オリンピック開催中の交通機関の混雑緩和対策とは?大会輸送度影響マップ・各鉄道会社の対策・ポジティブな効果も

東京オリンピック・パラリンピックの開催まで1年を切りました。

旅客数の増加により、大会期間中の交通機関に大きな影響が予想されています。混雑予想や主な鉄道事業者の輸送計画を確認します。

大会組織委員会の資料によれば、オリンピック期間中の予想来場者数は780万人・パラリンピックでは230万人が予想されています。

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「大会輸送度影響マップ」とは

オリンピックの開催期間中に予想される交通機関の混雑について、東京都は大会期間中に何も対策がなされなかった場合の都心部の鉄道・道路混雑状況を示した「大会輸送度影響マップ」を発表しています。

7月25日から8月8日の混雑予測を時間帯、日にち別にチェックできます。

なお、実際の大会期間中の交通状況を予測したのではありません。データをもとに企業に対し交通量抑制の対応などを求めます。

▲[7月29日8:00~9:00の予測]:大会輸送影響度マップより引用
▲[7月29日8:00~9:00の予測]:大会輸送影響度マップより引用

通勤の時間は大混雑

特に懸念されているのが通勤と重なる平日7~8時台の混雑です。平常時の通勤時間帯においても車両や駅の能力の限界近くで対応している現状があります。

ここに9時台に開始される競技の観客が上乗せされれば、大変な混雑や混乱が発生することは必至です。

前述の「大会輸送度影響マップ」7月31日によると、主要高速道で所要時間が通常の3倍以上に跳ね上がり、都心へ向かう鉄道も軒並み鞄から物を取り出すことが難しいとされる「かなり混雑」状態が予測されています。

また、会場最寄り駅だけでなく乗り換えに利用されるターミナル駅でも駅に不慣れな乗客が立ち止まるなどして流れが滞り、滞留客が普段の2倍以上になるという予測もあります。

競技会場最寄駅混雑予想

東京メトロでは、オリンピック開催に向け「東京2020大会特設ページ」を設置し、北参道・竹橋・外苑前・明治神宮前〈原宿〉・有楽町・日比谷・新木場・豊洲・辰巳の9駅で予想される混雑状況について公開しています。

現在、北参道と竹橋を除く各駅ではオリンピック期間中に混雑が予想されています。

時間帯は主に朝夕の通勤ラッシュ時ですが、一部で競技終了後にも大きな混雑が発生する見込みです。

駅での混雑の中心となるのは会場方面の出入口と改札付近で、明治神宮前〈原宿〉では乗り換えに伴い連絡通路でも大変な混雑が発生するとみられています。

期間中のスムーズな地下鉄利用のために、時間帯をずらすか別の出口を利用するなど混雑を避ける工夫が必要です。

鉄道会社ごとの対策

鉄道においては東京オリンピック期間中の通勤時間帯には旅客者1割増ともいわれ、大きな混乱が予想されます。

臨時の本数増などの調整がすすめられていますが、鉄道業者から「朝のピーク時間帯はダイヤ、車両、要員を既に最大限活用しており増発の余地は少ない」との声があがっており、現状では輸送力の強化には限界があるとみられます。

周辺企業の休暇やテレワークの推進などで鉄道利用者自体を減らすことが必要です。

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東京メトロ

東京メトロでは、7月24日(金)〜8月9日(日)のオリンピック期間中、列車の増発と終電の繰り下げをすると発表しています。

大会期間中、銀座線・有楽町線・南北線の3路線で競技スケジュールに合わせて増発が行われます。

また、終電の繰り下げは全線で予定されています。運行間隔は15~30分程度で、もっとも遅いもので2時30分(26時30分)ごろまで運行する予定です。

また、会場最寄り駅での案内人員を増員や自動改札機を増設などの駅機能を強化や混雑する時間帯の予想を公開し、分散利用を促します。

東京メトロでは東京オリンピックへ向けて駅のリニューアルや駅構内のナビゲーションシステム導入、駅や車内の多言語化にも取り組み、ピーク時の対策だけでなく安全面や情報面からも円滑な輸送サービスを提供するための対策をすすめています。

JR東日本

JR東日本でも、バスケットボールなど終了予定時間が深夜に及ぶ競技に対応するため、オリンピック期間中の7月24日(金)〜8月9日(日)に東京圏路線の終電を延長することが検討されています。

京浜東北線などで平常時より30~60分、山手線などで90分程度終電の時間を引き延ばし、ほぼすべての在来線の終電が繰り下げられる見込みです。

具体的な時刻などについては2020年4月に発表される予定で、2019年夏以降開催のスポーツの世界大会でも終電の繰り下げが検討されています。

JR東日本では東京2020に向けて、終電の延長のほか管内のトイレの洋式化や多言語表記の推進など、外国人観光客の利用しやすい鉄道にするための施策もすすめられています。

オリンピックによってもたらされるもの

ここまで交通機関の面からオリンピック開催によりもたらされる混乱についてみてきましたが、予測される事態に対応するためのインフラ整備などにより経済効果をもたらす要因ともなっています。

全国的にどのような効果がもたらされるのか考えてみます。

地方インフラ整備の遅れで、インバウンド需要にも影響

オリンピック需要により、建設業界においては慢性的な人手不足に陥っています。

オリンピック関連施設の開発・整備に資源が集中するあまり、地方でのインフラ整備がしわ寄せを受けるのではないかと懸念する声もあります。

交通インフラの整備は地方における大きな課題のひとつです。

東京オリンピックを契機とした地方創生の施策として訪日外国人観光客の地方への誘客は目玉ですが、港から市街、ホテルから観光地などへのアクセス整備が遅れると観光客の満足度低下につながり、地方活性化そのものに影響が出かねません。

交通アクセスの善し悪しは外国人観光客が行き先を選定する際に大きな影響を与えます。各地方が東京オリンピック開催の恩恵に浴するためには、日本全国で観光客の受け皿となれる環境の整備が必要です。

オリンピックでPR

政府は東京オリンピック開催に向けて海外へのプロモーションを実施するとしています。

もちろんこれまでにも、海外に向けて日本の魅力を発信する事業を継続的に行ってきましたが、今まで以上に国際的な注目を浴びている状況でのプロモーションにはより大きな効果が期待できます。

また、東京オリンピックをきっかけに国際的なスポーツイベントやMICEの誘致にもつなげる狙いがあります。

日本のインバウンド市場は東京オリンピック以降縮小するのではないかと一部で懸念の声が上がっていますが、過去のオリンピック開催地では長期的にはわたり訪日外客数が増加しているというデータがあります。

オリンピックの恩恵を開催後へ如何につなげるかが重要です。

経済効果

オリンピック・パラリンピックによって、消費や雇用をはじめとした幅広い分野で大きな経済効果がもたらされると予想されます。

東京都が2017年に発表した「東京2020大会開催に伴う経済波及効果」によると、オリンピック・パラリンピックによってもたらされる経済効果は全国で32兆円に上ると試算されています。

大会開催にともなう運営費やチケット代など直接的な効果以外にも、オリンピックムードが高まりが消費活動の活発化につながると考えられます。

また、インフラ整備や宿泊施設の建設、バリアフリー化などハード面の整備にかかわる雇用の促進や観光客の受け入れにかかわるサービス業での求人増加が期待され、東京都を中心に大量の雇用が発生すると期待されています。

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東京オリンピック開催期間中には道路網・鉄道網双方においてに混乱が予想されます。

特に平日朝のラッシュ時間帯には通勤客に加えて9時台開始競技の観客が乗車し、普段では考えられない混雑が予想されます。

東京都や各事業者でも輸送計画を作成し対応に努めますが、利用者そのものを減らすことが最も効果的です。観客が交通機関を分散利用すると同時に周辺企業の協力が求められます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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