1997年の東南アジア通貨危機以降、主に脱税防止のためにクレジットカード利用者の優遇を始めた韓国は、世界一キャッシュレス化が進んでいる国として知られています。
近年はモバイルQRコード決済も複数登場し、決済手段の多様化が見られます。店舗は規模の大小にかかわらずクレジットカード決済に対応しており、外国人観光客にも便利な環境が整っています。
韓国では店舗に課せられるクレジットカードの決済手数料率が2%程度です。日本に比べて低水準とはいえ、決済のほとんどがクレジットカードで行われる韓国では、小規模事業者にとって決済手数料が重い負担となっています。
政府は小規模事業者向けの決済手数料について引き下げを検討する一方で、ソウル市が中心となって決済手数料ゼロの新QRコード決済の立ち上げも実施しています。
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韓国ソウル市のZeroPay
「ZeroPay(ゼロペイ)」は2018年12月からテスト運営が始まったQRコード決済サービスです。2019年4月現在、加盟店は10万店舗を突破しています。
加盟店に課せられる決済手数料は0%
前年の売上高が8億ウォン以下の店舗では、「ZeroPay」の決済手数料が0%になります。そのため売り上げが目減りせず、店舗の負担が軽減されます。
消費者は40%の所得税控除が受けられる
消費者が「ZeroPay」で決済をすると、決済代金の40%が所得控除の対象となります。韓国ではキャッシュレス決済による支払いで所得控除が受けられますが、クレジットカードでは15%、チェックカードでも30%なので、より高い控除率に設定されている点が特徴です。
スマホ決済のニーズは世界的に高まる傾向
クレジットカード決済が主流の韓国。キャッシュレス比率はおよそ90%でインフラは整っているように見えますが、Zero PayやカカオペイといったQRコード決済が登場し、決済手段の多様化が進んでいます。
中国ではアリペイやWeChat Payによる顔認証決済システムなども登場し、無人店舗が増えています。インドでも高額紙幣の廃止とともにスマホ決済が急速に普及しており、この世界的な流れは止まりそうにありません。
国内のスマホ決済も続々登場
日本国内でも多様なQRコード決済が登場しています。2019年5月以降、au PayやゆうちょPayがサービスを開始しています。国内外を問わず多くの観光客がスマートフォンを所持し、この先スマホ決済の利用率が高まると、通信環境の整備や決済手段の充実といった対策が行われていない店舗が嫌厭されかねません。
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日本では2019年10月から予定されている消費増税に伴い、小規模店舗を優遇するためポイント還元施策が予定されています。これはクレジットカードや電子マネー、QRコード決済といった繰り返し利用可能なキャッシュレス決済の加盟店が対象です。
ポイント還元の対象店舗になるには
ポイント還元の対象店舗になるためには、あらかじめポイント還元の対象に登録されている決済事業者と契約し、ポイント還元対象店舗としての登録手続きが必要です。新規でキャッシュレス決済を導入する際は、決済端末などの初期費用を国と決済事業者が負担することになっています。つまり、今なら店舗は無料で設備を導入できるのです。さらに、2020年9月までのポイント還元期間中は、決済手数料の優遇も受けられるというオマケつきです。
まとめ:キャッシュレス経済のメリットを理解し、早めの活用を
今後、キャッシュレス決済はますます拡大していくと見られています。キャッシュレス化により得られるメリットは、導入しないメリットをはるかに上回ります。また、導入しないことで消費者の購入機会を逃している可能性もあり、こうした損失は日がたてばたつほど大きくなると言えるでしょう。
消費増税目前の今、国がキャッシュレスによる優遇施策を予定している今こそ、最小限のコストでキャッシュレスの効果を検証できるまたとないチャンスです。是非この好機を活用してください。
<参照>
The Korea Herald:Proposed credit card fee change sparks controversy(2018.11.26)
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