「モノ消費からコト消費へ」インバウンド市場の変化 | 定義とコト消費7つの分類、成功事例を紹介

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訪日外国人観光客の数は年々右肩上がりに増加しており、飲食業界や旅行業界など多くの業界でもインバウンド対策をおこなっているはずです。数年前にブームとなった訪日中国人による爆買いムーブは落ち着きを見せ、訪日外国人観光客の消費行動は、「モノ消費」から「コト消費」へと変わりはじめています。そこで今回は、インバウンドの需要が「モノ消費」から「コト消費」の変わった理由と今後の対策について、今一度お話しましょう。

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コト消費とは?

インバウンド市場において、近年注目されるようになった「コト消費」とは、商品やサービスを購入したことで得られる価値(コト)を重視した消費傾向のこと。

コト消費とモノ消費

インバウンド市場において、商品やサービスを購入したことで得られる価値を「コト消費」と呼びます。これに対し「モノ消費」とは、商品(モノ)に価値を見出す消費傾向のことです。

コト消費に変化しているのはなぜ?

実は「モノ消費」から「コト消費」に変化しているのはインバウンド市場に限りません。日本や世界で全体的に消費傾向が「コト消費」に移行しつつあります。その理由のひとつが、ネット通販の増加によるもの。ネット購入は、店頭購入とは違い、日本でしか買えない商品も離れた場所にいながらボタンひとつで簡単に手に入れられます。

インバウンドで言えば、モノ消費の欲求は、越境ECなどのネット購入で十分に満たせる、または以前のように円安の状況ではないことから別段訪日旅行中の買い物がお得ではなくなったため、旅行でのモノ消費が減ったのだと考えられます。

コト消費は7種類に分類できる

では、コト消費とはどのような分類ができるのでしょうか?コピーライターの川上徹也 氏が提唱するコト消費の7つの分類から、インバウンドに当てはめて考えてみます。

1. 純粋体験型コト消費

「純粋体験コト消費」は、リゾートホテル温泉旅館といった宿泊や、スキーやスノーボードなどのアクティビティなど、そこでしか味わえない特別な体験を提供すること。近年は、アニメのロケ地をまわる「聖地巡礼」やお寺や神社に泊まって修行体験をする「坊宿」が人気を集めています。

2. イベント型コト消費

デパートやショッピングモール(商業施設)にて、バレンタインやクリスマスなど季節限定のイベントをおこない、訪日外国人観光客の集客、モノ消費につなげることを「イベント型コト消費」と言います。

3.アトラクション施設型コト消費

2. に関連し、主にショッピングモールなどの商業施設などに、何らかのアトラクション施設を作ることで、集客するという手法のコト消費を意味します。インバウンドでは日本文化体験などのアトラクションなどが考えられるでしょう。

4. 時間滞在型コト消費

「時間滞在型コト消費」は、商業施設に長時間滞在してもらうことで、「モノを買ってもらう」ことを狙ったコト消費です。本屋とカフェが一体型になった蔦屋書店は、代表的な時間滞在型コト消費のひとつです。本屋と居心地の良い空間を作り出し長時間の滞在をしてもらうことで、モノへの購入につなげます。

5. コミュニティ型コト消費

例えば、アウトドアブランドのショップで、登山好きを集めたイベントを開催するなど、施設を中心としたコミュニティを作ることで、モノ消費につなげることです。インバウンドで言えば、例えばアウトドアブランド「スノーピーク」が、ブランドを打ち出したグランピング施設を運営しており、これをインバウンド消費につなげています。

6. ライフスタイル型コト消費

「Apple Store」「IKEA」「無印良品」のように、ライフスタイル全般を顧客に提供することによって、お店やブランドのファンになってもらうことを「ライフスタイル型コト消費」と言います。インバウンドでは、無印良品の中国での成功などに見られるように、海外進出している企業を中心に、このライフスタイル型コト消費が見られます。

7. 買い物ワクワク型コト消費

モノを買うこと自体がワクワクするような仕掛けや店舗設計をすることで、買いたい気持ちにさせるというコト消費を意味します。これは日本人向けでもインバウンド向けでも「ドン・キホーテ」の成功事例がわかりやすいでしょう。

「買い物」より「体験」に価値を見出す観光客が増えている

2015〜2016年頃にブームとなり、流行語大賞にもなった訪日中国人による「爆買い」。日本にもたらした経済効果は約1125億円にものぼると言われています。観光庁訪日外国人消費動向調査によると、2017年の訪日外国人観光客における旅行消費額は4兆4,162億円になりました。その内訳は、買い物代(お土産)がもっとも多い1億6,398億円と、全体の約40%を占めています。

訪日リピーターは地方を好む?

高品質で安全性の高い日本製の商品を買い尽くしてしまった人が、「日本ならではの文化に触れる」という価値を求めていると考えられます。

というのも、観光庁がおこなった「訪日外国人消費動向調査」によると、2017に日本を訪れた訪日外国人観光客のうち、初めて日本に来るという人は38.6%という結果がでています。つまり、2回以上来ているリピーターは61.4%にのぼります。このうち、10回以上訪れていると答えた人が13.1%にもとなっており、ヘビーリピーターは少なくない数値であることがわかります。

そのため、初訪日〜数回目の訪日旅行であらかた買い物を楽しんだ訪日外国人観光客が、家電、生活雑貨といった「モノ」ではなく、サイクリングや農業体験温泉巡り、着物体験などの「コト」を楽しむようになっていると考えられます。

コト消費の導入・成功事例を紹介

では、インバウンドモノ消費からコト消費へ変化している昨今、インバウンド市場はどういった施策をとるべきなのでしょうか?いくつか事例を見てみましょう。

GALA湯沢スキー場

新潟県越後湯沢にある「GALA湯沢スキー場」は、最寄り駅である「ガーラ湯沢駅」のスノーリゾートです。スキー初心者向けのスキーレッスンも充実しています。英語のほか中国語対応が可能なインストラクターが配置されているため、「言葉が通じなかったらどうしよう」というコミュニケーションの心配もなく安心です。

また、ゲレンデ内には「ガーラの湯」も完備されています。1日滑って疲れたあとに、ゆったりと温泉に浸かってのんびりする時間も、スキー旅行を楽しむ醍醐味です。

着物体験

代表的なコト消費が、日本の伝統的な着物に身を包んで古い日本の町並みを散策すること。スキー場が密集している新潟県越後湯沢エリアにある温泉街は、古き良き日本の風情が漂う雰囲気が特報です。

また、夕涼みがてら浴衣を着てのんびり歩いたり、定番観光スポット浅草周辺を着物を着て人力車でまわったり、そこでしか味わえない体験に価値を感じる訪日外国人観光客は多くいます。

酒造見学

日本酒の酒造見学も、日本ならではの体験です。日本が世界に誇る日本酒は、訪日外国人観光客にとって魅力的な観光資源のひとつ。酒造見学だけでなく、新潟県の越後湯沢駅構内にある「越後のお酒ミュージアム ぽんしゅ館 越後湯沢店」は、連日多くの訪日外国人観光客で賑わっています。「越後のお酒ミュージアム ぽんしゅ館 越後湯沢店」では、新潟県の特産品であるお米で作った日本酒を、ワンコイン500円で飲み比べできるんです。

しまなみ街道

広島県尾道市愛媛県今治市を結ぶ「しまなみ海道サイクリング」は、日本で唯一の海峡を横断する自転車道。「しまなみ海道サイクリング」では、サイクリングを楽しむ訪日外国人観光客で賑わっています。目の前にそびえ立つ壮大な山々と道の横に広がる果てしない海を横目に、非日常を味わいながらサイクリングを楽しめます。

日本ならではの価値提供でリピート率アップ

インバウンドの需要が「モノ消費」から「コト消費」の変わった理由と今後の対策について見てみました。モノ消費からコト消費へ移行した大きな要因としては、ネット通販の普及による、世界的な消費のコト消費化と、訪日外国人リピーター化があります。

モノ消費をあらかた楽しんだ訪日リピーターは、よりディープな観光をもとめて、地方を訪れる方が増加することでしょう。地元ならではの新しい価値や体験を提供できれば、地方活性化や集客率アップにもつながります。

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【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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