スマートフォンの普及にともない、様々なことがスマートフォンで行えるようになりました。タクシーの配車もその一つで、アプリを通じた配車サービスが提供されています。
特に2017年頃から、IT業界からこの分野に参入する企業が増えました。これには、ライドシェアと呼ばれる一般の運転者による相乗りサービスの提供が、日本の従来の法規制により展開が難しいことが濃厚になり、各社がタクシー配車のためのアプリケーション開発に振り切ったという事情があります。
それまでIT関連の各社は、規制緩和によるライドシェアへの参入を視野に入れていました。ところが上述の事情から実現の可能性が低いと判断し、一斉にタクシー会社との連携を始めます。こうして、IT各社がタクシー会社各社と提携し、続々と配車アプリの提供が始まりました。
この記事では、日本で現在展開している主要なタクシー配車アプリについて説明します。また、現在は居住者向けのものが多くなっていますが、今後はこうしたアプリを利用してタクシーに乗車する訪日観光客も増えていくことが予想されます。後半ではアプリやタクシーをアクセスポイントとしたインバウンド集客の可能性も考察します。
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タクシー配車アプリとは?
タクシー配車アプリとは、スマートフォンのGPSを活用して、利用者のいる現在地までタクシーを呼ぶことができるサービスです。中には配車予約ができるサービスもあります。アプリはタクシーグループにより提供されるものと、エリア内でいくつかのタクシーグループと提携しているものとあります。
タクシー配車アプリの特徴は、道路でタクシーを待つのとは違い、並ばずにタクシーに乗ることができ、さらにタクシーのグレードが選べる点にあります。
また、電話と比較すると、電話がつながるまでの待ち時間、細かい説明の手間が省ける、通話料がかからないといったメリットがあります。
自分に合ったタクシー配車アプリを選ぶポイントとは?
様々なタクシー配車アプリがあるなかで、自分に合ったアプリを選ぶポイントはどこにあるかというと、
- 利用したい地域に対応しているか
- アプリが使いやすいか
の二つです。
タクシー配車アプリおすすめ7選
続いて現在日本で展開されている主要な配車アプリを紹介します。1. JapanTaxi(旧:全国タクシー)
Japan Taxi(旧:全国タクシー)はダウンロード数700万のタクシー配車アプリです。2019年2月時点で日本交通をはじめ全国で887社(タクシー合計台数:62,280台)のタクシー会社と提携しており、日本全国で利用することができます。また、Japan Taxiは「JapanTaxi Wallet」というネット決済も行っており、アプリに登録したクレジットカードなどの決済方法で手続きが可能です。Apple Pay、Yahoo!ウォレット、d払い等のネット決済も使用可能です。
さらに、「空港定額」という対象空港と対象エリア間の送迎を定額料金で利用できる予約機能があります。荷物が多い際に便利なサービスと言えるでしょう。
日本語・英語に加え、簡体字中国語、繁体字中国語、韓国語にも対応しています。
JapanTaxiをApp Storeからダウンロード
2. Uber(ウーバー)
Uber(ウーバー)はアメリカ発祥の配車アプリです。600を超える都市、500を超える空港で利用可能です。海外では資格をとわず、個人のドライバーが人を乗せる「ライドシェア」(相乗り)が普及しており、海外版のUberではタクシーの配車に加えてライドシェアを利用することもできます。ただし、こうした相乗りは日本では違法となっているため、日本ではタクシー会社の配車だけに限定されています。
同じアプリで、日本だけでなく北アメリカ・ヨーロッパ・アジア・中東などの大都市でも利用可能になっています。同様に、北アメリカ等のアプリも日本でも利用できます。訪日外国人にとっても便利なアプリといえるでしょう。
現金、クレジットカード、Apple Payなど、様々な支払い方法がありますが、その中のの一つであるUber Cash(ウーバーキャッシュ)はチャージ金額に応じて最大5%の割引ができ、事前に支払うことで乗車後の会計の手間が省けます。
3. フルクル
フルクルは国際自動車株式会社が提供しているアプリです。スマートフォンを振るだけで周辺500mにいる空車のタクシーに乗車の意思を伝えることができます。アプリのインストール後にユーザー登録の必要がなく、すぐ使えることも他のサービスとは違う特徴の一つです。
タクシーを待つ人とタクシーのマッチングアプリであり、予約は不可ですが迎車料金は不要となります。また依頼したタクシーを待っている間に、先に他のタクシーが来れば依頼を取消すこともできます。
小道や夜道などのわかりにくい場所にいてもタクシードライバーに気づいてもらうことができます。
サービス提供エリアは東京23区、三鷹市、武蔵野市です。
4. MOV(モブ・旧:タクベル)
MOVはスマホゲームなどのモバイルサービスを提供するDeNA(ディー・エヌ・エー)が運営しているタクシー配車アプリです。もともとは神奈川県のみに対応していましたが、2018年12月に「タクベル」から「MOV」に名称を変更すると同時にエリアを東京23区まで広げました。今後は大阪でも展開予定で、2019年現在80以上のタクシー会社と提携しています。
迎えに来るまでの時間がアプリ上で表示されます。平均4分28秒で車両が迎えに来ます。
利用料金の支払いには現金もクレジットも必要なく、すべての車両において、アプリで自動的に決済されます。このため、目的地に着いたらすぐに降車することができます。 何かあった時はメッセージ機能を使い、直接運転手と連絡を取ることも可能です。
アプリの新規ダウンロードで特典として500円OFFクーポンがプレゼントされるキャンペーンも展開しています。
MOVをApp Storeからダウンロード
5. らくらくタクシー
らくらくタクシーは株式会社トランが提供するタクシー配車アプリです。出発地と目的地と利用日時を設定すれば、タクシー料金が計算され、その料金で予約と利用ができます。予約は半年前から可能となっています。
空港送迎タクシープランや沖縄観光フリープラン、函館観光プランなどタクシーを貸し切るプランが多数あり、空港送迎タクシープランはジャンボタイプやハイグレードタイプなど複数の車種の中から選択できるため家族連れや富裕層の訪日外国人にも対応できることも特徴の一つです。
日本全国のタクシー会社と連携しており、約1万3千台のタクシーが登録されています。
6. MKタクシー
MKタクシーはエムケイ株式会社が運営しているタクシー配車アプリです。MKタクシーの配車可能地域は札幌、名古屋、京都、滋賀、大阪、兵庫、福岡で、英語や中国語の社内教育を行っています。また、台湾のタクシー会社と連携し、両国での認知度向上につとめていることも特徴です。
会員登録が不要で、ダウンロードしたアプリをそのまま使えます。
専用乗り場からの乗車が必要ですが、一度に2~3台の利用を依頼することもできるだけでなく、迎車料金が不要です。
車両台数はタクシー730両、ハイヤー124両です。(2018年10月現在)
空港送迎や観光貸切タクシーというサービスも行っており、移動だけでなく観光コース作りからガイドまでプロデュースしてくれます。3年連続でトリップアドバイザーのエクセレンス認証を取得するなどの高評価を得ています。
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インバウンド業界では、二次交通手段としてタクシーが注目されています。しかしながら、費用が高いため訪日外国人のタクシー利用は6割にとどまっているというデータもあります。一方、費用がかかっても、快適な移動手段を希望する訪日外国人もいます。そのような需要に応えようと英語ドライバーを育成するなどの取り組みをしている「MKタクシー」で知られ、京都に本社を構えるエムケイ株式会社(以下、MKタクシー)にお話を伺いました。インバウンド受け入れ環境整備の資料を無料でダウンロードする「翻訳・多言語化」の資料を...
7. タクシーチャンピオン
タクシーチャンピオンはモバイル・コマース・ソリューション株式会社が提供しているタクシー配車アプリです。日本全国でサービスを提供しています。
このアプリではGPS機能を利用し、最寄りのタクシー会社をリストアップします。最寄りのタクシー会社を検索した後は、アプリ中央のボタンを押すだけでタクシー会社に電話がつながります。
難しい操作が不要であるため、体の不自由な方やお年寄りにも多く利用されています。また、スマートフォンだけでなくガラケー(フィーチャーフォン)にも対応しています。
アプリでタクシーを呼ぶたびにポイントが貯まります。このたまったポイントは、他のポイントサービスやマイルと交換できるため、ポイントサービスを活用している人にメリットの多いサービスです。
タクシーチャンピオンをGoogle Playからダウンロード
8.DiDi(ディディ)
DiDi(ディディ)は中国の配車サービス最大手である「滴滴出行」により提供されているタクシー配車アプリです。2017年、ソフトバンクグループは滴滴出行に約50億ドル(約5,650億円)を出資し、日本では2018年6月末に合弁会社であるDiDiモビリティジャパン株式会社を設立しました。
同年9月に第一交通との提携を開始し、大阪でサービスの提供が始まりました。今年2019年4月に東京(23区内と武蔵野市、三鷹市、成田空港)と京都でも提供開始したことが発表されています。引き続き、2019年度中に北海道、兵庫、福岡など10都市でもサービスを始める予定です。
中国の滴滴出行アプリから利用できるため、訪日中国人が自国と同じ感覚で日本のタクシーを呼び出せます。訪日中国人による利用拡大が期待されています。
DiDi(ディディ)をGoogle Playからダウンロード
配車アプリの特徴は各社様々、インバウンド対応も加速
日本で展開している配車アプリは複数あり、対応地域や支払い方法など、提供しているサービスも様々です。ユーザーの状況や利用目的により、最も使い勝手が良いサービスが見えてくるでしょう。
例えば通話が不要なサービスは、訪日観光客にとっても敷居が低いと言えます。荷物の多い時や小さい子供を連れての移動など、公共交通機関よりもタクシーを利用したい訪日観光客も少なくありません。こうした需要に応えるべく、タクシー配車アプリのインバウンド対応も加速しています。特に、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本のタクシー環境をよりよいものとするため、今後も配車アプリやサービスの改善が続くでしょう。
その中で、集客のためのプロモーションなどに活かすことも可能となってくるはずです。アプリ内の広告や、フリーペーパーの設置、また車内にQRコード付の広告を掲示するといった方法が広まっていくでしょう。訪日観光客の動線を踏まえた配車アプリの今後の動向には、インバウンド業界からも注目が集まりそうです。
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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
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