ラグビー伝統国以外での開催は日本が初であること」「欧米豪の旅行出費予算の多さ」というようなインバウンドには好影響な要素が多く、重要なイベントになりそうです。
さいごに
上記のような香港の2大インフラ建設や、ラグビーワールドカップの開催、今後もインバウンド需要は上向きであることは間違いありません。冒頭でご紹介したVponの6000万人の旅行者データおよびBIツールの提供からも、様々な知見が得られることを見据えています。それにより、新たに見えてくるユーザー像やプロモーション事例を今後もご紹介予定です。
<参照>
- https://www.jnto.go.jp/jpn/
- https://goo.gl/vZ6AVf
- http://publications.worldrugby.org/yearinreview2017/en/1-1
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