中国紙・法制日報は、中国で日本への医療ツーリズムが話題となっている一方で、現場では仲介業者の対応などからトラブルも続出していると報じました。
日本政府が2010年に医療滞在ビザの発給を開始して以降、特にがん治療のために日本を訪れる中国人患者が増加しています。
日本における医療ツーリズムが話題となった背景と現状をふまえ、医療ツーリズムの今後の課題について見ていきましょう。
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中国における日本の医療ツーリズム人気が顕著に
日本政府は、訪日中国人観光客の富裕層の誘致を強化するため、2010年に医療滞在ビザの発給を開始しました。
ビザ発給が開始されてから、健康診断やがんの治療に訪れる中国人の増加が顕著です。医療目的で訪日する中国人観光客は31万人にものぼると言われています。
中国紙・法制日報によると、中国では海外の医療施設利用の関心が高まっており、中でも日本は医療ツーリズムの目的地として人気を集めています。「医療ツーリズム」と言われるだけあって、日本では治療だけでなく観光も楽しめることから、富裕層から中産階級まで、より幅広い層から注目されている状況です。
がん治療で訪日する中国人が急増
日本におけるがんを発症してから5年後の生存率は、中国の2倍強ということもあり、特にがん治療で訪れる中国人患者が急増中です。
受け入れ経験や医療資源はアメリカのほうが豊富である一方で、距離の近さや治療費用がアメリカの半分で済むことなどが、治療先として魅力的な要素となっています。
医療レベルへの信用や新薬・新技術への期待や、外国人患者へのサービスの手厚さ、医療滞在ビザに関し患者の家族も繰り返し入国可能といった点も、がん治療で訪れる中国人急増の背景の1つと言えるでしょう。
日本の病院は、仲介業者を通じ患者の状況を把握し受け入れの可否を判断しますが、基本的に手術によって治癒の見込みが高い、初期のがん患者を受け入れる傾向にあります。
通常は日本で検査と手術を一度に終えられる仕組みで、治療費は1回あたり30〜50万元(約480〜800万円前後)ほどです。ビザの申請や病院の予約等は仲介業者を介して行いますが、日本で比較的重度の病気の治療を受ける場合、仲介業者に支払う金額はおよそ14万元(約224万円)からとなっています。
医療ツーリズムの仲介業者の質低下が課題
中国で日本における医療ツーリズムの人気が高まる一方で、中国人を受け入れる日本の医療現場では、さまざまなトラブルが発生しているのが現状です。
日本への医療ツーリズムを斡旋する仲介業者の中には、専門の医療通訳ではなく、日本に留学している学生を雇うケースも少なくありません。いざ現場で患者の病状を通訳するとなっても、医療の専門用語がわからず説明不足となる場合や、薬の用法用量を誤って説明することもあるとのことです。
政府の管理が行き届いておらず基準も不明確なことから、中国で日本の医療のおおげさな虚偽宣伝も発生していると言います。
ツアーを法外な値段で販売する仲介業者や、日本の医療機関に直接支払えるものも、手数料を得るために仲介業者を通すよう案内するといった悪質なケースも横行している状況です。
さまざまなトラブルが発生していることから、仲介業者の質の低下が懸念されています。
医療ツーリズムの管理徹底が急務
中国で日本における医療ツーリズムの需要が拡大している一方で、仲介業者の急増とともに質の低下も顕著となっていることが明らかになりました。
受け入れ態勢や仲介業者に明確な規定が設けられていないなど、政府の管理不足が目立っている状況です。今後は政府によって、仲介業者の質向上に向け、一定のラインを設けるといった管理の徹底が急務と言えるでしょう。
<参考>
・Record China:中国で人気高まる日本への医療ツーリズム、トラブルも続出ー中国紙
・Japanese.CHINA.ORG.CN:「医療ツーリズム」、訪日中国人客が増加中
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