近年、訪日タイ人観光客数は右肩上がりの成長を続けており、2018年にはついに100万人を超えました。そんな訪日タイ人観光客の王道スポットである東京において、特に上野が高い人気を誇っています。この記事では、上野のインバウンド集客成功例に倣い、今後取り組むべきインバウンド対策を考察します。
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タイ人にとって東京滞在の定番スポットは「上野」
国際空港を有する東京は、訪日タイ人観光客の王道観光ルートとして定着しています。魅力的な観光スポットが目白押しの東京で、特にタイ人の注目を支持を集めているのが上野です。上野にはアメ横など定番の観光スポットがある以外にも、タイ人がこぞって利用する特定のホテルや店舗があります。
これらタイ人が多く利用する場所というは、タイ人の潜在的な要求を満たしていることが多く、インバウンド対策を考える上でも非常に参考になります。
宿泊者の9割をタイ人が占める上野のビジネスホテル
タイ人に人気がある観光スポット・上野には、タイ人宿泊客が90%を占めるという「上野NEW伊豆ホテル」があります。このホテルはもともと日本人の出張者向けにオープンしたビジネスホテルであり、インバウンド対策に力を入れて取り組んでいたわけでも、外国人宿泊客確保のための情報発信をしていたわけでもありません。
それでも立地の良さ・安さ・英語対応などが評価され、タイ現地の口コミサイトなどを通じて評判が広まり、ついにはタイ人宿泊客が圧倒的な数を占めるようになりました。この流れを汲んでホテル側もインバウンド対策へ本腰を入れ、積極的なPRを始めています。
タイ人が上野を選ぶ理由
ではなぜタイ人は上野を好んで訪れるのでしょうか。ひとつは成田空港や羽田空港といった国際空港からのアクセスが便利であり、アメ横や秋葉原など上野や周辺の定番観光スポットに近いことが挙げられます。
もう一つは、「上野NEW伊豆ホテル」やディスカウントストアの「多慶屋」といったタイ人に評判のスポットがあるからです。これらのスポットはタイ人の求めるニーズにピッタリとハマり、特に「多慶屋」は早くからタイ人への対応を始めていたため圧倒的な支持を得ています。
急増する訪日タイ人旅行客
上野だけを見ても訪日タイ人観光客の数は増加傾向にありますが、さらに日本全体で見るとその増加率が著しいことが分かります。
観光庁の統計資料によると、タイ人に対するビザ緩和措置が始まった年である2013年は、約45万人が日本を訪れていました。それが2018年になると約113万人にまで伸び、約5年で倍以上のタイ人が日本を訪れていることが分かります。国籍・地域別の訪日外客数では、中国、韓国、台湾、香港、アメリカに次ぐ6番手です。
今年も4月までに51万人のタイ人が日本を訪れています。インバウンド市場における大きな商機であり、タイ人に対する取り組みを積極的に行うことが重要であると言えます。
ターゲットの集客に3つのキーワード「現地情報リサーチ」
インバウンド集客を成功させるには、タイ人に支持される上野のように、なぜ選ばれるのかという理由をまず知る必要があります。
そのためには実際の利用者の声を聞き、評価ポイント・指摘ポイントなどあらゆるニーズを把握することが重要です。できる限りそのニーズに答えて改善することで、安定した集客と信頼を得ることができます。
1 口コミ把握=ニーズ把握に直結
SNS・ブログ・口コミサイトなど個人の情報発信が活発になっている昨今、特に口コミというのはインバウンド対策において重視すべき情報です。
大手サイトの例としては、TripAdvisorやBooking.comなど口コミ・価格比較サイトが観光地・宿泊先選びに活用されています。数々の率直な意見の口コミを見れば、良い点・悪い点が分かり利用者が求めているニーズが分かります。
タイ人の場合で言えば、旅行の情報収集にPantipというタイ国内で絶大な支持を誇る電子掲示板サイトをよく利用しています。「上野NEW伊豆ホテル」はPantip上の口コミで評判が広まり、上手く集客に繋がっている好例の一つです。
このように訪日外国人観光客が自国で利用するサイトにおいて、どんな口コミが掲載されているかを確認するのは有効な手段です。外国語のサイトでも翻訳機能を使用すれば大概の内容は理解できるので、貴重な意見の数々をインバウンド対策に活かすことができます。
2. 人気宿泊スポットは「日本らしさ」と「コミュニケーション」が鍵
TrustYou株式会社という世界最大のクチコミ・プラットフォームを提供する会社が2018年に発表したデータ「外国人に選ばれる!クチコミ高評価の日本の宿 2016-2018」によると、上位に選ばれた宿泊施設の共通の特徴が「日本らしさ」と「コミュニケーション」ということが分かりました。
まず「日本らしさ」とは、和風の建築や客室など日本らしい雰囲気の中で滞在することです。
もう一つの「コミュニケーション」とは、多言語対応も含めてスタッフとのフレンドリーなコミュニケーションが重要視されているということです。
宿泊客が求めるニーズを把握し対応ができれば、良い口コミがまた広がってさらなる集客へと繋がります。
3. 価格設定も重要ポイント
多くの訪日外国人観光客はコストパフォーマンスの良さも重要視しています。
その点で上野の「上野NEW伊豆ホテル」、「多慶屋」、「アメ横」などの人気スポットは、サービスや商品の品質の割に値段が安いという理由で多くのタイ人に選ばれています。実際にPantipでもこれらのスポットに関する投稿が数多く見受けられます。
日本らしいおもてなしの心で、最大限のサービスを提供することによって気に入ってもらえば、口コミによる新規客やリピーターの獲得に繋がります。
インバウンド集客を成功させる、PR活動3つのポイント
タイ人の日本旅行ブームが始まった頃は団体旅行が主流でしたが、現在は個人旅行にシフトしつつあります。そして観光地や宿泊施設を選ぶ時の情報収集も、口コミサイトなどのでの評価・意見が重要視されています。
そのためインバウンド対応に取り組み、積極的な情報発信をしていれば、日本人にとっては知名度が低いスポットであっても関係なく外国人が訪れるようになります。
これからの時代は、大小規模関係なく店舗や宿泊施設など、それぞれが訪日外国人観光客のニーズをリサーチし、それに応じた対応と積極的なPRを展開することが重要となってきます。
1. ターゲットを明確にした情報発信
情報発信をする際に、ターゲットを明確にすることも集客に有効な手段となりえます。例えば、初めて訪日する新規顧客、これから訪日を予定している見込み客、何度も訪日しているリピーターというように分けるだけでも、訴えかけるメッセージが異なります。
もちろん他にも、国籍や年齢層など様々なターゲットの絞り方があります。
それに加えて、訪日外国人観光客が知りたい情報も明示しておくことが重要です。例えば、無料Wi-Fiの有無、決済方法の種類など、日本人客ならさほど気にしない内容でも訪日外国人観光客にとっては重要なポイントというのが多くあります。
公式サイトやSNSなどを通してこのような細かい情報や独自の特徴を、ターゲットに響くように発信していくことが大切です。
2. 多言語対応もマスト
プロモーションを展開するには多言語対応が必須です。インバウンド集客に力を入れるなら英語は最低限必要であり、さらには中国語・韓国語・タイ語まで対応できているとなお良しです。
上野の人気ディスカウントストア「多慶屋」はタイ人観光客が多いことから、公式サイトだけでなく店内の案内チラシや商品ポップまでタイ語対応されています。さらには「みえる通訳」というリアルタイム通訳サービスも導入しており、圧倒的多数を占めるタイ人客への対応が徹底されています。
そのため、一度「多慶屋」を利用した人は安さ・品揃えだけでなく、タイ人観光客への対応の良さも実感し、高評価の口コミを広めています。そしてその口コミを見た別のタイ人が「多慶屋」を訪れるという好循環が生まれています。
このように多言語対応がもたらす恩恵は計り知れないため、多言語対応していることを積極的にPRすることも忘れてはいけません。
3. 現地に出向いてでもPRする攻めの姿勢が重要
タイのバンコクではThai International Travel Fairと呼ばれる国際旅行博が年2回実施されています。タイ国内で最大規模を誇り、旅行代理店・航空会社・小売業者など様々な企業が参加するほか、海外旅行を考えている一般消費者も多数参加する旅行フェアです。
2019年には「上野NEW伊豆ホテル」も参加しており、タイ人誘致のため自ら足を運んで積極的なPRを展開しています。
このように海外現地に出向いてPRすることも、インバウンド集客において有効な手段のひとつです。直接現地の旅行会社や一般消費者へプロモーションができるため、ダイレクトに結果に繋がりやすいのが利点です。
なお観光見本市はタイ以外にも、北京・ソウル・香港・台湾などのアジア圏から欧米圏に至るまで、世界各地で実施されています。
ニーズを的確に把握して効果的なプロモーションを展開しよう
今回例に挙げたタイ人に人気の上野のように、訪日タイ人観光客の間ではアクセスの便利さ・安さ・言語対応などしっかりニーズを満たしているスポットが選ばれているのが分かります。
ニーズを的確に把握し、新たな対応や改善などのインバウンド対策を行い、そしてそれらのニーズ対応も宣伝内容に含めて積極的なプロモーションを展開していくことが重要です。
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