【法改正】増加する「タダ乗り医療ツーリズム」にSTOP!中国人観光客の日本の健康保険悪用に対抗する健康保険法改正とは

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

医療保険の適用対象を原則として日本に居住する扶養家族に限定するといった改正を盛り込んだ「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」が、2019年5月15日に参議院本会議で可決・成立しました。

訪日中国人観光客による「タダ乗り医療ツーリズムの現状をふまえ、健康保険法改正に至った背景について、インバウンドの視点から見ていきましょう。

インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

健康保険法改正で適用対象限定:外国人の医療費「タダ乗り」対策?

これまでの制度では一定の要件を満たすことで、居住地や国籍に関わらず医療保険が適用されましたが、今回の改正により一定の例外を設けつつ、日本に居住する家族に限定するとしています。具体的には、オンライン資格確認の導入マイナンバーカードを健康保険証として利用できる規定を設けるなどの措置を講じる方針です。

今回の改正に至った背景としては、外国人人材の受け入れ拡大による医療費の財政負担増大の恐れが指摘されていますが、中国人の医療ツーリズムブームが影響している可能性も否定できないでしょう。

外国人の医療費「未払い帰国」JNTOがインバウンド対象の医療機関リスト公開:訪日外国人4,000万人時代に必要な観光立国のインフラとは

訪日外国人観光客

訪日中国人観光客の医療費「タダ乗り」が増加

インバウンドの巨大市場である中国では、コト消費需要の高まりが顕著ですが、中でも日本の医療を受けるために訪日する医療ツーリズム」がブームとなっています。日本の医療水準の高さに対する関心が高まる一方で、「日本の高度な医療をお得に受けること」と目的に、後述するように日本の健康保険などの医療制度を悪用するケースが見られます。

中国のまとめサイトの中には、日本での医療ツーリズムに関心がある中国人に向けて、「中国人が日本に行っても無料で医療を受けられる方法」といった、いわゆる「タダ乗り医療ツーリズムに関する情報が見受けられます。今回の法改正は、こうした日本の医療制度に「タダ乗り」する中国人にとっては、悪いニュースとして受け止められていると考えられます。

中国人の医療ツーリズム「健康保険制度で日本の病院を利用」がトレンドに?中国SNSやブログに解説記事も

中国からの昨年2017年の訪日外客数は735.5万人となり、

【訪日ラボ監修/無料】インバウンド対策を始めるなら「インバウンドの教科書」にお任せ


中国で注目される「タダ乗り医療ツーリズム」とは?

本来日本で治療や人間ドック等を受けることを目的として訪日する外国人は、「医療滞在ビザ」の取得が必要です。平成28年の時点で、医療ビザ9割近くが中国人によって取得されており、中国人の日本における医療ツーリズムへの関心の高さがうかがえます。

医療ビザでの滞在の場合、医療費は100%自己負担となるため、健康保険に加入している居住者と比べると高額な支払いが発生します。そこで注目され始めたのが、「タダ乗り医療ツーリズムです。

以前から「経営者ビザの取得」や「留学生として入国」といった手法で日本の医療機関を利用する中国人について、多数報道されてきましたが、「家族の扶養に入る」ケースも新たに問題となっています。日本に長期滞在する家族の扶養に入ることで、治療目的の一時的な滞在にも関わらず日本の医療保険を利用することができ、格安で高い水準の医療が受けられる仕組みです。

保険加入後、半年以内に高額治療を受けたケースは1,600件

2017年に国が実態調査を実施したところ、外国人が国民健康保険に加入後、半年以内に800万円以上の高額な治療を受けたケースは、1年間に約1,600件にものぼっています。内訳として、医療目的の訪日であることを隠し保険証を取得した疑問のある件数は明らかになっていませんが、はっきりと偽装滞在で違法の疑いがあると確認できたケースもあるそうです。

日本人と結婚した娘の夫の扶養に入る名目で来日し、保険証を取得しがん治療を受け、200万円の負担を20万円に抑えたケースもあります。年間2万人近くの外国人が治療を受ける国立国際医療研究センターでは、2017年度に保険証を取得した経緯に疑問のある患者が、少なくとも140人いることが判明しました。

具体的には、重度の病気を患う中国人患者が、日本語学校で学ぶ名目で入国することで保険証を取得し、入学後半年も経たないうちに手術を受けたケースがあるそうです。重い病の人が留学に来ることは不自然であり、初めから治療が目的だったのではと見られています。

健康保険法改正で「タダ乗り医療ツーリズム」撲滅へ

健康保険法改正の背景の1つとして、近年問題となっている、訪日中国人観光客を中心とした「タダ乗り医療ツーリズム」の現状を見ていきました。

これまで留学や家族の扶養に入るといった名目で日本の保険証を取得し、格安で医療を受けるケースが増加していました。

保険の適用対象を日本に居住する扶養家族に限定するといった内容を盛り込んだ今回の健康保険法改正は、今後日本の外国人材の受け入れ拡大により、医療費の財政負担が増大するおそれがあるとの指摘に基づくもののようですが、同時に中国人による「タダ乗り医療ツーリズム」の撲滅に向けた第一歩となることも期待できるのではないでしょうか。

<参照>

訪日ラボ セミナー紹介&最新版インバウンド情報まとめ

「稼ぐ観光・地域活性化」のヒントがわかるセミナーが目白押し!


RX Japan株式会社は、2024年5月8日〜10日に東京ビックサイトにて、「観光業/宿泊業」「ツーリズム」に関わるBtoB商談展「国際ツーリズムトレードショー」(iTT)を開催します。

この構成展である「観光DX・マーケティングEXPO」と「国際ウェルネスツーリズムEXPO」内では、セミナーが開催されます。

訪日ラボを運営する株式会社movも、「インバウンド×観光DX戦略」のテーマで登壇します!ご興味のある方はぜひご参加ください。

※訪日ラボは、「観光DX・マーケティングEXPO」「国際ウェルネスツーリズムEXPO」の公式メディアパートナーです。

詳しくはこちらをご覧ください。
「稼ぐ観光・地域活性化」のヒントがわかるセミナーが目白押し!観光DX・マーケティングEXPO / 国際ウェルネスツーリズムEXPOセミナーのご紹介

日本のインバウンド事業者が知らない「中国現地の最新旅行トレンド」


コロナ禍の収束後、インバウンド需要が順調に回復を続ける中、唯一回復が大きく遅れていた中国市場。

一方、ここ数か月の間は訪日中国人客数が順調に回復してきており、訪日旅行消費額も2024年1〜3月期では台湾を抜き、1位となったことがわかっています。

今、中国市場がどのような動向になっていて、今後どうなっていくのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は訪日ラボから、複数の中国SNSで在日中国人インフルエンサーとしても活動中の熊 孟華(ユウ モウカ)と、中国最大級の店舗・施設検索プラットフォーム「大衆点評」などを活用した中国向けプロモーションのコンサルティングを行う金子 泰士が登壇。

中国SNSや訪日プロモーションの「プロ」である2人が、気になる中国市場の最新トレンドについて語り尽くすセミナーをお届けします。

中国向けのインバウンドプロモーションに取り組んでいる方や、これから取り組もうとしている方は必見です!

詳しくはこちらをご覧ください
日本のインバウンド事業者が知らない「中国現地の最新旅行トレンド」

【インバウンド情報まとめ 2024年4月】3月訪日外国人数「300万人」突破 他


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、2024年4月版レポートから、3月〜4月のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。

最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください!

本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。
3月訪日外国人数「300万人」突破 / 2月の世界航空需要、コロナ前から完全回復【インバウンド情報まとめ 2024年4月】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる4月から観光・インバウンドに関わる仕事に就いたり、関連部署へ異動となり、知識のインプットに追われていませんか? また、より一層事業を推進するために必要な学び直しの機会を設ける担当者も増えてきております。
このセミナーでは、
新担当になって、インバウンドの何から始めたらいいか分からない
インバウンド推進が本格化し、改めて情報やノウハウを学び直したい
そもそもインバウンドに興味があるが、情報を収集できていない
方にとって必要な基礎情報と、知っておきたい新情報をお届けする機会となっております!
詳しくはこちらをご覧ください。
→4月までに学んでおきたい!【基礎から始めるインバウンド対策】 〜ラーチーゴー & ジャパンガイドが教える市場別最新データ〜

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに