見過ごせないその経済損失!2.7億円の予算も、インバウンド市場のバリアフリー化を急ぐ

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英語サイト「Accessible Japan」では、バリアフリーを含む日本の観光情報を発信し、障害のある訪日客がより快適に旅行を楽しめるようなサポートや情報提供を行っています。

2020年東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに、訪日客の急増が見込まれる中、インバウンドのバリアフリー対応強化も非常に重要なポイントです。

電動車いすで生活している、同サイト運営者のグルズデイル氏が自ら足を運び調査した、日本のバリアフリーの現状と課題について見ていきましょう。


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訪日客に予約困難なバリアフリーのホテル

「Accessible Japan」では4月8日現在、東京都内でバリアフリーの客室を設けているホテルを67ヶ所掲載しています。

グルデイル氏は都内のホテルの問題点として、バリアフリーの部屋を複数持つホテルがわずかしかないことを指摘しています。

最も多いのが新宿の京王プラザホテルで13室となっており、三井ガーデンホテルは6室完備が2ヶ所、3室完備が1ヶ所で、あとは1室ずつしか用意がないホテルが多いとのことでした。

もう1つの問題点は、訪日外国人観光客がバリアフリーの客室を探すこと自体が困難ということです。多くのホテルのホームページにおいて、バリアフリーの客室の情報は日本語のみの記載となっているだけでなく、メールアドレスの掲載がないため自身で確認するのは困難となっています。

さらにアメリカではスイートルームなどあらゆるグレードでバリアフリーの客室を提供している一方で、日本のホテルではスタンダードグレードの客室のみの場合がほとんどです。グルズデイル氏は、日本のホテル関係者が「障害のある人=お金を持っていない」といった思い込みをしているのではと指摘しています。

実際は、5つ星ホテルのバリアフリーの客室を数週間に渡り利用する人もいたとのことから、あらゆるグレードにおいてバリアフリー対応の客室を増やし、より多くの需要に対応すべきと言えるでしょう。

デービッド・アトキンソンとは

2017年6月より、日本政府観光局の特別顧問に就任したデービッド・アトキンソン氏は、イギリス出身、日本在住の経営者です。著書『新・観光立国論』が複数の賞を受賞し、その発言にインバウンド業界の注目が集まるようになりました。もともとは金融アナリストですが、大学では日本学を専攻しています。2009年には、文化財などの修理、施工を行う小西美術工藝社に入社し、2年後社長に就任しています。デービッド・アトキンソン氏の提言を受け改善に励んだ観光関連産業も少なくありません。こうした取り組みにより、昨年の訪...


世界的に高評価、日本の鉄道におけるバリアフリーの課題とは

グルズデイル氏は、東京の電車や地下鉄のバリアフリーは世界的に見ても進んでいると評価しています。駅員がホームでスロープを出すことで乗車できるシステムは、海外では見受けられないため、感動する観光客も多いとのことです。

一方で、日本の駅のエレベーターは比較的小さいため、複数の車いすユーザーの移動には時間がかかるといった課題も見受けられます。さらに対応できる駅員の数も限られていることから、東京オリンピック・パラリンピックで多くの車いすユーザーが訪れた際の迅速な対応は極めて困難となるでしょう。

またJRの新幹線を障害のある人が利用する場合、JR東海のみ当日予約も可能ですが、他社では基本的に2日前までに電話で予約する必要があります。

乗車前日や当日は直接窓口に行き、対応する駅員の確保のために待たなければなりません。もし他社の新幹線の乗り継ぎがある場合は、接続の連絡や、数少ない車いす席の確保等で、きっぷが発券されるまで数時間待つこともありえます。車いすユーザーの乗降車の案内と新幹線利用システムには、改善の余地があると言えるでしょう。

東京オリンピック日程いつから?

※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年延期され、開会式は2021年7月23日(金)、閉会式は2021年8月8日(日)となりました。2019年3月、東京オリンピック開催まで500日を切りました。また4月にはパラリンピックまで500日の節目の日となっています。2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会では、史上最多の33競技・339種目が42もの競技会場で開催されます。4月には東京オリンピックの競技日程が発表されました。今月5月9日には競技観...


訪日客に人気の日本料理店には「段差解消」と「スロープ設置」が急務

訪日客に人気の和食体験ですが、バリアフリーの日本料理店は少なく、車いすユーザーが利用しづらいのが現状です。

街中の日本料理店のみならずデパート内の店も含め、入り口に段差があり店内に入れないケースがほとんどとなっています。ラーメン屋も店内が狭いため、車いすで入店できないことも少なくありません。

「Accessible Japan」では、車いすユーザーや視覚・聴覚に障害がある方も利用しやすいレストランを見つける方法を紹介していますが、車いすのグループに対しては、どうしても和食ではなく洋食レストランの案内になってしまうとのことでした。より多くの訪日客に本物の和食を堪能してもらうためにも、スロープの整備は急務と言えます。

【事例アリ】ハラル認証は絶対必要?ハラルフードの実態・注意点・禁止される食材

ムスリムの人たちは宗教上、食べられないものがいくつかあります。その宗教上の決まりに配慮した食材や食事をハラル(ハラール)フードと言います。訪日外国人観光客の増加に伴い、日本でもハラルフード対応のメニューを提供するお店が増えています。先月17日おこなわれた「ハラールフードアワード」の表彰式では、インバウンド部門の最優秀賞に静岡県が選出されました。ハラール対応した飲食店を掲載したサイト「ハラール・ポータル」などが、都道府県単位では先進的と評価されたとのこと。このように、自治体でも対応事例が増加...

ベジタリアンとは

「ベジタリアン」について、どのようなイメージをお持ちでしょうか?いまいちその実態を掴めていない人も少なくないのではないでしょうか。 ベジタリアンの背景には、アレルギーや病気など健康のため、自身の考え方、環境のため、宗教、スピリチュアルなど、理由はさまざまです。 まずは、ベジタリアンについて基本的な定義や、現状の対策など理解を深めること...


インバウンド対策の一環としてバリアフリーへの投資を

日本のバリアフリー対応の現状と課題について、ホテル・電車・食事の3つの観点から見てきました。

2020年をきっかけに今後も車いすユーザーの訪日外国人観光客の増加が見込まれるため、バリアフリーは「将来への投資」として重要であると、グリズデイル氏は述べています。

東京の電車や地下鉄は世界的にみてもバリアフリーが進んでいると評価される面もあるものの、来る東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据えれば、キャパシティーの問題から対応力の強化が急務なのは明らかです。

今年2月に発表された政府の2018年度2次補正予算で、観光庁の「宿泊施設バリアフリー化促進事業」には2億7,000万円の予算が計上されました。これにより上限1,000万円、補助率は2分の1の補助金の交付が開始されます。今後徐々に、これまで日本が取りこぼしてきてしまった車いすユーザーのインバウンド市場も開拓されていくことでしょう。


<参照>


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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