【東北インバウンド】震災からの復興疑う声 ついに10%台まで減/今後は交通・アクセスと決済対応に改善ポイントが 〜日本政策投資銀行「2018東北インバウンド意向調査」から見る、東北地方における今後のインバウンド誘客の課題とは?〜

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日本政策投資銀行は、2018年12月に「2018東北インバウンド意向調査(アジア(地域・欧米豪4地域)」の結果を発表しました。2012年からアジア8地域の海外旅行経験者を対象とした「インバウンド意向調査」をインターネット上で実施しており、2016年からは欧米豪4地域を含め、全12地域を対象にしています。

今回の調査より明らかになった訪日客が抱く最新の東北に対するイメージや実際の旅行の感想から、今後の東北地方におけるインバウンド誘客の課題を探っていきましょう。


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東北のインバウンド事情について全11項目で調査

▲2018 東北インバウンド意向調査(アジア8地域・欧米豪4地域)から引用

本調査は、アジア・欧米豪の12地域(韓国・中国・台湾・香港・タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・イギリス・アメリカ・フランス・オーストラリア)を対象に、2018年6月25日〜2018年7月6日まで実施されました。有効回答者数は6,283人で、うち2,833人が訪日経験者です。調査対象者の年齢層は、20〜59歳の男女と幅広く設定されています。

調査項目は以下の11項目です。

  1. 日本旅行の人気度と東北地方のインバウンドの現状
  2. 各都市・観光地への認知度・訪問意欲(アジア8地域・欧米豪4地域)
  3. 東北訪問経験者の傾向
  4. 日本旅行における嗜好・体験したいこと(アジア8地域・欧米豪4地域)
  5. 日本旅行での宿泊に関する質問(訪日希望者・東北訪問経験者)
  6. 地方観光地の強みと地方訪問経験者・地方訪問希望者から見る課題
  7. 訪日にあたる情報収集
  8. 日本のイベント認知度
  9. 日本旅行に対する不安材料
  10. 震災後の日本旅行/被災地への旅行に対する考え方
  11. 被災地での視察・ボランティアを目的としたツアーの認知度と参加意欲

以上の11項目の調査結果より明らかになった東北の認知度や今後の課題について、次項から解説していきます。

海外における東北の認知度と震災への反応

▲2018 東北インバウンド意向調査(アジア8地域・欧米豪4地域):「日本旅行の際に日本に来てから決めたものはありますか」の回答から引用

東北地方の認知度は、アジア8地域では10.5%、欧米豪4地域では2.9%と依然として低い傾向にあることが判明しました。一方で、東北を知っている人のうち、約3割が東北の訪問を希望しており、地域別ではアジア28.5%、欧米豪48%の人が青森県に対する訪問意欲が高いという結果となっています。

東北訪問経験者は訪日経験者全体と比較すると、日本にきてから決めた行程がある人の割合が高いです。特に日本にきてから「観光地」を決めた割合は東北訪問経験者の47%、「宿泊場所」については32.5%と、日本に到着してから旅行プランを選択するケースが多いということが明らかになりました。

東日本大震災について「地震による被害の復旧状況がわからない」といった声は着実に減少してきています。「地震が起こるかどうか心配」といった回答は、アジア各地で発生した地震災害の影響もあってか2年ぶりに上昇しました。

東北訪問経験者が語る、東北のインバウンド誘致の課題とは?

▲2018 東北インバウンド意向調査(アジア8地域・欧米豪4地域):地方別再訪希望率(アジア8地域)の結果から引用

▲2018 東北インバウンド意向調査(アジア8地域・欧米豪4地域):地方別再訪希望率(欧米豪4地域)の結果から引用

東北訪問経験者による東北の再訪希望率は、アジア8地域で61.6%欧米豪では64.7%で、前回調査と比較するとアジアの再訪希望率が上がってきている一方で、他地域と比較すると依然として低い状況です。

東北訪問経験者の「訪日旅行の際に満足したもの」を見てみると、「伝統工芸品」に関する項目が他地域訪問経験者よりも満足と回答した割合が高くなりました。

一方で「バス・タクシーの利便性」や「交通機関や街中での案内表示」などのアクセス面や「免税制度の使いやすさ」「電子決済の利用のしやすさ」「自国金融機関のキャッシュカードの利用しやすさ」といった決済に関する面で、満足と回答する割合が低い傾向にあります。

まとめ:東北の認知度向上とインフラの整備が今後の課題

2018 東北インバウンド意向調査(アジア8地域・欧米豪4地域)の結果を受け、今後求められる対策の詳細を以下の4つにまとめます。

  1. 東北の認知度向上と訪日客誘致促進のためには、地名としての認知度だけでなく、日本に来たらぜひ訪問したくなるような観光地として、東北各地の魅力を発信することが期待されます。
  2. 東北を訪れる訪日外国人観光客の中で、日本に到着してから旅行プランを選択するケースが多い傾向にあります。要因の1つとして挙げられるのは、東北訪問経験者は訪日旅行のリピーターで旅慣れた人が多いという点です。リピーターを東北へ誘致する手段の1つとして、空港や駅などで得られる観光情報を充実させることが効果的と言えます。今後は、さらなる着地型観光の充実や情報発信の強化が求められます。
  3. 地震などの災害時における対応策と認知の強化も、より多くの訪日客に安心して東北を訪問してもらうための必須項目です。これまでの震災の経験をふまえ、自国大使館や家族との連絡・連絡手段の案内や提供、人による英語・多言語による避難誘導などの対策の整備を進める必要があるでしょう。
  4. アクセス面や支払い面の利便性向上は、東北を訪れる訪日客のリピーター増加を目指す上で大きな課題の1つと言えるでしょう。現在は青森銀行が「origamipay」「ALIPAY」といった電子決済システムの普及に向けた取り組みを本格化させており、今後も多方面で対応強化が進むことが期待されます。

以上の4点で言及したとおり、東北のインバウンド誘客促進において、東北の認知度向上とインフラ整備が、今後重要になってくると言えるでしょう。



<参考>


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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