中国において11月11日は「独身の日」と呼ばれています。中国の主要ECサイトであるTmall(天猫/ティエンマオ)やJD.com(京東商城/ジンドン)では、「恋人のためではなく、自分のために買い物をしよう」と呼びかけ、セールを仕掛けています。
2019年は中国で新EC法の施行があり、越境EC市場での供給不足も懸念されていましたが例年通りの盛り上がりを見せたようです。
この記事では「独身の日」のセールについて、そして中国で人気の日本企業について解説します。
※人民元の日本円換算は、2020年7月8日のレートに基づく。
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独身の日とは?11月11日はなぜこう呼ばれる?
独身の日とは、中国の11月11日です。
英数字の「1」が四つ並ぶ様が、独り者がたくさん並んでいるように見えることから、このように呼ばれています。
中国語では、1を棒に見立てて、たくさん並ぶさまを「光棍」(グアンクン)と表現し、これをもって独身の意味とするスラングが存在します。
11月11日「独身の日」はECセールの代名詞
中国の消費者は、11月11日を「独身の日」として祝います。 「光棍節(こうこんせつ)」とも呼ばれています(「節」は祭の意味)。海外では「ダブルイレブン」と呼ばれます。1993年、南京大学の学生たちによって始められたといわれています。
2009年、中国の大手ECサイトTmall(天猫)を運営するアリババグループは、「独身の日」をビジネスチャンスへとつなげるために、デートに行かない独身者たちが買い物を楽しむ日として大規模セールを実施しました。
独身の日のECセールの取引額は年々記録を更新しています。楽天の年間取引額をしのぐ額が記録されており、世界のEC業界でも認知が高まっています。中国の国外では「ダブルイレブン」とも呼ばれています。
現在ではECだけでなく、ショッピングモールやスーパーでも独身の日を口実にした割引を展開しています。
開始数秒の取引額で記録樹立、旺盛な消費意欲
独身の日のセール期間、中国のECユーザーは、普段よりも低価格や有利な条件で商品が購入できることに消費意欲を刺激され、あるいは自分をねぎらうというセールのコンセプトに共感し、様々な商品を購入します。
このセールの仕掛人でもあるTmall(天猫)では、例年、取引額の記録を更新しています。開始当初の2009年の、Tmallの取引額は0.5億元(約8億円)でした。取引額は毎年記録を更新し、アリババの上場翌年にあたる2015年には、ついに一日の取引額が1兆円を突破します。
2016年には2兆円を超え、2017年にはセール開始11秒で10億元(約153億円)の取引額を記録し、最終的な取引額総額は1,682億元(約2.5兆円)となりました。
その後も順調に取引額を更新し、2018年には2,135億元(約3.2兆円)を記録しました。同年のセールにおいては、ユニクロがセール開始35秒で1億元(15.36億円)の取引を達成し、日本を代表するブランドとしてその貫禄を見せつけました。
2019年の取引総額は2,680億元(約4.1兆円)であり、年々その規模は大きくなっています。
アリババ、京東(ジンドン)の1日売上げは7兆円超
これらはアリババの運営するECサイトでの取引額ですが、中国EC業界ナンバーツーの京東(ジンドン)のECサイトでの取引総額も、アリババには及ばないもののかなりの規模となっています。
独身の日のセールにおける京東の取引総額は、2018年は1,597億元(約2.4兆円)、2019年は2,044億元(約3.1兆円)であったことが公式に発表されています。
2019年の独身の日セール期間の取引額は、2社の運営するECサイトで合計7兆円を超えていることになります。
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11月第四金曜日の「ブラックフライデー」を真似て、2009年中国でIT企業のアリババが同社のECサイトであるタオバオ(現Tmall、中国語名は天猫)で開始した「ダブルイレブン(独身の日/11月11日)」。現在ではアリババだけでなく、競合のジンドン(JD.com、中国語名は京東)などでも同様のセールを開催しており、各社のECサイトには11月11日のセール当日めがけてさまざまな目玉商品が現れています。そんな中、アリババの発表するダブルイレブンの取引額は毎年大きく更新されており、この数年、セール...
中国で人気のECサイト
上記では、中国において人気のECサイトとしてアリババグループが運営する天猫について紹介しましたが、中国にはその他にもいくつかの大手ECサイトが存在します。
以下では、中国における人気ECサイトについて解説します。
Tmall(天猫/ティエンマオ)
天猫(ティンマオ)は、アリババグループが運営する大手ECサイトで、2018年には中国国内のEC市場において52.5%のシェアを占めています。
同年のアリババグループによる流通総額は約3.5兆円とも言われており、中国最大級のECサイト運営グループと呼ぶにふさわしいでしょう。
天猫は、中国における「独身の日」セールを定着させたECサイトとしても知られています。
JD.com(京東商城/ジンドンシャンチャン)
京東(ジンドン)は、中国EC業界において31.3%のシェアを占める大手ECサイトの1つです。
元々は家電を販売するサイトであったことから、現在でも家電についての取り扱いが幅広いECサイトとして知られています。
京東では、より多くのユーザーを獲得するために、中国の人気メッセンジャーアプリ“We Chat”を運営するテンセントとタッグを組み、“We Chat”経由でのユーザー流入を狙っています。
VIPSHOP(唯品会/ウェイピンフイ)
唯品会は、中国EC業界におけるシェアでは5.7%と天猫や京東には及ばないものの、前年比で約2.5ポイントシェアを伸ばしており、将来性が注目されているECサイトの1つです。
国境を越えて取引をする越境ECとして第4位のマーケットシェアにまで成長しており、今後はさらなる大手ECサイトへと成熟していくと予想されています。
期間限定のセールを数多く実施しているのが特徴で、顧客に対してお得感のあるイベントを頻繁に開催しています。
11月11日「独身の日」とは
「独身の日」という言葉を耳にした人は、少なからずいると思います。インバウンド市場の加速により、中国大型連休となる旧正月の「春節」や、イスラム教徒が食べることが許されている「ハラルフード」など、外国の文化要素を理解する機会も増えてきたように感じます。とりわけ、訪日中国人においては、訪日外国人のなかでもトップの割合を占めているため、今後更に中国の文化・風習を深く知る機会も増えていくでしょう。中国EC最大手のアリババグループと資生堂が2019年3月に戦略業務提携を締結したことが発表されました。と...
独身の日セール「ダブルイレブン」では何が売れる?注目の日本企業
中国において日本の企業が販売する商品は高い評価を得ており、中でもユニクロや花王などのブランドが人気です。
特に「独身の日」には日本初の企業や店舗もセール商戦に乗り出しており、中国における「独身の日」の経済効果の重要性をうかがい知ることができます。
花王
花王では、クレンジングシートや衣料用洗剤、メイク道具などが好調な売れ行きとなりました。
売り上げは日本企業の内トップで、輸入商品全体における売り上げランキングにおける3位は花王が販売する紙おむつの「メリーズ」でした。
2014年頃に流行した「爆買い」でも紙おむつを大量購入する訪日中国人が話題となったように、日本企業の紙おむつは中国で人気であることがわかります。
MTG
MTGの販売する美顔器「ReFa(リファ)」は中国で2017年に最も注目を集めた日本製品と言っても過言ではありません。
訪日旅行の際にMTGの美顔器を購入する中国人も多くおり、商品が小さく価格が高額であるため、大量購入して持ち帰り自ら売りさばく人々も少なくありません。
資生堂
資生堂は、中国での認知度が非常に高く、認知率ランキングにおいて1位となっています。
品質が高い化粧品は、中国人から高い評価を得ており、2017年の「独身の日」セールにおいてもボディケアとヘアケアの2つの部門において2位にランクインするなど、特に健闘した日本企業の1つです。
6月18日に注目!「独身の日」だけじゃない中国のECセール「618」とは?仕掛け人の京東(ジンドン)と大手アリババ各社の動向を追う
こんにちは、クロスシー編集部です。中国のECセールには11月の「独身の日」が有名ですが、実は春夏の目玉セールともいえる「618」のセールも存在します。 11月のセールはもともとEC最大手のアリババが開始した販売促進で、現在はどのECプラットフォームもこの流れにのってセールを開催します。昨年はこのセールにより、ECプラットフォーム全体で、日本円で約5兆円にも上る取引が行われたと報じられています。 今回は、こうした独身の日セールにも匹敵するといわれる夏のセール618について解説しま...
2019年開始の新EC法をものともしない、中国市場の消費意欲
中国EC市場が盛り上がりを見せる中、2019年は新EC法が注目を集めました。
同法は、海外で購入した商品を中国国内に持ち帰り、SNSやECサイトなどのプラットフォーム経由で販売する個人や業者、いわゆるソーシャルバイヤーに対して納税を義務付ける法律です。
こうした規制は、ソーシャルバイヤー経由の販売が落ち込むことにもつながりかねませんが、正規ルートで販売される商品には逆にポジティブな影響が生まれることが期待できます。
実際のところ、独身の日セールにおける取引額は、これまで通りの勢いで記録を樹立したといえるでしょう。中国市場の消費意欲は、生活をよりよくしたい消費者や、自分の望むライフスタイルを目指す消費者によって、2020年も引き続き旺盛であると考えられます。
国土の広い中国では、エリアごとに消費者のニーズも異なります。こうした日常生活の感覚を理解することも、販売促進の成果を左右するでしょう。
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