モノ消費からコト消費へ|定義と最新傾向「トキ消費」「エモ消費」「イミ消費」

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コト消費とは、経験・体験をその価値とする商品やサービスを購入する消費行動です。商品の機能や品質を重視し、購入する消費行動は、コト消費に対し「モノ消費」と呼ばれます。

体験サービスコト消費の代表的な商品ですが、商品やサービスが提供されるまでの過程に購買意欲をかき立てるような魅力のある商品の購入も、コト消費として定義されます。

日本国内で、また世界的に消費トレンドは「モノ消費」から「コト消費」へとシフトしつつあります。観光体験においても同様です。インバウンド市場を見据えた施策では「体験」を重視するものも目立つようになってきました。

経済規模や社会情勢など種々の要因が影響し、消費者のニーズも日々変化しています。この記事では、コト消費について解説するとともに、コト消費の次に到来するといわれているトレンド「トキ消費」「エモ消費」についても紹介します。

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コト消費とは?

コト消費とは、商品やサービスによって得られる経験に価値を感じ、それに対価を支払う消費を意味します。

訪日旅行という市場では、自然環境を活かしたスポーツを体験すること、日本文化を実践することなどがコト消費の事例として挙げられるでしょう。

今後のインバウンド市場では、こうした「体験」に価値を見出す「コト消費」への需要が高まっていくと予想されています。

モノ消費とは?

モノ消費は、商品の機能面や品質といった物質的側面に価値を見いだし対価を支払う消費のことです。コト消費に見られるような「体験」「時間」への評価軸は基本的に存在しません。

「モノ消費からコト消費」の意味や種類とは?変化の理由とインバウンド対策方法を解説

世界的な消費行動の変化として、商品を購入する「モノ消費」から体験型の「コト消費」へと変化しています。 この変化は国内消費だけでなく、訪日外国人観光客のために酒造見学や田舎暮らしの体験ツアーなどが提供されている事からも変化を感じ取ることができます。 この記事ではモノ消費からコト消費へシフトしている理由とインバウンド誘致における対策方法について解説します。 インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応...


モノ消費からコト消費へトレンドが移った背景

モノ消費からコト消費への変化の背景として、消費者のニーズの変化が挙げられます。まずは、日本国内における消費行動の変化を元に説明します。

高度経済成長期の日本では、「三種の神器(冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビ)」や「3C(カラーテレビ ・クーラー・自動車)」のような商品が売れていました。なぜなら、これらはこれまでにない商品だったためです。

コト消費はダウントレンド、その理由

しかし、現在では上記で挙げた商品は、大半の国民が所有しているでしょう。多くの人が比較的簡単に手に入れられるようになった結果、商品そのものの価値は相対的に弱まりました。

つまり、モノ消費需要の減少が起こっています。

また、コト消費需要が高まっている要因として、ネット通販の台頭が挙げられます。ネット通販により、わざわざ店舗で商品を買う必要がなくなりました。

現在、多くの人がAmazonや楽天などのECサイトを通じて、商品を購入しています。ネット上で世界中の商品をいつでもどこでも買えるようになったため、旅先でわざわざ商品を購入する必要がなくなったと考えられます。そのため、旅先でしか得ることのできない「体験」のニーズが高まっていきました。

コト消費の3事例

インバウンドでのコト消費の重要性について理解できたところで、具体的にコト消費を促進する方法はどういったものがあるか、具体的な事例を紹介します。

1. Airbnbサービス、「Trips(トリップ)」

Airbnbでは、2016年から「Trips(トリップ)」の提供を開始しました。

Tripは、現地の人が企画したアクティビティと、現地で体験を求める旅行客をマッチングできるサービスです。

サービス開始当初は、東京含む世界12都市でサービスが開始され、すぐに約500種類のアクティビティが掲載されました。アクティビティの内容は、文化体験をはじめ、料理やスポーツからボランティア活動といったものまで、様々なものが登録されています。

東京では、金継きま体験や芸者体験など、日本ならではのアクティビティが掲載されています。Airbnbユーザーは宿泊先の土地ならではの体験を求める人がもともと多い傾向にあるため、Tripsはそんな旅行客のニーズに合ったサービスといえるでしょう。

2. 百貨店もコト消費

2014年、三越日本橋本店に複合型ショップ「はじまりのカフェ」がオープンしました。ここはどこに行ったら買えるのかわからないモノやコトを提供するということがコンセプトのショップです。

はじまりのカフェは、カフェとしてコーヒーや軽食を提供することはもちろん、カフェオープンキッチンを使ったワークショップや、デジタルコンシェルジュによるデジタル機器の操作を試せる場を提供しました。

また、高島屋横浜店では、2018年6月に「ベルサンパティック」をオープンしました。

そこでは、メイクや眉カットやヘアケアなど、70種類の施術メニューを提供しており、気軽に立ち寄れる施術・体験サービスをコンセプトとして従来の百貨店では対応できないサービスを行っています。最短30分から最長120分のメニューがあります。

このように、モノ消費向けのビジネスが主である百貨店業界でもコト消費に向けたサービスが増えてきています。

3. ホテルのナイトプール

ホテルニューオータニの「GARDEN POOL」は、昨今のナイトプールブームの火付け役とも言われています。

泊まるだけでなく、DJによる週末イベントやプールサイドダイニングでのグルメも堪能することができます。光の演出に包まれながら、贅沢な大人のひと時を楽しむことが可能です。

その他にもANAインターコンチネンタルホテルの「東京ガーデンプール」や京王プラザホテルの「スカイプール」など、ナイトプールを楽しめる場所が増えてきました。

単に泳ぐだけの場所としてではなく、新たな大人の遊び場として、「贅沢な体験」のできるナイトプールが注目されています。

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コト消費の次に来る?トキ消費・エモ消費・イミ消費

モノ消費からコト消費へと消費トレンドが変化しつつありますが、コト消費のさらに次の、新たな消費傾向が到来しています。

トキ消費・エモ消費・イミ消費といわれる消費です。

コト消費のなかにはオンラインで体験できるコンテンツも増えてきていますが、トキ消費やエモ消費は、コト消費のなかでも特定の要素が強く意識された消費です。それぞれ解説します。

トキ消費とは

「トキ消費」とは、その時・その場でしか味わえない盛り上がりを共有することを楽しむ消費行動のことを言います。

例えば、ハロウィン、フェス、アイドルの「総選挙」などが挙げられます。

トキ消費には3つの特徴があります。

1つ目は、非再現性・限定性です。同じ経験が二度とできないことは、消費者に価値を感じさせます。

2つ目は参加性です。消費者はコンテンツに参加することを、消費の目的としています。

3つ目は貢献性です。消費者は対価を払いコンテンツに参加した結果、自分がコンテンツに影響を与えている、ポジティブな成果を挙げていると感じることに価値を見出します。

たとえば消費者は、YouTubeでアイドルのコンテンツを鑑賞するよりも、投票の結果、自分の判断がアイドルのグループ内での評価を左右するようなコンテンツにより魅力を感じるようになっています。こうした消費はコト消費をさらに細分化して「トキ消費」と呼びます。

エモ消費とは

「エモ消費」とは、エモーショナル(感情的)の略を頭に付けた言葉で、精神的な満足感を重要な価値指標においた消費傾向を意味します。

消費者は、モノやコトそのものではなく、消費の結果生まれる感情により高く重きを置いています。

エモ消費の事例としては、トキ消費でも触れたアイドルの「総選挙」やクラウドファンディング、オンラインサロンなどが挙げられます。

イミ消費とは

イミ消費は、ホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリストの竹田クニさんにより提唱されました。

イミ消費は、ある商品を消費することにより生まれる社会貢献的側面を重視し、商品の選択に反映させるような消費行動を意味します。

イミ消費を通じて消費者は、自分がどうありたいか、あるいはどうあるべきかを指標として経済活動を行います。

所有を目的としたモノ消費、体験を目的としたコト消費とはまた異なる消費者心理がそこにはあります。

モノ消費からコト消費へ、そして「トキ消費」「エモ消費」「イミ消費」とさらに細分化

時代の経過と共に、求められる消費のかたちは変化しています。従来ニーズのあったモノ消費からコト消費へ移行しています。

訪日外国人は、商品やサービスそのものではなく、「体験」を求めています。消費傾向の変化に伴い、様々な「体験」を提供することで消費者のニーズに応えることができるでしょう。

今後は、体験の提供を中心としたインバウンド対策が必要となってきます。消費傾向の変化に敏感になり、適切な対応を取れるように心がけましょう。

<参照>

Bae:コト消費の次は「イミ消費」?――シフトする食の消費価値観

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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