2019年3月に、観光庁が実施した平成30年の宿泊旅行統計調査の結果が発表されました。東北運輸局管内に該当する青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県および福島県の集計結果によると、東北の外国人延べ宿泊者数は120万人を突破し過去最高を更新しただけでなく、全国トップの伸び率となりました。調査結果とその背景をふまえ、東北地方におけるインバウンド誘客の最新事情を見ていきましょう。
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東北運輸局管内の外国人宿泊者数は順調に増加
平成30年1年間の東北運輸局管内の外国人延べ宿泊者数は、1,214,390人泊を記録し、前年より26%増加しました。東北大震災をきっかけに大幅に落ち込みましたが、震災前の平成22年と比較しても140%増となっており、着実に訪日外国人観光客の誘客と宿泊者数増加が進んでいることがわかります。
近年ではスノーリゾートだけでなく、桜の名所が多い地域としての認知も拡大していることから、桜シーズンの誘客にも成功しているのが特徴的です。福島県では、花見山公園や三春滝桜などの桜の名所が、アジア人観光客を中心に話題となっています。
市場別外国人宿泊者数はアジア圏の伸びが好調
平成30年の市場別の外国人宿泊者数は、台湾が群を抜いており、中国と韓国が続く結果となりました。台湾市場においては、岩手県の玄関口「いわて花巻空港」に、2017年から新たに台湾との国際定期便が就航されたことが、効果的だったと言えるでしょう。伸び率では香港・台湾・タイが好調で、前年と比較するとそれぞれ30%増・28%増・41%増と、大幅に増加していることがわかります。福島県の会津若松駅と新潟県の小出駅間を運行するJR只見線が「世界で最もロマンチックな鉄道」として、SNSを通じ話題になるなど、アジア諸国からの東北の注目度の高まりが伺えます。
各県別外国人宿泊者数は岩手県と宮城県の伸びが顕著に
平成30年の県別の外国人宿泊者数の伸びは、岩手県と宮城県で好調となりました。前年と比較し、岩手県が28%増の234,750人泊、宮城県が37%増の344,420人泊という結果になっています。岩手県では、スノーリゾートがアジア圏からの訪日外国人観光客を中心に話題となっていることも、伸び率増加の要因と言えるでしょう。いわて花巻空港からアクセスの良い安比高原スキー場では多言語対応にも取り組み、インバウンドの受け入れ体制整備が進んでいます。
宮城県は、2016年から仙台空港でLCCの誘致を強化しており、仙台〜台北線の就航による利便性の向上が、伸び率増加に効果を発揮したと言えるでしょう。東北で初めて空港にムスリム観光客向けの礼拝堂を設置するなど、アジア圏からの訪日客の受け入れ体制整備に力を入れている効果の表れが伺えます。
まとめ:東北地方へのさらなるインバウンド誘客に期待
東北地方におけるインバウンドの宿泊者数は、震災後の順調な伸び率はもちろん、震災前と比べても過去最高を記録しました。各自治体における地道な情報発信やPR活動、受け入れ態勢の整備が宿泊者数の増加に効果を発揮したと言えるでしょう。2019年は、岩手県釜石市がラグビーワールドカップの開催地となることもあり、さらなるインバウンド誘客の促進が期待されます。
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<参考>
・国土交通省東北運輸局:平成30年の東北の外国人延べ宿泊者数は過去最高の1,214,390人泊となった。
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