Amazonと中国アリババがインドで衝突!旅行ビジネス再参入の背景に、モバイルペイメント普及率80%超の巨大マーケット

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米インターネット通販大手のAmazonは5月18日、インドにおいて国内フライトの予約サービスを開始することを発表しました。

Amazonのモバイルアプリまたはウェブサイト上で予約が可能で、同社の独自決済サービス「Amazon Pay」で支払う仕組みです。今回は、Amazonの新サービスに着目し、これまでの旅行ビジネスへの取り組みやインドのモバイルペイメント事情について見ていきましょう。


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Amazonフライト予約のメリット「サービスの一元化」「キャッシュバック」

Amazonのインドにおける国内フライト予約サービスは、Amazon Indiaにログインすると、Amazon Payのページに表示されているアイコンから利用できます。

Amazonでのショッピング体験に満足感を示すユーザーから、かねてよりさらに新しいサービスの提供を求める声が高まっていました。今回の新サービスリリースにより、ショッピング、送金、公共料金の支払い、モバイルチャージに加え、インドの国内フライト予約も1つのアプリでできるようになっています。

Amazonでフライト予約を行う際は、Amazonユーザーなら、すでに登録されている個人情報や支払い情報をそのまま利用でき、入力の手間を省くことが可能なのもメリットの1つです。

フライトをキャンセルする場合も、航空会社のキャンセルペナルティのみの支払いとなり、Amazonは追加料金を請求することはありません。

リリース当初に取り扱う航空会社は、Vistara UK、GoAir、SpiceJet、Indigoの4つです。

Amazonからフライト予約をすると、非会員は最大約2,500円(1,600ルピー)、プライム会員は最大約3,140円(2,000ルピー)のキャッシュバックを受けることもできます。インドでは、キャッシュバックはeコマースサイトがユーザー獲得に向けてよく使われる手法となっています。

旅行ビジネス再参入を決めたAmazon

▲Amazonのインド国内フライト予約サービス
▲Amazonのインド国内フライト予約サービス

アマゾンはOTAビジネスへの参入にあたり、インドのスタートアップ「Cleartrip」とパートナーシップを締結するとしています。

元々インターネット通販のイメージが強いAmazonですが、実は過去にも旅行ビジネスに参入していました。

2015年初めにはクーポン共同購入サイトの「Amazon Local」でホテルのリスティングを追加、2015年4月にはホテル予約サイト「Destinations」サービスを開始しています。

提供エリアは35都市に広がるも、2015年10月に突然サービスを停止。年末には競合の「Groupon」に敗れたようなかたちで「Amazon Local」も閉鎖しました。既存のOTAの脅威となることが予想されていた最中で、結果的に理由を公表せずホテル予約事業から撤退した過去があります。

原因としては、米予約サイト大手ExpediaBooking.comが独走する市場に入り込めなかったとの見解が目立ちました。

今回のフライト予約サービス開始は、Amazonの旅行ビジネス再参入として注目が集まっています。

インドでモバイルペイメント事業の競争激化

インドでは現在、モバイルペイメント事業の競争激化が顕著です。インドにおけるモバイルペイメントの普及率は80%を越えているとされ、銀行口座の普及はわずか53%となっています。

インドで台頭するモバイルペイメント企業としては、Alibabaが支援する「Paytm」や「One97」、GMOやSequoiaが支援する「MobiKwik」などが挙げられます。

こうして、Amazonが「Amazon Pay」を利用した新たなサービス展開に至った理由の1つとされているのが、AmazonとAlibabaの競争激化です。

いまやインドはAmazonにとってアメリカ以外で最大の市場の1つです。同社のECサイトとしてのネットワークの広がりを活かし、Amazon Payをインド国内にて流通させることも狙いであると予想されます。

インドのインターネット利用者は6億人超、今後は8億人近くまで増加する可能性があります。

Amazonは、インドでの事業拡大に約5,500億円(50億ドル)を投資しました。当局の規制の強まりもありますが、2018年にはヒンディー語のアプリをリリースし、動画配信サービス「Amazon Prime Video」におけるインドのコンテンツ拡充などに取り組んでいます。

モバイルペイメントの需要高まるインド市場での、Amazonの新たな一手

Amazonのインドにおける国内フライトの予約サービス開始を受け、今後ますますモバイルペイメント事業の競争が激化していくことが予測されます。

現在はフライト予約サービスを提供するのはインド国内のみとしており、他国にサービスを拡大するかについては明言を避けています。ただし、先月Amazonと同じく「GAFA」の一員であるGoogleが旅行関連のサービスに本格的に着手し、同じ時期にAmazonも旅行業界に再参入しています。同分野における大手インターネット企業による競争はますます活発になっていくことも考えられます。同社のOTA領域やモバイルペイメント業界での新たな動向から、今後も目が離せません。


<参考>

・Amazon.in:Amazon.in announces the launch of domestic flight bookings

・Airstair:【特集】Amazonが旅行ビジネスに参入、「Flights on Amazon」でインド国内の航空券予約の取扱開始

・CNN:アマゾン、インドでフライト予約サービスを開始

・THE BRIDGE:Amazon vs Alibaba、Amazon Payを利用した一手をインドにて開始ーーAmazonがOTA領域参入でインド国内フライトが予約可能に

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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