中国大手通信機器メーカーのファーウェイ・テクノロジーズ(Huawei)は、9月19日にドイツ・ミュンヘンにて新型スマートフォン「Mate30」を発表しました。
中国国内では9月26日より販売が開始されていますが、今回の「Mate30」シリーズはGoogleサービスに一切対応しないという、異例のスマートフォンです。
発表されたHUAWEI Mate30(以下Mate30)、HUAWEI Mate30 Pro(以下Mate30 Pro)HUAWEI Mate30 RS(Mate 30 RS)の3つのモデルとも非対応となっています。なぜ、Googleサービスに対応していないのでしょうか。
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ファーウェイ、新型スマートフォン「Mate 30」シリーズを発表
今回発表されたのは「Mate30」「Mate30 Pro」「Mate30 RS」の合計3機種です。
基本となる「Mate30」ですらRAM(作業領域)は8GB、ストレージ(記憶領域)は128GBという十分なスペックを持っています。
ドイツの自動車メーカー・ポルシェとのコラボレーションモデルである「Mate30 RS」はRAMが12GB、ストレージが512GBと、ハイスペックパソコンと同程度の性能を持つなど、フラッグシップモデルとしてこだわり抜かれた性能が見受けられます。
進化した4レンズカメラを搭載、顔認証や指紋認証にも対応
「Mate 30 Pro」のセールスポイントの一つがカメラです。超広角・広角・望遠、そしてデュアルピクセルの深度センサーカメラを加えた4レンズカメラで、どんなシーンでも美しい画像が撮影できるようになっています。ISO感度も「Mate30」は204,800まで、「Mate30 Pro」では409,600まで対応しており、夜景も鮮やかに撮影できます。
更には45倍ズームや7680fpsでのスローモーション撮影など、現在の各社スマートフォンのカメラ性能を遥かに超越しており、合わせて顔認証や画面上指紋認証などのセキュリティ機能も搭載されています。
Mate30シリーズ最大の特徴は「Googleアプリ」非搭載
この度ファーウェイが満を持して発表したMate30シリーズですが、Androidスマートフォンであるにもかかわらず「Google Mobile Service」が搭載されていないため、Googleが提供するアプリが利用できません。
Google Playが利用できないのはもちろん、Google 検索やGoogle マップ、YouTube等のGoogleが提供するサービスは、インターネットブラウザを通して利用することになります。
ファーウェイのアプリストア「HUAWEI AppGallery」を搭載
Google系アプリが利用できない代わりに、ファーウェイは独自の「HUAWEI Mobile Service」を開発し、Google Playの代わりとなる「HUAWEI AppGallery」をMate30シリーズに標準搭載しました。
今後はインセンティブ等を通じてHUAWEI AppGalleryでのアプリ開発者を増やす戦略ですが、現時点でHUAWEI AppGalleryに登録されているアプリの数は約4万5,000個と、Google Playの約360万個と比べて80分の1しかありません。
しかし今後は独自のアプリエコシステムの「HUAWEI Mobile Services」(HMS)に10億ドルを投じて拡充していく方針を示しています。
中国で販売されるスマートフォン、基本はGoogleアプリ非搭載
世界で発売されているAndroidスマートフォンは、特殊な例外を除き基本的にGoogleアプリが搭載されています。AndroidはGoogleが開発したものであることが理由です。
Androidアプリのほぼ全てが登録されているアプリストアであるGoogle Playも、Googleのサービスです。Google Play含めGoogleのサービスをスマートフォンで利用するためにはGMS(Google Mobile Service)のインストールが必要ですが、このシステムは中国のスマートフォンでもインストールできるようになっており、利用を希望する人はインストールしてから利用していました。

ファーウェイの機種はこれまで、中国国内向けであってもGMSが搭載されていたため、こうした操作が必要なかったと言います。ところが、今回はGMSを搭載しないため、他の中国産スマートフォンと同じような性能になったと言えるでしょう。
中国では、Google関連のWebサービスは中国政府により通信制限の対象になっており、中国国内からは接続できません。Googleは他の外資インターネット企業と同じく、中国ではほとんど市場を取ることができませんでした。
Google Playにも接続できないため、代わりにBaidu、HUAWEI、Xiaomi等の大手IT企業が提供する独自のアプリストアが存在し、これらのアプリストアを通じてWeChatやAlipay等の必要なアプリを入手する形が取られています。
ファーウェイがGoogleアプリを使えなくなった訳
ファーウェイでは、中国国内で販売するスマートフォンこそGoogleアプリを搭載しないままでしたが、中国国外で販売するスマートフォンは他社と同じくアプリストアのGoogle Play始めとする各種Googleアプリをインストールした上で販売していました。
しかし2019年5月15日、米国商務省が輸出規制リストにファーウェイをはじめとした中国企業を追加したため、Googleはファーウェイとの取引を中断しました。
そのため今後ファーウェイが販売するスマートフォンにはGoogleアプリが搭載できないこととなり、今回発表されたMate30シリーズもGoogleアプリ非搭載のまま発売されることとなりました。
深まる米中の対立、ファーウェイは独自OSで対抗
米中貿易摩擦が過激さを増す中、ファーウェイはGoogleサービスに依存しないスマートフォンや各種ネットワーク機器を作るため、HarmonyOSという独自のOSを開発しています。
現段階ではHarmonyOSのスマートフォンは発表されておらず、今回のMate 30シリーズもGoogle関連のプログラムを排除してはいるものの、Androidが搭載されています。
今後もファーウェイは中国国内で独自路線を歩み、米国と追随する日本等の関係諸国とのテクノロジーの分断は深まることになりそうです。
日本への影響は?訪日中国人のスマホ事情に注意!
毎年中国からは多くの観光客が日本に訪れており、日本政府観光局(JNTO)によると2018年には約838万人もの中国人が来日しています。
中国ではインターネットの通信制限があり、使い勝手の悪さからGoogle関連、FacebookやInstagram等のアプリやサービスを利用する習慣はありません。中国人向けにインバウンド対策をする場合は、中国国内で用いられているBaiduやWeChat、Alipay、その他SNSを上手く活用することが大切です。
<参照>
http://www.sohu.com/a/196808412_114760
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