外国人の医療費「未払い帰国」JNTOがインバウンド対象の医療機関リスト公開:訪日外国人4,000万人時代に必要な観光立国のインフラとは

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訪日外国人観光客の増加にともない、訪日旅行中に医療機関の受診が必要なケースも増えてきています。

今回は、訪日外国人が日本の医療機関を受診する際に起こりうるトラブルについて、ご紹介します。

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訪日外国人が医療機関を利用する際の問題は?

訪日外国人観光客が日本の医療機関を受診する場合、次のような問題が起こります。

言葉が通じない

「言葉」が最初に直面する問題です。

近年では英語や中国語に対応する病院も増えてきましたが、訪日外国人観光客が皆、英語や中国語を話せるわけではありません。医療機関にかかる場合、患者側から体調の状態を説明したり、病院側から治療の方法やそれにかかる費用の説明をしたりと、コミュニケーションが大切な場面が多々あります。

医療通訳を介しながら検査をすることもありますが、その場合、日本人の受診時と比較して約1.5倍~2倍の時間がかかってしまいます。

旅行保険に入っていない

観光庁の調査によると、日本に観光に来ている外国人のうち3割近くが、旅行中の医療費をカバーする旅行保険に未加入のまま来日していることがわかりました。

未加入の理由は「加入する必要がないから(けが・病気にならないだろうと思う)」が半数近くの36%、次いで「保険に加入する意識がなかった」が23%などが挙げられます。

ところが同じ調査で全体の1.5%が「訪日旅行中に医療機関に行く必要性を感じた」と回答していました。近年は観光市場でも体験を目的とした「コト消費」がトレンドであり、訪日観光の中でもアクティビティを楽しむ旅行客が増えています。こうしたアクティビティでは、慣れない場所で慣れない活動をするとあり、時にはけがのリスクもつきものです。

旅行保険への未加入そのものも問題ですが、こうしたトレンドの広まりと相まって、近年一層の懸念事項となっているといえるでしょう。

医療費未払いのまま帰国

厚生労働省が実施した調査では、外国人患者を受け入れたことがある医療機関のうち3割が、医療費の不払いを経験していました。

未払いの大きな理由に、前述の「言葉が通じない」「保険に入っていない」が挙げられます。「言葉が通じない」ために医療機関から費用についての適切な説明ができず、医療費がふくらむ一方で「保険に入っていない」ために支払えず、最終的にはそのまま帰国してしまうケースも少なくないようです。

日本での医療機関受診で困った・助かった外国人の事例

トリップアドバイザーなどの口コミサイトでは、「日本で怪我や体調を崩し困っています!助けてください」という投稿もよく見かけます。その中から、訪日観光中に病院にかかった人たちの事例を紹介します。

保険に加入していたケース

京都旅行のため来日していたアメリカ人女性は、道で転倒し胸部を強く打ち、病院に行きました。

海外旅行に対応している保険に入っていたものの、自国のアメリカではレントゲン撮影だけで2,000ドル程度かかることもあり、心配になったそうです。

病院でのやり取りはスマートフォンの翻訳に頼り、なんとか診察を終えました。心配していた医療費は1万円程度で済み、その後も日本での観光を楽しむことができたそうです。

保険未加入で検査を受けられなかった例

日本にサイクリングに来ていた韓国人男性は、サイクリング中に転倒し大きな病院に行きました。

病院は混み合っており保険も未加入だったため、病院側が検査を拒否したそうです。その後いくつかの病院を回り、英語が通じる病院で治療を受けられたそうですが、そこに至るまでにかなりの時間を要してしまいました。

観光庁が外国人対応可能な医療機関リストを公開

このような事態の対策として、観光庁は日本政府観光局JNTO)のWebサイトで「外国人患者を受け入れる医療機関リスト」を公開しました。

多言語での公表


サイトは日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語の5言語に対応しており、病院の対応言語や医療科目、クレジットカードの利用可否などの項目から医療機関を探せます。また医療機関のかかり方や海外旅行保険についても、このサイトから確認ができます。 

観光関係者用サポートページ

さらに訪日外国人向けの情報だけでなく、観光関係者や医療機関用のサポートページも用意されています。

観光関係者用のページでは、日本での医療機関の受診方法などが掲載されたガイドブックを日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語にタイ語を加えた6言語でダウンロードでき、海外から来たお客様に配布することができます。

医療機関用サポートページ

医療機関用のページでは、厚生労働省が提供している「外国人向け多言語説明資料」や、経済産業省が提供している「外国人患者の受け入れ参考書」などのリンクや、全国の病院における「外国人患者の受け入れ」取り組み事例などが紹介されています。

訪日外国人観光客をはじめ、これから外国人の患者を受け入れる医療機関が具体的にどんな取り組みや対応をしていけばよいのかがわかります。

訪日外国人の医療機関利用、トラブルを最小限に抑えるために

訪日外国人の増加とともに、医療機関にかからなければならない場面も増えていきます。トラブルをゼロにすることは困難ですが、旅行客に保険加入を促し、受診時にしっかりコミュニケーションをとることで、トラブルを最小限に抑えることはできます。

政府が提供している情報を最大限に活用し、訪日外国人観光客が気持ちよく日本での旅行を楽しめる環境を作っていくべきでしょう。

<参照>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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