「言われたら対応する」はもう通用しない!? | 急成長をとげるムスリム・ベジタリアン市場の可能性と食の対応方法について

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

ムスリム(=イスラーム教徒)は世界で16億人、ベジタリアンは9億人いると言われています。世界の人口を70億人と計算すると、35.7%、つまり4割弱がムスリムベジタリアンで構成されているのです。


【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】

カンファレンスについて詳しく見てみる

たった5年で4倍に増えたムスリム系の国の外国人観光客

インバウンド市場においても、マレーシアインドネシアの観光ビザ緩和の影響を受け、訪日ムスリム観光客は右肩上がりで増え続けています。2017年はマレーシア約44万人(国籍別訪日数9位)、インドネシア約35万人(同12位)となっており、ここ5年で人数は約4倍に膨れ上がっており、街中でヒジャヴを被った外国人女性を見かけることも多くなっているのではないでしょうか?


▲グラフ① マレーシア・インドネシアの訪日数推移
▲グラフ① マレーシア・インドネシアの訪日数推移

 したがって、2020年4,000万人の訪日外国人を目指す日本において、各業界のインバウンド担当は、このムスリム市場にいち早く対応をしてプロモーションを行なっていくことが非常に重要となってくると考えます。

じつは台湾人の13%がベジタリアン!? ラグビーW杯で対応が迫られる

一方のベジタリアンですが、同じく可能性を秘めた市場として注目を集めています。ベジタリアンと聞くと欧米のイメージが先行しがちですが、実はすぐ近くの台湾では、国民の13%がベジタリアンと言われています。

ご存知の通り、台湾は親日家が多く、年間に約500万人弱(2017年)が訪日しています。よって単純計算でも、台湾ベジタリアンは約60万人の市場規模。団体ツアーには数名ベジタリアンが混ざっていることもしばしばあります。

また、今年はラグビーワールドカップが9月より45日間に渡り日本全国12会場で開催されますが、実はラグビー参加国の多くはベジタリアンを抱える国なっています。

▲ラグビー強豪国にはベジタリアンが多い
▲ラグビー強豪国にはベジタリアンが多い
▲ラグビーW杯参加国のベジタリアン率と開催地
▲ラグビーW杯参加国のベジタリアン率と開催地
 

 参考:ラグビーワールドカップ会場一覧

これらの国の方々が9月に試合観戦をしに日本に訪れます。

当然飲食を伴うのですが、ベジタリアンを対応している店舗はまだまだ少なく、実は多くのベジタリアンも日本で食事をすることに苦労をしています。ラグビーの試合は間隔もそれぞれ1週間ほど空くので、しっかりと対応すれば滞在における消費も確実に狙えるところとなります。

当然「言われたら対応しますよ」というお店もいらっしゃるとは思いますが、彼らは間違いなく「対応しているお店」もしくは「情報としてしっかりと発信しているお店」を探します。

※ただし前回のコラムをご覧頂きたいのですが、「ベジタリアン料理」は要注意です。

フードダイバーシティ対応の新常識:「ハラール料理」や「ベジタリアン料理」なんて実は存在しない!?

昨今インバウンドが増える中で確実に問題となる食事。ハラール、ベジタリアン、コーシャ、グルテンフリーなど様々な言葉が現場では飛び交っています。食に禁忌を持たない日本人においてはなかなかピンとこないかもしれませんが、例えばイスラム教徒で世界16億人、ベジタリアンで世界9億人の市場があり、インバウンドの数自体は順調に推移しているものの、観光消費額を考えると今後これらの対応がとても重要になってきます。食の対応で成功するか失敗するかは二極化が進んでいます。成功するお店はとことん突き抜けた実績を出し、...


またベジタリアンと一口に言っても

  • 「乳製品を食べる方/食べない方」
  • 「卵を食べる方/食べない方」
  • 「五葷を食べる方/食べない方」 *五葷:ネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、アサツキ

など一括りにすることはできません。

もちろんムスリムベジタリアンだけでなく、世界には多くの食に関するルールが存在しています。

どうやって食のインバウンド対応をしていくべきか

まずはこちらの全体図をご覧ください。

このようにそれぞれ食事ができない理由をしっかりと整理することが重要になります。

▲資料③ 食のマトリクス
▲資料③ 食のマトリクス

次にこちらの図をご覧ください。

▲ベジタリアンをベースに考える食のインバウンド対応フレームワーク
▲ベジタリアンをベースに考える食のインバウンド対応フレームワーク

 

このように整理をしてみて、ベジタリアンをベースに考えて頂くことをお勧め致します。ポイントは各対応を別々で考えないことです。

本当に簡単な対応でいくと、下記のようなカタログの中にあるようなエスビー食品さんやニチレイフーズさんのカレーソース(ヴィーガン)等をベースにムスリムが来たらお肉を足したり、ベジタリアンが来たら野菜の素揚げなどを足してあげればすぐにでも対応できます。

▲エスビー食品さんやニチレイフーズさんのカレーソース(ヴィーガン)
▲エスビー食品さんやニチレイフーズさんのカレーソース(ヴィーガン)

沖縄の首里城などで対応されているメニューも、アニマルフリー&アルコールフリーのソースをベースにアレンジされていますが、一般の日本人も普通に食べています。

▲沖縄の首里城などで対応されているメニュー
▲沖縄の首里城などで対応されているメニュー

いずれにせよ、難しく考えるわけではなく、大枠の2つのマトリクスをしっかりと抑えることが重要です。これでベースができると、いろんなお客様が来られた時も柔軟に対応することが可能です。もちろん料理現場だけでなく、お客様と関わる方、セールスの方にも抑えて頂きたい知識になります。

どうやってムスリム・ベジタリアンインバウンドを集客するか

続いて集客については特定のサイトとSNSが重要になります。

食の禁忌を持った方は、それぞれのコミュニティを持っていますので、そのコミュニティSNSを通じて情報を届けることがとても重要です。ここでは特にFacebookInstagramが有効的になってきます。

特定のサイトでいくと下記を是非抑えて頂きたいと思います。ほとんどの方がこちらのサイトを利用してお店を探しています。(自社の宣伝みたいになってますが、、、)

  • ムスリム⇒Halal Media Japan、Halal Gourmet Japan
  • ベジタリアン⇒Happy cow

またその他でGoogleビジネスアカウント、Trip Adviserなど口コミサイトもしっかりと登録し、運用していく必要があります。

まとめ:ムスリムもベジタリアンもOne of them、全体感や背景をしっかりと抑えて包括的に取り組むことが重要

こういうことに気をつけよう1:業界団体に注意

ムスリムであったり、ベジタリアンであったりも日本において各業界団体が存在します。もちろんいろんなアドバイスなども頂けるのですが、各団体によって全く意見は異なるケースが多いです。場合によっては派閥争いなどに巻き込まれるケースもあるのでご注意を。

こういうことに気をつけよう2:「アレルギー」と主張してくるケースもあります

⇒例えば日本において「ハラールを対応してください」と言ってもなかなか伝わらないことが多く、ムスリムは「豚アレルギー」と言ってくるケースがあります。

こういうことに気をつけよう3:「あの人は〇〇だったから、大丈夫」は通用しない

⇒食の対応においては個人差が非常に多くあります。中には異国に来たら多少は羽目を外してしまう方もいるかもしれません。ただし「前来たベジタリアンは魚出汁など気にしなかった」ということで、同じように対応したりするとトラブルが起きる可能性があります。確かに個人差はあれど、お店側はあくまでも然るべき対応が求められます。

こういうことに気をつけよう4:「言われたらやります」は通用しなくなる

⇒そもそも異国の日本で食事の交渉してくる人は稀で、彼らは基本的に声を上げてくることはありません。「要望ベースで対応する」ということも一つのやり方ですが、実際にメニューやポリシーなりをしっかりと準備し、情報を提供しているお店にお客様は安心されますので、今後は通用しなくなる可能性が高いと考えています。

<参考>

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

  • 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
  • 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
  • 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
  • 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける

詳しくはこちらをご覧ください。

宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

フードダイバーシティ株式会社

フードダイバーシティ株式会社

フードダイバーシティ株式会社 代表取締役 守護 彰浩。千葉大学卒。2007年楽天株式会社入社。2014年に日本国内のハラール情報を多言語で世界に発信するポータルサイトHALAL MEDIA JAPANをサービスイン。またハラールにおける国内最大級のトレードショーであるHALAL EXPO JAPANを4年連続で主催し、2万人以上動員。現在ではフードダイバーシティをコンセプトにハラールだけでなく、ベジタリアンヴィーガン、コーシャなどありとあらゆる食の禁忌に対応する講演やコンサルティングを行う。流通経済大学非常勤講師も務める。

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに