今年始めの2018年1月、フランスで『ikigai(生き甲斐 英語タイトル)・仏原題:Trouver son Ikigaï Broché)』という一冊の本が出版されました。フランス人のクリエイティブコンサルタント、クリスティー・ヴァンブルメルシュ氏によって書かれたこの本は、日本語の「生き甲斐」という言葉を多数のインタビューとフランス人の視点で解き明かす内容となっており、フランス・アメリカで高評価を得ています。
『ikigai』のどこが欧米人を惹きつけるのか、まとめてみました。
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ジャンルとしては「自己啓発」「自分探し」
『ikigai』のAmazonの書評には以下のようなコメントが並んでいます。
- 幸福と自分探しに満ちた本
- 沖縄の心に触れた
- 様々な職業の人達のインタビューは興味深い
- もっと具体的な内容だといいのに
書籍の分類としては「家族と健康」の「自己啓発」に分類されています。
日本語の「生き甲斐」とちょっと異なる「ikigai」
この書籍の著者、クリスティー・ヴァンブルメルシュ氏はフランス人のクリエイティブ・コンサルタントで、なんと8歳から文筆業を志したと所属事務所の自己紹介に掲載されています。
彼女の眼を通して伝えられる「ikigai」は、*日本語の「生き甲斐」ではなく、日本人のよく言うところの「仕事が生き甲斐」というコメントに近いものです。
日本語で本来「生き甲斐」が持つ自己満足的な意味合いは薄れ、より自分の能力や志向と社会との接点を求める内容になっています。
「終業後のビールが生き甲斐」とか、「フィギュアの大人買いが生き甲斐」などという「生き甲斐」とは、どうも次元が違うようです。
日本独自のアイドル文化と訪日外国人観光客の関係
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人生100年時代とクリエイティブ職の増加が生んだ一冊
「仕事を通して得られる生き甲斐」が語られる舞台は、東京や大阪ではなく沖縄で、はつらつとした長寿の土地として描かれています。
日本全体が「長寿と仕事の国」なのは間違いありませんが、沖縄が選ばれたのは多くのフランス人にとって日本はもはや「遠い未踏の地」ではなく、LCCを使ってすぐに訪れることが出来る国だからかも知れません!?
最近話題の書籍に多くみられる「人生100年時代(長寿をいかに生きるか)」と「自分の能力を活かして食べる(職業の多様化・キャリアへの価値観の多様化)」といった現代的なテーマはこの本にも見られます。
秋田県のナマハゲが世界に誇る日本の文化に!? 沖縄県のパーントゥなどとユネスコ無形文化遺産の候補に
国連教育科学文化機関(ユネスコ)で審議、登録などが行われている世界遺産。歴史的に重要な施設や文化、自然などを保護する効果がありますが、訪日外国人観光客を対象とするインバウンドビジネスにも重要な存在です。世界各国での報道などを通じて、観光資源としてプロモーションできるためです。平成27年(2015年)7月に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として九州地方の萩反射炉、大板山たたら製鉄遺跡、三重津海軍所跡、端島(通称:軍艦島)が、平成28年(2016年)7月に「ル・コルビュジ...
欧米人にハマる「コンセプト」は「アクション」を伴うことが多い
Amazonでの書評を見ると、読者が「もっと深い内容が欲しい」「具体的な内容が欲しい」といったようなコメントを書き込んでいることがわかります。
ある思想・コンセプトに対して、どうやったらその思想を深めて体得できるのか「アクションの仕方」が書いてないとわからない、というのはいかにも欧米的な面白い意見です。
“ZEN”が海外で広く受け入れられたのは「座禅」というフィジカルアクションを伴っていたことが非常に大きいと考えられます。
また、武道を学ぶ外国人が「日本の心」に非常に興味を持つのも、「思想は行動を伴う」「行動は思想に裏打ちされる」という欧米人の理解の図式からでしょう。
海外の「サムライと忍者」イメージは?訪日外国人に体験型コンテンツが人気の理由
多くの魅力的な観光地や訪日外国人向けコンテンツがあるなか、「サムライ(侍)」や「忍者」といった日本の歴史に関連する独自のコンテンツは、常に訪日外国人から高い人気を集めています。それは、気軽にサムライ体験ができる歌舞伎町の「サムライミュージアム」が旅行情報サイトTripadvisorにおいて4.5の高評価を受けていることからもうかがえます。この海外での人気を受けて、かつて数々の戦国武将を輩出した愛知県は、「サムライ」「忍者」を活用した観光の活性化に取り組んでいます。以前、日本忍者協議会による...
まとめ:インバウンド業界は今すぐ「ikigai」に「アクション」を取り入れ「アクティビティ」化を
日本の思想や文化が海外で評価され、新しいコンセプトとして定着した例は少なくありません。古くはBushido(武士道)・Zen(禅)があり、最近ではKawaii(かわいい)・Otaku(オタク)・Umami(旨味)などが挙げられます。
これらの海外で受け入れられたコンセプトに対して、日本のインバウンド業界が「アクション」を取り入れてアクティビティ化していくのは有効な手段かも知れません。現に、Bushidoは武道体験/Zenは座禅体験/Kawaiiは原宿体験/Otakuは秋葉原体験/Umamiは和食体験へと広がりを見せています。「ikigai」もアクティビティ化が出来ないか、考えてみる価値がありそうです。
2018年夏 沖縄・鹿児島で新たな世界自然遺産が誕生!? 多彩な生態系を持つ琉球列島がユネスコに推薦
国際的に価値が認められ、ニュースなどに取り上げられることから、プロモーション効果、観光資源としての魅力向上などが期待できる世界遺産への登録。近年、日本では新たな世界遺産が相次いで登場しており、文化遺産では「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」(2015年)、「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」(2016年)と2年連続で登録。2018年には秋田県の「ナマハゲ」などが「来訪神:仮面・仮装の神々」として無形文化遺産になる可能性があります。さて、今回の記事で...
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体験やサービスで得られる満足感を重視する「コト消費」傾向が強いことが訪日米国人観光客の特徴です。訪日米国人観光客に人気のある体験スポットを調べてみると、やはり日本でしか体験できないようなところばかりとなっています。<関連> 目次訪日米国人観光客は「和」を体験したがっている足が痺れても体験したい日本文化 茶道ハリウッド映画に登場する侍や忍者は訪日米国人観光客に人気侍に少しでも近づき、殺陣も体験できる人気教室日本の京都で訪日米国人が体験する禅僧侶が英語で案内する座禅コースが訪日米国人観光客に人...
インバウンド対策なにから始めたら良いかわからない?
<参考>
- CHRISTIE VANBREMEERSCH氏プロフィール
- CHRISTIE VANBREMEERSCH氏ブログ『ma vie sans moi』
- Trouver son Ikigaï Broché Amazon.com
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