サイクルツーリズムは、訪日外国人観光客誘致のために作成された観光業を強化するテーマの一つです。
「自転車」を含む13のテーマで観光事業を強化するとし、訪日客の地方誘致に向けた周遊ルートを構築するため、国をあげてサイクルツーリズムに取り組む姿勢が伺えます。
全国で実施されているサイクルツーリズムの中から和歌山県・滋賀県・岐阜県飛騨市における取り組みに注目し、どのようにインバウンドの地方誘客へ繋げているのかを見ていきましょう。
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和歌山県:800kmのサイクリングコースを多言語サイトでPR

和歌山県は、800kmにも渡るサイクリング推奨ルートを「WAKAYAMA800」と名付け、利便性や安全性を考慮したサイクリングロードの整備に力を入れています。
ルートは、県内全域に山・川・海を通るよう設置しました。道路に青色のラインを引くことで、できるだけ車が通らない道をサイクリストが通れるよう工夫するとともに、自動車の運転手への注意喚起の役割も果たしています。さまざまなレベルに対応したサイクリングロードの整備・利便性の高い受け入れ環境・サイクリングを活用した地域づくりの3つの観点から、新たな観光資源を創出し地域活性化へ繋げることがビジョンです。
和歌山県の多言語サイト「VISIT WAKAYAMA」は英語・繁体字・簡体字・フランス語・スペイン語・ドイツ語・タイ語・インドネシア語・日本語の全9言語に対応しているのが特徴的です。
「WAKAYAMA 800」のPRでは、英語とフランス語の紹介動画を掲載しており、アウトドアな体験を好み個人旅行が主流の欧米人を対象とし、サイクリングで訪れることができる和歌山県の壮大な自然景観や歴史的建造物、温泉などの魅力を発信しています。
滋賀県:琵琶湖一周サイクリングでアプリをリリース/訪日客も簡単に情報収集

滋賀県が実施している「ビワイチ」は、滋賀県を象徴し日本一の大きさを誇る琵琶湖を自転車で一周する、サイクルツーリズムのプロジェクトです。琵琶湖周辺の自然や歴史、観光地など、滋賀県の魅力を満喫できるサイクリングコースを「ぐるっとびわ湖サイクルライン」と指定しています。
全長約193kmのコースは、初めて琵琶湖をサイクリングで一周する人も安心して楽しめるよう、比較的サイクリストが安全かつ快適に走れる琵琶湖周遊道路を選びました。
サイクリストの受け入れ体制の整備も進めており、スポーツバイクに対応した空気入れや自転車用工具の貸し出し、トイレの提供などを行う「サイクルサポートステーション」が、2018年10月26日現在で299施設登録されています。サポートだけでなく、地元民と国内外から訪れるサイクリストとの交流の拠点といった役割を果たすことも期待されます。
2018年4月には、スマートフォン・タブレット向けのサイクリング無料アプリ『BIWAICHI Cycling Navi』をリリースしました。英語と中国語(繁体字)にも対応しているため、訪日客の利用も可能です。
ビワイチのサイクリングコースにおいて、周辺の観光スポットや宿泊施設、飲食店などの情報が入手できるだけでなく、各スポットを周遊するルートが自由に設定可能なナビ機能も搭載しています。
ほかにも、レンタサイクルや自転車保険、走行時の注意地点、自転車を持ち込めるサイクリストに優しい宿などの便利情報も検索できるため、初めて琵琶湖でサイクリングを体験する訪日客も、安心してサイクリングを楽しめます。行政だけでなく周辺の自治体や地元民も含め、県全体で受け入れ体制を整備する姿勢が、滋賀県のサイクルツーリズムの特徴です。
岐阜県飛騨市:サイクリングで里山の日常体験/インバウンドの地方誘客に効果

岐阜県飛騨市に本社を置く株式会社美ら地球(ちゅらぼし)は、日本の田舎を目指す旅人のためのポータルサイト「SATOYAMA EXPERIENCE」を運営しています。
里山の暮らしを体験できるさまざまなアクティビティとオーダーメイドのツアーを提供しており、「HIDA SATOYAMA CYCLING」も人気のサービスの1つで、訪日客の間で注目を集めています。
いわゆる観光スポットではなく、地元民にとってはごく普通の日常こそ訪日客を魅了すると考え、飛騨古川ならではの暮らしが垣間見れるようなツアーが組まれています。
サイクリングを通じて、地元で採れた野菜が並ぶマルシェや古民家、田んぼ、農村集落など、ガイドブックには載っていない里山の日常に触れられるのがツアーの大きな醍醐味です。サイクリングはスローペースで家族連れも楽しめる構成となっており、経験豊富なガイドが案内します。
トリップアドバイザーに掲載されている全施設の約10%未満しか受賞できない「エクセレンス認証」を2017年に受賞しており、サイクリング自体はもちろんガイドによる地域の文化や歴史の説明により五感を通して楽しめると大好評です。「SATOYAMA EXPERIENCE」は、まさにサイクルツーリズムを通じた訪日客の地方誘致に成功した例であると言えるでしょう。
サイクルツーリズムでインバウンドの地方誘客へ
2020年までに訪日客数4,000万人を目指すにあたり、サイクルツーリズムを通じた地方の魅力発信は、効果的なPR方法の1つであると言えます。コト消費の需要が高まる中、サイクリング大国と言われる台湾や、アウトドア観光を好む個人旅行が主流なヨーロッパからの訪日客のニーズにも応える”体験”となるでしょう。
「HIDA SATOYAMA CYCLING」のように、サイクリングを通して地域の何気ない日常を垣間見ることや壮大な自然景観・食を堪能し、より満足度の高い体験をしてもらうためには、自治体や民間企業、そして地元民が一丸となって訪日客の受け入れ体制を整えていくことが鍵となります。
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<参考>
- The Official Wakayama Travel Guide:VISIT WAKAYAMA公式ページ
- JNTO:Biwaichi: Cycling around Lake Biwa
- 滋賀県:ビワイチサイクルツーリズムについて
- NPO法人五環生活:びわこ一周レンタサイクル
- SATOYAMA EXPERIENCE:HIDA SATOYAMA CYCLYNG
【2023年インバウンド最新動向を予測】国・地域別デジタルマーケティング戦略
2022年10月からついに入国者数の上限撤廃、短期滞在者のビザ免除等が実施され、訪日観光が本格的に再開されました。
未だ"完全回復"には至っていないものの、観光地によってはすでに多くの訪日外国人観光客が訪れているところもあり、「インバウンド対策」への関心が急速に高まっています。
では、今やるべきインバウンド対策とはなんでしょうか。そしてそれを国・地域別に見ると、どういった違いがあるのでしょうか。
インバウンド対策を何から始めたら良いか悩んでいる方や、インバウンドの最新動向を知りたい方向けに
- 最新の訪日観光の状況や今後の予想
- 国・地域別のデジタルマーケティング
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