インバウンド市場の中でも香港は、訪日旅行のリピーター率ならびに1泊あたりの消費額がもっとも高く、お得意様が多い市場として今後もさらなるリピーター獲得が期待されています。
オーバーツーリズム問題の解消に取り組む京都市では、リピーター化が進む香港市場に焦点を当て、現在の課題であるリピーター対策と訪日客の分散化について分析しました。
京都市観光協会の分析結果をもとに、オーバーツーリズム対策とインバウンドの地方誘客に効果的な、リピーター獲得方法や分散化までの仕組みについて見ていきましょう。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
インバウンドの香港市場はリピーター率86.1%、伸びる飲食消費
京都市観光協会の分析によると、香港は人口の5人に1人が日本を訪れており、リピーター率も86.1%であることが明らかになりました。
訪日旅行で1泊1人あたりの消費額は24,517円と、全国籍で最も高くなっています。消費項目別に見ると、宿泊料金・飲食費・交通費・娯楽サービス費・買い物代と全てにおいて4位以内に入っており、各業界に満遍なく好影響を与えていると言えるでしょう。
特に前年からの伸びが顕著なのが飲食費です。2017年から2018年は約3割の伸びを記録しています。
観光庁が実施した消費動向調査でも、「次回の訪日でしたいこと」の回答として、香港人の61.1%が「日本食を食べること」を挙げたことから、リピーター獲得において、日本食に関する情報発信と受け入れ態勢整備が1つの鍵となるでしょう。
リピーター率が高いだけでなく、訪日旅行の消費額が1泊あたりでもっとも高いといった好条件の香港は、インバウンド誘客で必見の市場であると言えます。
高いリピーター率を誇る香港人に映る京都の魅力
2017年の京都観光総合調査では、リピーターとして5回目以上京都を訪れている割合として、最も高かったのが香港人でした。
京都では市内中心部に訪日客が集中するオーバーツーリズムが問題となっていますが、リピーター率の高い香港人を中心に、今後は京都府全域に分散化させるといった対策が必要です。
京都市観光協会は、香港人が抱く京都に対する興味関心について、香港メディアで掲載されている京都の情報を元に分析しました。
京都は春の桜と秋の紅葉の時期に訪日客が集中する傾向にあるため、夏の京都の情報発信が、訪日客の分散化に向けた課題の1つとして挙げられます。
Weekend Weekly誌(2016年7月号)では、まさに夏の京都を特集しており、訪日旅行のリピーター層のニーズを早くからキャッチし、情報発信をしていたことが明らかになりました。本誌では23ページにわたり、「人と違った」「夏らしい」といったキーワードで、鴨川の川床・貴船神社の青もみじ、東山のかき氷店など、夏の京都ならではの観光資源を取り上げています。
香港の旅行番組「森美旅行団シーズン2」では、2018年5月末から京都で撮影を行い、京都のリピーターにおすすめのスポットが多く紹介しました。
食への関心が高い香港の番組ということで、飲食店の紹介が多いのが特徴です。食べたいもののためなら、少し足を伸ばしてでも訪れたいといった香港人の特徴も顕著だったことから、分散化を目指す上で「食」は重要なキーワードになると言えます。
京都の知られざる魅力を発信しリピーター獲得&分散化へ
香港メディアで京都を取り上げる際に共通するのは、訪日旅行や京都へのリピーターを対象としてる点です。京都へのリピーター率が高い訪日香港人観光客に焦点を当て、京都市内の中心部以外への分散化を図るためには、香港メディアで取り上げられた観光資源やスポットに注目することが効果的でしょう。
香港でトレンドとなっている旅行スタイルや京都への興味関心を分析し、京都の他のエリアで同様の観光資源を発掘することで、分散化の実現が期待できます。
京都市観光協会では、これまでも海外メディアからの取材に対し、取材先の提案等でメディアとの良好な関係づくりを目指しました。
京都ブランドを全面に打ち出した上で、リピーターを魅了する知られざる京都の魅力のブランディングと情報発信が、リピーター獲得と分散化に向けた今後の課題と言えます。特に香港人の関心が高い「食」の分野における情報発信が効果的と言えるでしょう。
インフルエンサーを活用「ファムトリップ」とは?旅行事業者やメディアも招待・観光地の誘致促進・その集客効果と3つの優位性、事例を紹介
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ターゲット市場のニーズ調査と情報発信がリピーター誘致&分散化の鍵
インバウンドの地方誘客促進を目指す上で、ターゲット市場の旅行トレンドを現地メディア等から分析し、ニーズにあった知られざる観光資源を発掘しブランディングしていくことが重要でしょう。京都のようにオーバーツーリズムが問題となっている人気観光地では、リピーターを周辺地域へ誘致し、訪日客の分散化を図ることが必要です。各市場のニーズをふまえ地域の魅力を発信することで、訪日客の満足度向上、リピーター獲得、分散化といった好循環が生まれるでしょう。
<参考>
・京都市観光協会:香港の旅行メディアにみるオーバーツーリズム対策へのヒント
・観光庁:訪日外国人消費動向調査
・京都市産業観光局:京都観光総合調査
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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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