インバウンドとはなにか?言葉の意味と観光対策を紹介
「インバウンド」という言葉は産業ごとに意味が異なりますが、観光用語のインバウンドは、外国人が訪れる旅行を意味しています。
インバウンドという言葉に注目が集まる理由には、年々訪日外国人観光客が増加しているという背景があります。2018年には3,119万人の外国人が日本を訪れました。
そこでこの記事では、「インバウンド」という言葉の意味や「アウトバウンド」との違い、また今後増加する訪日外国人を受け入れるあたり、必要なインバウンド対策について紹介します。
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インバウンドとは?
インバウンドとはどういう意味でしょうか。実は使われている産業によって意味が異なります。ここでは原義に注目するとともに、それぞれの産業での意味を解説します。
もともと「インバウンド(inbound)」とは「本国行きの」
英語辞典のWeblioでの「inbound」の検索結果は以下のようになります。
▶︎inbound(形容詞)
- 本国行きの、帰航の
- <交通機関など>市内に向かう
反対語は「outbound」
インバウンドには「本国行きの」という意味があります。日本国内で使われているのであれば、海外から人やものが「本国(日本)に向けて」やって来ることになります。
インバウンドは様々な業界で使われる
「本国行きの」という意味のインバウンドですが、実はあなたがどの業界に属しているかによって、言葉の持つ意味が異なります。ここでは観光業界とIT業界での使われ方を説明します。
以前は「インバウンドマーケティング」という使い方だった
元々「インバウンド」とは、訪日外国人観光客の意味でのインバウンドが使われ始めるまでは、マーケティングの用語でした。インバウンドマーケティングとは、ブログや動画、SNSなどを駆使して見込客に自社のコンテンツを見つけてもらい、自然に自社のサービスに興味を持ってもらうように仕掛けることです。業界の中で「訪日外国人全般」を指す「インバウンド」が使われるようになったのは、ここ数年(2000年代以降)だと考えられます。
観光業界での「インバウンド」
訪日外国人観光客の誘致がビジネスとして注目を集めるにつれて、「インバウンド」の使われ方が変化していきます。もともとの意味から転じ、日本から見たときに外から入ってくる旅行、つまり訪日外国人旅行全般の意味としての「インバウンド」が普及しました。
オンライン辞書「コトバンク」の解説によると、インバウンドとは「インバウンドツーリズム」の略で、「外国人の訪日旅行」また訪日観光客の意味があります。
代表的なインバウンドの関連用語には、下記のものがあります。
- インバウンド消費 - 訪日外国人観光客による日本国内での消費活動。
- インバウンド需要 - 訪日外国人観光客による旅行需要。
- インバウンド市場 - 訪日外国人観光客によるインバウンド消費によって形成されるビジネス市場。
- インバウンド対策 - 前述の「インバウンド消費」や「インバウンド需要」を促したり、取り込んだりするために政府や企業がする施策全般。
- インバウンド対応 - 前述の「インバウンド対策」とほぼ同義。
IT業界での「インバウンド」
観光業界の外では、「インバウンド」は全く違う使われ方をします。
- インバウンド通信
- インバウンドトラフィック
- インバウンドデータ
などの使われ方をします。ここでの「インバウンド」もすべて「外から中」という原義に沿っており、外部から受信をする類のものすべてが「インバウンド」です。
業界共通での「インバウンド」
観光業でもIT分野でも、共通の使われ方をする「インバウンド」があります。
それは「電話の問い合わせ」です。「外から中へ」という原義から転じて、「電話が外からかかってくる」という使われ方があります。
アウトバウンドとの違いは?
「アウトバウンド」と「インバウンド」は対義語です。もともとの意味は「内から外へ」モノが移動する様子を指しました。
観光業界では「自国から他国への出国」という意味があります。日本人観光客が長期休暇でハワイに行くこと、パッケージツアーでヨーロッパ7日間の旅に行くこと、これらすべてが「アウトバウンド」となります。
インバウンド観光が注目される理由
外国人の訪日旅行が増えるにつれて、インバウンドという言葉の新たな使われ方が出てきたということを見てきました。ここでは、なぜインバウンドが盛り上がりを見せているのかをグラフとともに説明します。
2018年の訪日外国人数は3,000万人を突破
(JNTO:日本の観光統計データ 訪日外客数の推移より訪日ラボ編集)
上のグラフからもわかるように、訪日外国人旅行者は年々増加しています。2009年は678万人でしたが、10年後の2018年はその4.6倍となる3119万人です。2018年は、日本政府観光局が統計を取り始めて以来過去最高となる、3000万人を突破しました。2020年には東京オリンピックも控えており、日本のインバウンドの盛り上がりはこれから更に高くなります。
2019年のインバウンド動向は?
オリンピックの前年となる今年のインバウンドの状況はどうでしょうか?2019年1月の訪日外国人旅行者数は、2018年1月と比べて7.5%増加の約269万人でした。そのため今後も、訪日外国人数は増えていくといえるでしょう。
どんなインバウンド対策がある?
訪日外国人を受け入れるにあたり、どのようなことができるのでしょうか。ここでは4つの対策を紹介します。
1. Webサイトの多言語化
もっとも一般的な対策として、言葉の対応です。今や多くの看板やパンフレットで英語表記が追加されています。レストランのメニューも英語や他の言語に対応することで、旅行者の消費を促進します。多くの企業や店舗ではすでに英語対応が進んでおり、中国語・韓国語もこれからどんどん増えていくでしょう。
2. メニューの多言語化・写真掲載
日本の飲食店で多いのが、メニューに料理名だけあって写真が掲載されていないことです。多言語対応はハードルが高くても、料理の写真があれば、海外の観光客はどんな料理が来るのかがわかりますし、お目当の日本食かを判断することができます。
3. Wi-Fi環境の整備
Wi-Fi環境に関しては、日本は海外に後れを取っているといわざるをえません。日本では街中でフリーWi-Fiを使える場所は限られています。今や旅行中の情報収集にスマホは欠かせません。Wi-Fi整備を進めることで、外国人旅行者の満足度が上がり、リピーターへと繋がるでしょう。
また訪日外国人旅行者にとって有益なだけでなく、Wi-Fi環境があるということをアピールすれば、集客に繋げられる可能性もあります。
4. ハラル対応
ハラルとはイスラム教徒が食べて良いとされる食品で、ハラルフードとも呼ばれます。日本ではまだまだハラルフードへの理解が進んでいないのが実情です。豚や酒は飲まないほか、ほかの肉でも決められた調理方法でないと食べられないなど、細かく決められています。
イスラム教国からの訪日外国人旅行者のためにも、ハラル表示をするのは有効な手段です。もしハラル対応であれば、先ほどのWi-Fi同様、イスラム圏の方にとって強いアピールポイントになります。
インバウンド観光はこれからも盛り上がる
世界規模で見ても、旅行者数は増えています。年々多くの人が世界を移動しているのです。日本のインバウンド市場も例外なく、好況の波にあります。2019年ラグビーW杯、2020年東京オリンピック、そして2025年には大阪万博が控えています。
インバウンドはこれからも盛り上がることは間違いありません。だからこそインバウンドについての理解を深め、Wi-Fiやハラルなど、訪日外国人旅行客が快適に旅行できるように整備することが、日本の観光業界の発展に繋がっていくのではないでしょうか。
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