外国人のレンタカー事故急増 日本人の4倍以上の発生率/国と自治体の安全対策3選

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2018年11月29日に総務省より発表された「レンタカー事業に関する実態調査」において、訪日外国人観光客によるレンタカーの事故率は、日本人の4倍強であるということが判明しました。相次ぐ訪日客レンタカー事故を受け、国と自治体が実施している事故対策を3つ紹介していきます。

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1. 国土交通省:訪日外国人観光客レンタカーピンポイント事故対策

レンタカー事業者・警察・観光部局との連携や、ETC2.0の急ブレーキデータなども活用により、訪日客ならではの事故危険箇所を明らかにするといったピンポイントの事故対策を、2017年秋より順次実施しています。実験地域は、訪日客レンタカー利用が多い新千歳空港・中部国際空港・関西国際空港福岡空港那覇空港の計5つの空港周辺を選定しました。

ピンポイント事故対策へ取り組む具体的な背景として、レンタカーを利用した訪日客が2011年から2015年の5年間で約4倍となったことや、2014年から2016年まで3年間の訪日客レンタカー事故件数が、沖縄県だけで約3倍となったことなどが挙げられます。

訪日客ならではの事故危険箇所を特定した後は、主に3種類のピンポイント事故対策が実施されます。

  1. カラー舗装やピクトグラムを活用した道路標識
  2. 多言語の注意喚起を促す看板
  3. 多言語パンフレット

多言語パンフレットは、事故の多い箇所を示し注意を促す内容となっており、レンタカーの窓口で配布しているとのことです。

訪日外国人観光客レンタカーピンポイント事故対策の例として、沖縄県での取り組みを紹介します。事故危険箇所は、ETC2.0プローブデータを活用したところ、訪日客の急挙動が多い交差点が集中する本部半島に特定されました。さらなる調査の結果、交差点直前での急挙動の約7割が古宇利島方面からの進入車両で、その9割が右側通行の台湾韓国からの観光客という結果が出てました。要因としては、右側通行の台湾韓国では道路標識が道路の右側にあるため、日本の左側にある標識を見落としていることが考えられます。沖縄でのピンポイント対策の1つとして、注意を促す看板を右側に設置し注意喚起や案内を行うとともに、右・左を交互に設置し効果を検証しています。

2. 北海道開発局:訪日客向け多言語ハンドブックで情報発信

北海道では、訪日客レンタカー貸し出し台数が2005年から増加し、2011年には東日本大震災の影響で減少したものの、その後は5年間でおよそ4.6倍となっています。観光目的の1つにドライブや道の駅めぐりが含まれるていることからも関心の高さが伺えます。訪日客レンタカーの利用増加を受け、国土交通省北海道開発局は2008年に、訪日客北海道で安全・安心・快適にドライブ観光を楽しめるよう北海道ドライブまるわかりハンドブック」を作成しました。対応言語は、日本語・英語中国語(繁体字)・中国語(簡体字)・韓国語フランス語・ドイツ語の7つです。情報更新のため、2014年3月と2017年3月に改訂されています。

ハンドブックは主に以下の6つの項目で構成されています。

  1. 出発までに準備すること
  2. 北海道の特徴・四季の魅力・旅のルールとマナー
  3. レンタカーの利用方法
  4. 日本の交通ルール
  5. トラブル対処法
  6. いざという時のための指差し会話集

2014年の改訂時には、冬の雪道で車が立ち往生したときの対処法や救急車利用マニュアルなども追加で記載しました。

ハンドブックの利用メリットとして、レンタカーの借り方や交通ルールなど、自国との違いを把握し、事故を未然に回避できることが挙げられます。2014年度は北海道運輸局およびJNTO海外事務所の協力により、現地での情報発信も実施され、旅行の計画段階から情報が入手しやすくなりました。

3. 宮城県:レンタカー用ステッカーの利用開始

一般社団法人東北観光推進機構と東北6県、レンタカー業界が連携し、訪日客が運転していることを周囲に知らせるためのレンタカー用ステッカーを作成したと、2018年10月4日に発表されました。取り組みは、東北観光推進機構と東北6県が行う「冬の東北と着地コンテンツ整備事業」の一環として実施されています。

2017年度の東北地方における訪日客へのレンタカーの貸し渡し回数は1年間で6,935回、前年比267%と大幅な伸びを記録しました。訪日客レンタカー利用増加に伴い、ステッカーを利用し日本の道路や交通ルールに不慣れな訪日客が運転していることを周囲に知らせることで、事故の発生を未然に防ぐことが期待されています。ステッカーは1,500枚作成し、9月に各県のレンタカー協会に所属する461社に配布しました。訪日客は貸切バスでの移動を中心とする団体旅行だけでなく、個人旅行で訪れる人も増えており、列車やバスなどの二次交通に課題が残る東北では、レンタカーがより有効な交通手段となるでしょう。訪日客レンタカー事故防止へ迅速に取り組んだ東北地方の今後の動向に、注目が集まります。

まとめ:安全対策を整備しインバウンド地方誘客促進へ

インバウンド地方誘客が叫ばれる中、訪日客レンタカー事故が後を絶たないといった現状を受け、自治体や事業者レベルでも安全対策の整備が急務であると言えるでしょう。訪日客への多言語での情報発信はもちろん、ステッカーのような日本人のドライバーにも注意喚起をするといった、さまざまな角度からのアプローチが今後も期待されます。

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<参考>

国土交通省:訪日外国人観光客レンタカーピンポイント事故対策について

内閣府:記者発表資料(平成30年6月8日)

国土交通省北海道開発局:Must-have Handbook for Driving in Hokkaido

北海道開発協会:北海道インバウンドフォーラム(平成27年11月26日)

一般社団法人東北観光推進機構:プレスリリース( 2018年10月4日)

河北新報:東北でレンタカー利用急増2.7倍 事故防止へステッカーで注意促す

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

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宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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