訪日外国人による「コト消費(体験・アクティビティなどの消費)」の盛り上がりが注目を集めていますが、それでも日本旅行の醍醐味は「買い物」という客層も少なくありません。
百貨店だけでなくドラッグストアやディスカウントストア、そして近年はダイソーをはじめとする100円ショップにも注目が集まっています。
そこで本記事では、千葉県船橋市のダイソーに集まる中国人観光客の様子を紹介するとともに、その理由を探っていきます。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
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ザ・ダイソーギガ船橋店には外国人客がいっぱい

船橋には、日本最大級の店舗である「ザ・ダイソーギガ船橋店」がありますが、ここでは中国人をはじめ訪日外国人の姿がみられます。船橋というと取り立てて大きな観光地はありません。理由を探るべく店内を覗いてみました。
店内の様子

通路は広く、大荷物や子連れでも来店しやすい作りになっています。レジは1階のみ、6台程度稼働しています。

7月上旬頃、店舗に足を運んでみるとレジに並んでいるの7~8割が訪日外国人という状況でした。
買い物かごの中を見てみると同じような商品を複数購入するようで、友人や家族へのお土産として選んでいるようです。
ザ・ダイソーギガ船橋店にいる外国人の内訳はほぼアジア系で、欧米系はほとんど見かけません。特に中国人が多いようです。
実は訪日外国人にとって立ち寄りやすい船橋
なぜこの場所に訪日外国人が来るのでしょうか。実は船橋には京成線とJRの駅があります。両路線で「成田空港」直通の列車が停車する駅になっており、船橋は訪日外国人にとってはアクセスがいいと言えます。成田空港からやってきた場合、初めての繁華街のあるターミナル駅とも言えるでしょう。
中国人の『雑貨ブーム』『100均ブーム』
2018年、日本を訪れた外国人は約3,119万人で、その約3割が中国人となっており、のべ人数は838万人を記録しました。中国市場は日本のインバウンドを支えています。中国は経済成長に伴って、消費傾向に大きな変化が表れています。これが、ダイソーはじめとする、これまで注目されていなかったカテゴリの商品の「爆買い」を引き起こす可能性があります。事実、中国ではダイソーがちょっとしたブームになっており、Weiboで「ダイソー」を検索してみると数多くの投稿が結果に表れます。
こうした中国人消費者の需要を早くから見抜いていたとみられるダイソーは、2012年という早い時期からWeibo公式アカウントも開設しています。2019年7月時点のフォロワーは約3.5万人となっています。
"中国版インスタ"小紅書(RED)でも
SNS型ECアプリである小紅書(RED)でも、日本の100円ショップについての投稿が数多く見られます。

中国人は雑貨好き
中国では今、いろんなものがECで手に入り、しかも非常に低価格です。かわいい小物で部屋を飾ったり、自分の装飾品をそろえたりすることを、中国人の方々は日本人と変わらず楽しんでいます。また「かゆいところに手が届く商品」の性能は、日本と同じく、快適な生活をよしとする消費者の心をつかんでいます。たとえば「鍋の中にできあがった料理を、鍋を傷つけることなくこそげとるヘラ」や「キャベツなど野菜の芯をくりぬけるカッター」といった商品は中国でも評価されているようです。
さらに中国には「日本らしい雑貨」「日本テイストの小物」が好きな層が一定数存在します。中国の観光地では、ひらがなの書いてあるマスキングテープやポストカードといった文具雑貨が販売されています。こうした日本についてのポジティブなイメージはアニメやドラマ、映画といった映像作品を通じて形成されてきたと考えらえます。
また「日本=高品質」という中国での共通認識は今もなお根強く残っており、たとえ100円の商品であっても簡単に壊れたりはしないものとして期待していることも考えられます。
中国人が日本の100均を愛する理由
日本人がLINEを使うように、中国ではWeChatが使われています。WeChatではニュースやコラムを配信するアカウントも存在します。今月あるアカウントは、ダイソーはじめとする日本の百均についてのコンテンツを配信しました。この記事は約一週間で3.5CV(コンテンツビュー)をたたき出しており、中国での日本の百均の人気の高さを物語っています。この記事によれば、ダイソーはじめとする百均の商品が優れている理由は下記の5つです
- シンプルなデザイン
- 実用性の高さ
- 日本の主婦に人気(実際に使っている人や、日本人に人気であるかどうかが重要)
- 子供向けの商品が充実していること
- かわいい外観であっても使用時の動きを考慮した設計になっている。
記事の中ではその他にも大阪梅田に今年4月に新規開店したダイソー梅田OPA店について触れており、充実した品ぞろえの店舗として紹介しています。
近年、中国でもこうしたものが買えるようになってきています。ダイソー、ユニクロ、無印が合体したようなブランドとも評される「MINISO(メイソウ)」は、中国発の雑貨ブランドです。シンプルでかわいらしい色使いの雑貨や日用品がリーズナブルに買えます。
こうした中でも、SNS上のコンテンツや船橋のダイソーの様子からは、「日本の商品が欲しい」「旅行するのだから買いに行きたい」と考える中国人が確かに存在することを感じさせます。
日本企業のような中国ブランドMINISO(名創優品/メイソウ)はどんなお店?
ECが普及する中国ですが、オフラインの店舗でのショッピング体験の向上にも余念がありません。中国の多くのショッピングモールで展開する「MINISO(メイソウ/名創優品)」は、ユニクロのようなロゴ、百均のダイソーを思わせるブランド名が特徴です。2020年10月にはニューヨーク証券取引所に上場を果たし、新規株式公開で6億800万ドル(約640億2000万円)を調達したことが報じられています。これまでにも日本のメディアでも徐々に報道されているように、店内商品は無印良品のようなラインナップですが、色...
新たな爆買に今後も期待?百均のポテンシャル
中国人はじめ、コスパの良さを求める訪日外国人にとって、今後も百均は注目のスポットであり続けるでしょう。数年前と比べ、ブランド品や家電量販店での爆買いが落ち着きを見せていると言われる中で、今後インバウンドの売上げが期待できる分野となりそうです。船橋の店舗では、WeChatPayやAlipayの対応は見られず、多言語表記も残念ながら多くはありませんでした。訪日外国人目線で利便性を高めることで、次の爆買い商品を作り出すことも不可能ではないでしょう。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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