訪日外国人観光客が年々増加しており、2019年には過去最高の数を記録しました。
特に近隣に位置するアジアからの観光客も増えており、今回の日韓関係の悪化による韓国人観光客の減少と、それが引き起こす市場への影響が懸念されています。
訪日外国人観光客が増加すると経済活動が活発になるなどさまざまなメリットが生まれますが、その反面、デメリットも存在します。
今回は、訪日外国人観光客数とその割合を国別に紹介し、訪日外国人観光客が増加した理由と、増加によるメリット、デメリットについて詳しく見ていきます。
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訪日外国人客が増加、2019年には過去最高人数に
近年増加傾向にある訪日外国人ですが、具体的にはどのくらい増加しているのかを見ていきます
訪日外国人の数は2019年に過去最高を記録しました。内容について詳しく見ていきましょう。
地震や台風の向かい風に負けず市場が成長
日本政府観光局(JNTO)が発表している「月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人)」によると、2019年の1年間だけで約3,188万人もの訪日外国人客が日本を訪れており、前年に比べて2.2%の増加となりました。
訪日外国人のほとんどはアジアから
訪日外国人の数は年々増加し、世界中から日本を訪れていますが、なかでもアジアからの訪日外国人が突出しています。
30.1%を中国人が占めており、その数は959万人超にも登ります。
アジア全体の経済成長が主な要因となり、海外旅行の需要が高まったことで、アジア圏からの観光客が約84%も占めているのです。
日本に外国人観光客が増える理由
なぜ多くの外国人が日本を訪れているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
1. LCCによる運賃下落
ひとつの要因として考えられているのがLCCによる運賃の下落です。
現在では、アジア圏の多くの国から日本行きのLCCが就航しており、より手軽に日本を訪れることができるようになっています。料金の面で負担が少なく日本を訪れることができます。
現在、羽田空港と LCCで結ばれている国はアジアを中心に20以上にも登っていますが、日本側からも観光客の誘致を目的として、さまざまな自治体がアジアからの便を誘致しています。
2. ビザの緩和
アジアからの訪日外国人のなかでも中国人が全体の約4分の3を占めています。
中国では急速な経済成長を遂げていることから、観光客誘致のため日本政府は中国の富裕層に向けた個人旅行のビザ発給を2009年に開始しました。
さらに2015年にはビザの条件を緩和し、2017年には経済力のある中国人に向けて何回でも出入国を許可する「数次ビザ」を発行したことによって中国人観光客が日本を訪れる環境が整って行ったのです。
3. 日本への関心の高まり
日本への関心が高まっていることも訪日外国人が増加している要因の一つです。
日本ならではの景色や、「和食」が2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されたこともきっかけとなり注目を集めているのです。
また、観光で訪れるだけでなく留学先としても人気が高まっています。
これらは、SNSが普及したことによって、日本の情報や魅力が世界中に広まっていることが大きく影響していると言えるでしょう。
4. ビジット・ジャパン・キャンペーン
ビジット・ジャパン・キャンペーンは「訪日外国人旅行者を1000万人にする」ことを目標として行われている政府の取り組みです。旅行会社やメディア機関、教育関係者へ向けた海外旅行博への出店や外国人向けパンフレットの作成などさまざまな活動を通じて海外に向けたプロモーションを行なっているキャンペーンを行なっています。
これらの活動により、外国人の日本に対する関心が高まってきたことも、訪日外国人が増えた要因です。
下の記事で詳しく解説しています。
インバウンドの急増はなぜ起こった?3つの理由と3つの対策を解説【ビジネス基礎知識】
オリンピックを来年の7月に迎える日本では、年々外国人観光客が増加しています。政府目標では2020年に4,000万人を掲げている中、昨年2018年には3,000万人を超えることができました。 経済効果に期待が高まる一方で、外国人観光客が特定の観光地に集中することによる問題も起きています。今後は訪日旅行への誘客と同時に、多数の観光客のニーズと一般市民の生活の両方が円滑に両立できるような仕組みも求められています。例えば、中華圏からの観光客も多い鎌倉では、市民の通勤、通学の足を確保するために...
訪日外国人が増えたことによる3つのデメリットとその対応
訪日外国人が増加したことによるデメリットもあります。
国土交通省の調査によると、路線バスの混雑やテロなどの犯罪の可能性、観光バスの需要の増加に伴う運転手不足などさまざまなデメリットの可能性が挙げられています。
次は、これらの問題についてそれぞれ詳しく見ていきます。
1. 交通機関の混雑
観光シーズンになると多くの訪日外国人が訪れるため、交通機関の混雑が問題となっています。
バスや地下鉄、電車などの許容量を超えてしまい、地元の住民が公共交通機関を利用しづらくなるという問題が発生しているのです。
これらの対策として鎌倉市では、地元住人が優先的に電車に乗ることができるような取り組みが行われています。
このように、訪日外国人の増加によって地元住民が不便をしないように対策を講じていくことが重要であると言えます。
2. 大きな荷物を持っての移動が迷惑
訪日外国人は多くの場合、大きなキャリーケースを持って移動します。滞在日数が長ければ長いほど荷物の量は増えるので、そのぶん大きな荷物となってしまいます。そのような状況の訪日外国人が、電車やバス、地下鉄などの公共交通機関で利用すると、場所を取ってしまうため邪魔になります。
そこでこれらの問題を解消しようとJTBでは訪日外国人旅行者の手ぶら観光支援サービス「LUGGAGE-FREE TRAVEL」を実施しています。
これは、オンライン手続きによって簡単に行えるもので、全国の主要な宿泊施設や空港に配送し、訪日外国人の手ぶら観光を支援するサービスです。こうしたサービスが普及すれば、公共交通機関の混雑が解消され、地元住民の生活に対する影響の軽減が期待できます。
3. マナーを守らないことでの生活への影響
訪日外国人のマナー違反による、地元住民の生活への影響が問題となっています。
外国人による犯罪の増加や、外国人観光客向けの建物の建設による景観の悪化など、地元住民の生活にとってマイナスなことが増加しているのです。
さらに、日本の習慣を知らない外国人によるマナー違反なども多く、地元住民の不満がますます増加しています。
そこで京都市では、市民や地域による啓発活動を行うことで、日本の習慣などを知ってもらう活動を行なっています。
インバウンド需要が増えることで日本経済も成長
訪日外国人が増加すれば地域経済が活性化し、地方創生に繋がっていくというメリットもありますが、その反面デメリットもあります。
犯罪の増加やマナー違反、交通機関の混雑などがあげられ、地元住民の生活にまで影響します。これらの問題を解決するため、企業や地域、地元住民などさまざまな立場の人々が対策を講じています。
年々増加する訪日外国人に気持ちよく観光してもらいつつ、地元住民の生活も守ることが今後の観光業の、そしてひいては日本経済の成長につながるはずです。
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